リニア中央新幹線には神奈川、山梨、長野、岐阜の中間4県駅が設けられる。
シンポのタイトルは「リニア中間4駅による広域中核地方圏の創造と国土構造の改編」、サブタイトルは「日本をエンパワーメントする」。〝失われた30年〟で国際競争力を低下させた日本が、リニア開業を機に活力を取り戻す(エンパワーメント)ことを狙いに企画された。
実質的な主催者は、東京に本部を置く計量計画研究所。公共交通や国土づくりの調査研究を手掛け、鉄道分野では「TOD(公共交通指向型開発)」の研究で知られる。
リニア新幹線に関しては2022年3月から、有識者と国、関係自治体、JR東海などをメンバーに検討委員会(委員長・森地茂政策研究大学院大学名誉教授・特任教授)を置いて、中間4駅からの地域づくりを検討。2023年7月に報告書をまとめた。
シンポは検討の成果を発信する目的で、4県知事が地域づくりの考え方を発表。「ロボット産業・AI(人工知能)企業の集積」(黒岩祐治神奈川県知事)、「水素・燃料電池関連産業の誘致」(長崎幸太郎山梨県知事)、「航空・宇宙産業の育成」(阿部守一長野県知事)、「バーチャルとリアルを融合する街づくり」(古田肇岐阜県知事)などを披露した。
この中で古田知事は、中津川市に設けられる新駅の県レベルでの整備方針を公表。リニア駅は総延長1.3キロにおよぶ高架区間につくられ、ホーム長390メートル。

リニアは静岡工区が本格的な工事に入れず、予定された2027年開業に黄信号がともる。この点について、阿部知事は開業時期を早急に明示するよう要請。黒岩知事も、国家プロジェクトとして国の総力による建設促進を求めた。
ディスカッション後半では、丹羽JR東海社長が全体としては工事が着実に進むことや、地域密着の姿勢を強調。しかし、4知事は岸田文夫総理との面談が急きょ決まって退席したため、直接意見を交わす場面はなかった。

記事:上里夏生
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