数多くのロックミュージシャンを撮影してきた伝説のフォトグラファー、ミック・ロックが死去した。72歳だった。
死因については明らかになっていない。「70年代を撮った男」との異名を持つミックは、デヴィッド・ボウイの専属写真家として活躍したほか、クイーンやイギー・ポップ、セックス・ピストルズなど著名アーティスト達の象徴的な姿を捉えてきた。

現地時間19日、ミック・ロックの公式SNSが「我々が最も愛するサイケデリックな反逆者、ミック・ロックが別世界へと旅立ったことを、深い悲しみとともにお知らせします」と伝え、写真家としてのミックの活動を振り返った。

「彼の作品をリアルタイムで体験した人達は、ミックが『70年代を撮った男』以上の存在だったことを知っている。彼は写真の詩人だった。自分が好きなことをとんでもなく楽しい方法で過ごした、真の自然児だった。」

「ミックがカメラを構えると、ロックスター達は自然に輝いているようだった。
被写体の独特なカリスマ性が、ミックに衝撃とエネルギーを与えていた。ミックは彼らのイメージに魅了され、レンズを通してビジュアルを吸収した。彼らのアートの世界に浸りきることで、これまでのロックミュージック界になかった素晴らしい世界を誕生させたのだ。」

最後に「ミックを知ることは彼を愛することだ。彼の死を悼む代わりに、その素晴らしい人生と並外れたキャリアを祝福しよう」と締めくくった。

ミック・ロック(本名マイケル・デヴィッド・ロック)は1948年、ロンドンのハマースミスで誕生した。ケンブリッジ大学在学中に現地の音楽シーンを撮影するようになり、地元出身のシド・バレットやミック・ジャガーの弟クリスと親交を深めた。


デヴィッド・ボウイを初めて撮影したのは、『ジギー・スターダスト・ツアー』バーミンガム・タウンホール公演だった。その後ボウイを通してイギー・ポップやルー・リードと知り合い、アンディ・ウォーホルを含む70年代のロックシーンへのコネクションを広げていった。


ミックはボウイの専属写真家として活動したほか、イギー&ザ・ストゥージズの『ロー・パワー(淫力魔人)』、ルー・リードの『トランスフォーマー』、クイーンの『クイーンII』、ジョーン・ジェットの『アイ・ラヴ・ロックンロール』などのアルバムジャケットを手掛けた。


他にもセックス・ピストルズ、T・レックス、オジー・オズボーン、ラモーンズ、トーキング・ヘッズ、モトリー・クルーらのアイコニックな姿を捉えたほか、映画『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年)の写真撮影も担当。近年はレディー・ガガマイリー・サイラスアリシア・キーズスヌープ・ドッグなどを撮影していた。

プライベートでは、妻パティさんとの間に娘ナタリーさんをもうけている。


画像は『Mick Rock 2021年11月19日付Instagram「It is with the heaviest of hearts that we share our beloved psychedelic renegade Mick Rock has made the Jungian journey to the other side.」、2021年8月12日付Instagram「I was intuitive and lucky to be around.」、2021年9月5日付Instagram「#FreddieMercury was one of my favorite human beings…」』『Clayton Cubitt 2021年11月19日付Twitter「RIP to photographer Mick Rock.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)