台湾・屏東県にある国立屏東科技大学の鳥類生態研究室が、Facebookに投稿したトビの生態写真が面白いと話題になっている。自動撮影カメラで野生のトビの姿を捉えるのを期待していたところ、カメラの角度がずれ、人間顔負けの自撮りのようなドヤ顔をするトビの姿をキャッチしたのだ。
『The China Post(英文中国郵報)』『聯合新聞網』などが伝えた。

台湾に生息するカタグロトビは絶滅の危機に瀕しており、一時は生息数が100羽あまりにまで減少した。2013年に行われた調査によれば、アズキの種を蒔く際に農家がネズミや害鳥除けに使用する駆除剤に含まれる農薬「カルボフラン」を食物連鎖の末にトビが食べ、死んでいることが分かったという。

トビを絶滅の危機から守り、農家のネズミや害鳥による被害を防ぐために考えられたのが、主にネズミを捕食するカタグロトビを農地に引き寄せるトビ農法だ。高所に止まり獲物を探す猛禽類の習性を利用したもので、野生のトビを農地に引き寄せ、ネズミや害鳥を捕食させることで農薬を使わないエコ農業を実現し、トビなどの猛禽類が中毒死するのを防ぐ。自然の食物連鎖を回復し、食の安全も守ることができる。
国立屏東科技大学の鳥類生態研究室は2017年から、カタグロトビの止まり木を農地に設置するこのトビ農法を推進している。

先日、研究員らは止まり木でのトビの生態やネズミの捕食状態を調査するため、止まり木に自動撮影カメラを設置した。しかし何かの拍子でカメラの角度がずれたため、どこか笑いを誘う写真になってしまったという。胸を張り、目線をカメラに合わせ見下ろすトビの姿はまるで人間がする自撮りのようで、その表情はドヤ顔にも見える。そこで同研究室がこのトビのドヤ顔ショットをFacebookに投稿しトビの心の声を募集したところ、予想以上の反響があった。

9月30日に投稿された写真には10月7日の時点で1万9000以上の「いいね!」が集まり、シェアは7000回以上。
「可愛い」「自撮りみたい」「(SNSの)スタンプにぴったり」「スタンプの売上金を生態保育に」といったコメントが多数寄せられているほか、「昨日こ~んなでかいネズミ捕った」「もっと近づいて撮ってもいいよ」「脳が震える」など写真にトビの心の声を書き込んだ画像も次々と集まり、盛り上がりを見せている。研究員によれば、Facebookのフォロワーは普段から生態保育に関心を持っている人たちだが、予想外の反響に「フォロワー以外にもトビの保育について知ってもらうことができた」と喜んでいるそうだ。

台湾では現在、トビ農法を利用する農家が徐々に増加しており、今では台中市の霧峰区、花蓮、台東、高雄市の美濃区、屏東など多数の場所でトビの止まり木が設置されているという。霧峰区ではカタグロトビの中国語「黑翅鳶」から命名したブランド米「黑翅鳶米」も登場している。

画像は『The China Post 2019年10月4日付「鷹界網紅!最美猛禽黑翅鳶萌翻網友 | Hilarious raptors photos capture eyes on kite protection」(PHOTO: 屏東科技大學鳥類生態研究室臉書)』『屏科大鳥類生態研究室 2019年10月1日付Facebook「幫大家收集了網友們創作的梗圖,但留言實在太多看不完,若有沒收到的或是有新圖也歡迎在此篇留言喔~」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)