リヴァプールのファン・ダイク Photo/Getty Images
心の成長の時間だった
リヴァプールの主将フィルジル・ファン・ダイクが、2020年にエヴァートンGKジョーダン・ピックフォードとの接触で前十字靭帯を断裂し、約9か月にわたって戦列を離れた苦難の時期について、驚きの心境を明かした。英『GQ』誌のインタビューにて、「人生で最も良い時間の一つだった」と述べ、その期間を“恩恵”と捉えている。
この負傷は2020年10月のマージーサイド・ダービーで起きた。ピックフォードの無謀なタックルにより膝を損傷し、チームメイトだったジョルジニオ・ワイナルドゥムが「完全に愚かな行為」と憤るほどだった。ピックフォードには罰則は科されず、ファン・ダイクはユーロ2020出場も逃すこととなった。
ファン・ダイクは術後、約300日間のリハビリ生活を送り、その大半を家族と過ごしたという。「リハビリの大半をクラブから離れてドバイでやらなければならなかったから、家族と一緒に過ごせて本当に良かった。7週間も一緒に過ごせた。普段はなかなかできないことだから。今までで一番最高の家族との時間だった。もちろん、誰も膝に深刻な怪我を負いたくはないけれど、あの時間はそれなりに価値があったと思う」と振り返る。
また復帰後のパフォーマンスへの批判についても触れ、「どんなに良いプレイをしても、一つのミスだけを切り取られてしまう。それが頭を悩ませ、自信を失わせる」と苦悩を告白。ユルゲン・クロップ監督の「自信は花のようなもの」という言葉に支えられたとも明かしている。
この負傷は、一般的なACL損傷の多くが非接触によるのに対し、明確な接触によるものだった点も異質であり、ファン・ダイクは「逆にそれが精神的には楽だった」と述べた。
現在では、完全復活を果たしたファン・ダイク。ピッチ外での経験が、彼をさらに強く、成熟したリーダーへと変化させた。