常にバルサの象徴だったメッシ photo/Getty Images
想像以上に落ちたチーム力
リオネル・メッシが退団した後をどうするのか。バルセロナのフロントはメッシ時代の次を想定していただろうか。
2010年代はレアル・マドリードがクリスティアーノ・ロナウド、バルセロナはメッシが引っ張ることになり、両クラブとも多くの成功を収めた。
しかし、実力的に2人の後継者はそう簡単に見つからない。クラブは2人が退団した時に備えた新プランを練っておく必要があったのだ。
ロナウドが退団したレアルも当初は苦労したが、FWヴィニシウス・ジュニオール、DFエデル・ミリトンといった若手が成長したことに加え、最前線にカリム・ベンゼマ、中盤にカゼミロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチら軸となる選手が揃っていたこともあり、今ではトップレベルの力を取り戻している。思ったよりもロナウド退団から回復が早かった印象だ。
問題はメッシの抜けたバルセロナだ。今夏の退団が想定外だったのかもしれないが、クラブはほとんど準備が出来ていなかった。
スペイン『SPORT』も「メッシはバルサを世界で最も重要なクラブにしたが、彼の退団でバルサは欧州の第2集団に落ちた。チームのリーダー、魂、得点力が失われた」と嘆く。
リーグ戦では来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得できるか際どい位置におり、今ではヨーロッパリーグで勝てるかすら怪しい。レアルのようにロナウド・ショックから抜け出すには、かなりの我慢を強いられるかもしれない。
ポジティブなのは優秀な若手が多いことか。
彼らを軸に、攻守両面で世代交代を促しながらクオリティの高い中堅世代を地道に補強していくしかないか。
仕方のないことだが、バルセロナはメッシに依存しすぎたのだろう。それだけにメッシ退団後に備えた準備も遅れ、チームは方向性を見失ってしまった。
今冬の市場からが勝負だが、シャビ・エルナンデスの下でアイデンティティを取り戻せるのか。最低でも2、3年は辛抱が必要だろう。