12月2日、男子テニスを統括するATP(男子テニス協会)は、安否不明となっていた女子テニス選手で、元ダブルス世界ランク1位のペン・シューアイ(中国)に関する2度目の声明を発表。「この問題の進展を見守っていきたい」と、香港を含む中国での大会中止を決断したWTA(女子テニス協会)とは異なる立場を示した。
【動画】11月中旬に中国メディアが発表したペン・シューアイの映像
11月初めに、ペンが中国の元副首相から性的暴行を受けていたと訴えてから1ヵ月。11月15日には、「われわれにとって、テニスコミュニティの安全ほど重要なものはない。WTAプレーヤーのペン・シューアイの安否が不明であることに深い疑念を抱いている」とし、公正かつ透明性のある調査を求めていたATPだが、今回はWTAに続かなかった。
ATPのアンドレア・ガウデンツィ会長は、「ペン・シューアイの状況は、我々のスポーツ内外で深刻な懸念を引き起こし続けている。このような懸念への対応は、これまでのところ不十分だ」と、これまでの姿勢は変えず、中国側の対応を非難。
「我々は、彼女の状況をより明確に把握するために、選手とWTAの間でオープンな対話を行うことを再度求める」と、あくまで透明性のある調査、そして直接連絡を取り合うことを求めた。
続けて、「我々は、スポーツが社会にポジティブな影響を与えられることを知っているし、一般的にグローバルな存在であることが、機会を創出し、影響を与えるための最良のチャンスになると信じている。今後も会員と協議を重ね、この問題の進展を見守っていきたいと思う」と、中国でのビジネスから撤退を決めたWTAに追従しなかった。
新型コロナウイルスが拡大する前の2019年シーズンにおけるATPツアーは、63大会のうち4大会が中国で開催。55大会のうち9大会行われたWTAツアーと比較すると少ないが、グランドスラムが行わていない国では、ドイツと並んで最多。グランドスラムに次ぐグレードのATPマスターズ1000も行われており、世界のトップ選手が出場している。
その一人である世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、中国での大会中止を決断したWTAに対し、「全面的に支持する。