プレミア最強ガイド #96
マンチェスター・ユナイテッド戦で初陣勝利を飾ったエメリ監督 photo/Getty Images
アストン・ヴィラは成績不振を理由にスティーブン・ジェラード監督を解任、後任にスペイン人でビジャレアル監督を務めていたウナイ・エメリを招聘しました。その背景に何があったのかを探りました。
プレミアリーグ開幕10試合で2勝3分5敗と結果が出なかったジェラード監督。先月20日のフラム戦で0-3と完敗した直後、クラブは指揮官解任を発表しました。この試合にはロンドン在住のナセフ・サウィリス共同オーナーも敵地クレイブン・コテージで視察、不甲斐ない戦いに落胆し、試合終了を待たずしてスタジアムを後にしていました。その後、クリスティアン・パースローCEOがスタジアム内の一室を借りて緊急理事会を実施、呼び戻されたサウィリス共同オーナーらの承認を得て指揮官解任が決定したのでした。スタジアムで解任を告げられたジェラードはバーミンガムへ戻るチームバスにそのまま同乗、地元に到着した午前1時、選手たちに別れのスピーチを行ったということです。
後任候補として当初は元トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノや現スポルティングのルベン・アモリムらの名前が浮上していましたが、実績と将来性を検討した結果、エメリに白羽の矢を立てました。アストン・ヴィラはビジャレアルに600万ユーロの契約解除金を支払い、エメリ自身には年俸700万ユーロ、現オーナー体制下では最長となる4年半契約を提示し、迎え入れることに成功したのでした。パースローCEOは、「彼の実績が全てを表している。クラブにとってチャンピオンシップから昇格して以来、最も重要な瞬間であり重要なステップだ。ウナイはトップチームを前進させながら、若い選手たちを登用する事も出来る。クラブの長期的な成功と安定の為に必要な手腕を持ち合わせている」とエメリを招聘した理由を明かしました。
セビージャではヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げ、“ミスターEL ”と称され、パリ・サンジェルマンやアーセナルでも指揮を執り、ビジャレアルではEL制覇やチャンピオンズリーグでベスト4に導き、クラブの歴史を塗り替えました。
クラブから全幅の信頼を得ているエメリは、アシスタントコーチにパコ・アジェスタランをはじめ、GKコーチ、コンディショニングコーチ、個人パフォーマンスコーチ、データアナリストなど8名のスタッフを連れてくる予定。また1月または来夏の補強ターゲットとして、ビジャレアルのCBパウ・トーレス獲得のリクエストにもクラブは応える方針だということです。今月6日にはマンチェスター・ユナイテッドに勝利し幸先の良いスタートを切った新指揮官、今後の手腕に注目です。
文/西岡 明彦
電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)275号、11月15日配信の記事より転載