オランダ代表で長く活躍したスナイデル photo/Getty Images
輝いた期間はあまり長くなかったが……
6月9日、1人の偉大なる司令塔が誕生日を迎えた。
37歳を迎えた元オランダ代表MFウェズレイ・スナイデルだ。
引退後は激太りした姿などが注目を集めたが、現役時代のスナイデルは特別な才能を持った選手だった。全盛期は少々短かったが、ワールドクラスの才能の持ち主だったのは間違いない。
最も注目されるのは2009-10シーズンだ。スナイデルはレアル・マドリードに在籍していたが、2009年夏にチームは大型補強を敢行。カカー、クリスティアーノ・ロナウドらが加入し、スナイデルは押し出される形でインテルへ移籍することになった。移籍金は僅か1500万ユーロで、スナイデルにとっては屈辱的な出来事だった。
ところが、この動きがスナイデルのキャリアを変えた。インテルではジョゼ・モウリーニョの下で絶対的な存在となり、いきなり3冠を達成。このシーズンがスナイデルにとってベストシーズンだったのは間違いない。
しかもシーズン終了後に行われたワールドカップ・南アフリカ大会ではオランダ代表の決勝進出に貢献。惜しくも決勝ではスペイン代表に敗れたが、あの1年はスナイデルが主役だったと言っても大袈裟ではない。
英『Planet Football』は過去のスナイデルの発言を取り上げているが、2019年にはこのように語っている。
「未だに2010年のバロンドールは私が獲得すべきだったと周囲に言われるよ」
3冠、ワールドカップ準優勝とくればバロンドールには十分に思えるが、その年のバロンドールはリオネル・メッシが獲得している。この結果に納得できないサッカーファンもいただろう。
それでもスナイデルの評価が落ちることはない。2015年には、英『The Telegraph』にてモウリーニョは「私にとって最高の10番? デコとスナイデルだ。2人とも守備が上手いし、ボックスに入ってフィニッシュもこなせるからね」と称賛している。
まだオランダにスナイデル級の司令塔は生まれていない。