アトレティコ加入2年目となるシーズンを過ごしているフェリックス photo/Getty Images
物足りないが、成長は見せている
2019年夏、アトレティコ ・マドリードが1億2600万ユーロ(約153億円)もの移籍金を投じてベンフィカから獲得したポルトガル代表FWジョアン・フェリックス (21)。当時“クリスティアーノ・ロナウド2世”との触れ込みでスペインにやってきた同選手だが、彼はいまだにアトレティコでその本領を発揮することができてない。
今季ここまでは公式戦32試合に出場して10ゴール5アシスト。まずまずの成績ではあるものの、その移籍金から考えれば物足りなさはどうしても感じざるを得ない。出場機会もなかなか安定せず、今季の彼は出場したリーグ戦24試合のうち、スタメン落ちは半数近い11試合を数えることとなっている。
決して戦力になっていないわけではないのだが、なかなかアトレティコで突き抜けることができないフェリックス。では、その理由は一体何なのか。
ひとつ大きな原因として考えられるのは、アトレティコのシステムだ。昨季まではフィールドプレイヤー全員がディフェンスの組織に組み込まれるハードな守備戦術を採用していた同クラブだが、今季の彼らは新たな形にチャレンジしている。それもすべて、エースであるスアレスの負担を軽減するためだ。つまり、昨季まで10人で実行していたことを今季のアトレティコは9人で行わなければならないということ。3バックの導入で細かな役割こそ変化しているものの、スアレス以外の選手にかかる守備負担は少なからず増えているのだ。
そうなると、スアレス以外はどうしても一定の守備力を備えた選手を起用したくなる。同格相手の大一番でなら尚更だろう。
とはいえ、この先もずっとフェリックスに希望がないわけではない。たしかに現状では物足りない部分こそあるものの、随所に成長は見せている。たとえば、シュート決定率だ。昨季はリーグ戦においてたった12.77%(47本6得点)しかなかった同スタッツも、今季は24.14%(29本7得点)と倍増。そのほか、ドリブル成功率も36.36%(55回中20回成功)から51.79%(56回中29回成功)にまで伸びている。守備面で最低限の仕事をこなせるようにさえなれば、攻撃面のクオリティでは彼が一枚上手だろう。
そのほかにも改善すべき点はいくつかあるものの、一歩ずつ確実に成長してきているフェリックス。