路線は銚子―外川間6.4キロのミニサイズながら、鉄道ファンの心に刺さるニュースが続く銚子電気鉄道(銚電)。
航空機をイメージした車内装飾の電車には、銚電の竹本勝紀社長とスプリング・ジャパンの米澤章社長も〝特別搭乗〟。車内では、客室乗務員(CA)の成りきり撮影会やクイズ大会で、往復40分ほどの旅を盛り上げました。「アテンションプリーズ!!」。それでは皆さまも、仲ノ町発~ニューヨーク経由~外川往復という、壮大なコンセプトの〝飛行機電車〟にご搭乗ください。
竹本銚電社長 機内販売員を務める
業種や業態を問わず、コラボで鉄道や地域の知名度を上げるのが銚電の戦略。2022年1月にスタートしたスプリング・ジャパンとの連携では、「銚子の魅力発信キャンペーン」を2社共同で展開しました。
7月には竹本銚電社長が、成田―佐賀線に機内販売員として搭乗。オリジナル商品のぬれ煎餅やまずい棒を売り込みながら、「ぜひ銚子にお越しください」と呼び掛け。銚電では、スプリング・ジャパンの特別装飾車両が運行を始めました。
今回は佐賀線搭乗の返礼を兼ねて、スプリング・ジャパンの米澤社長や渦原浩之統括部運航指揮課デューティーマネージャーが、CAとともに銚子を訪問。行きは救命胴衣の着用方法をはじめとする航空教室、帰りはクイズ大会で道中を盛り上げました。
電車通学の児童も多い小学校
清水小は銚電本銚子駅に隣接して学校があり、公立小学校では珍しく電車通学の児童が一定数います。
児童招待は本来は夏休みに行う予定でしたが、コロナ感染拡大防のため2回にわたり延期。2学期に入ったことで、参加者は児童7人と保護者にとどまったものの、鉄道好きの子どもたちが集まりました。
出発前の車内では両社長ががっちり握手。スペシャルサプライズで、電車のハンドルは運転士の免許を持つ竹本社長が握りましたが、子どもたちは航空教室やクイズ大会に夢中。残念ながら(?)、前面展望を楽しむ児童はいませんでした。
銚電で子どもたちにウケたのが、薬用シャンプーメーカーの命名権で、「髪毛黒生駅」の愛称名が付けられていた笠上黒生駅。ネーミングライツ終了後も駅名板などはそのままで、児童は説明に聞き入っていました。
「新しい新幹線に乗りたい」
外川駅での折り返し時間、何人かの子どもに話を聞きました。1年生のK君は「青い電車が好き」。どこの電車かは分からないそうですが、ひょっとしたら小田急かも。
お母さんは、「今度新しい新幹線が開業するらしいので、できれば乗せてあげたい」と。千葉からはちょっと遠いけれど、スプリング・ジャパンの佐賀線を利用すれば西九州旅行も快適。「ぜひ本サイトの試乗記もご覧ください」と、PRさせていただきました。
「昔の銚子は旅客も貨物も鉄道全盛」
もう一組、6年生と1年生の兄弟で参加したK君は、海鹿島から本銚子まで電車通学します。私が「鉄道ファンがわざわざ乗りにくる、昔の電車に毎日乗れてうらやましい」と話したら……、2人はポカンとしてました。
保護者の皆さんの話では、昔の銚子は旅客も貨物も鉄道王国でしたが、今は多くの移動がマイカー。「それでも千葉や東京に出る際は、特急『しおさい』を利用します」とのこと。女の子は制服を着たCAさんに、あこがれの眼を向けていました。
飛行機は気合で飛ぶ!?
復路のクイズ大会では、「飛行機はなぜ飛ぶの(気合で飛ぶの迷答もありました)」、「飛行機はどこに燃料を積んでいる(主翼の中ですね)」、「上空に行くと耳が痛くなるのはなぜ(気圧の関係です)」といった問題を出題。子どもたちには、記念乗車券などがプレゼントされました。
「鉄道が走っているのは知っていても、乗ったことはない」が今の地方都市の現状。今回の参加者にも電車に初めて乗った児童がいましたが、楽しい旅の思い出は、きっと銚電ファンにさせてくれたはず。
米澤社長らは貸切電車に続き、観光客の利用が多い犬吠駅に移動。この日限定で「スプリング・ジャパン駅」に名称変更した同駅で、成田―新千歳、広島、佐賀の3路線をPRしました。
記事:上里夏生