フリーアナウンサーの唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「NOEVIR Color of Life」(毎週土曜9:00~9:30)。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。
各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。
今回の放送のゲストは、俳優・神野三鈴(かんの・みすず)さん。母の介護生活と舞台女優として活動、そして井上ひさし氏や三谷幸喜氏といった演劇界の巨匠たちとの深い絆などについて語りました。

母の介護、うつ状態…それでも舞台に立てた理由 神野三鈴を救っ...の画像はこちら >>

神野三鈴さん



1966年生まれ、神奈川県鎌倉市出身の神野さん。1991年、NHK大河ドラマ『太平記』に出演後、舞台を中心に活動し、井上ひさしさんや三谷幸喜さん、栗山民也さん、デヴィッド・ルヴォーさんなど、国内外の名演出家ので唯一無二の存在感を発揮。紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀女優賞など受賞歴多数。NHK連続テレビ小説『あんぱん』などにも出演。夫は世界的なジャズピアニストの小曽根真さん。



唐橋:神野さんは29歳で結婚され、30代は俳優のお仕事をほとんどセーブされていたと伺いました。

神野:ニューヨークに渡って彼の音楽を支えたいという気持ちもありましたが、結婚とほぼ同時期に母が脳梗塞で倒れてしまったのです。そこから日本とアメリカを行ったり来たりの介護生活が始まりました。俳優として軌道に乗り始めた時期ではありましたが、仕事という選択肢が自分の生活から自然と外れていった感覚でした。


唐橋:そんな苦境の中で、舞台への道を繋ぎ止めたものがあったのですね。

神野:どんなにお断りしても、井上ひさし先生がご自身の新作に必ず呼んでくださったり、演出家の栗山民也さんが呼び戻してくださったりしました。1年に1本か2本の舞台を、介護の合間に続けていたのですが、その作品たちが本当に素晴らしい名作ばかりだったのです。あの呼び声があったからこそ、かろうじて役者としての首の皮一枚が繋がっていました。

唐橋:井上ひさしさんの遺作となった『組曲虐殺』にも出演されています。

神野:はい。初演はとにかく大変でした。井上先生は台本が遅いことで有名で、初日の前日の夜中にようやく劇場で稽古ができ、当日の朝に初めての通し稽古をして幕を開ける。当時はカセットテープにセリフや音楽を吹き込み、ビニール袋に入れてお風呂の中やベッドの中でも聴き続けるような日々でしたね。

唐橋:ご主人の小曽根さんも音楽を担当されていましたね。

神野:井上先生からの熱烈なラブコールで作曲と演奏を担当することになりました。劇中では彼が毎日即興で弾き始めるので、共演した井上芳雄さんもそれに合わせて即興で歌う。
毎回が生きたライブのようで、演じている私たちも本当に楽しかったです。

唐橋:介護と仕事の両立、想像を絶する大変さだったと思います。

神野:父も同時に病に倒れ、当時の記憶が抜けてしまうほど必死でした。でも、そんな極限状態の中で舞台に立つ瞬間だけは、私自身が救われていたのだと思います。

◆三谷幸喜との出会いと、想像力の魔法

唐橋:その後、数々の賞を受賞されています。「第47回紀伊國屋演劇賞個人賞」や「読売演劇賞」など、華々しい評価を受けていらっしゃいます。

神野:三谷幸喜さんとの出会いも大きかったですね。母を送った後、自分でも気づかないうちにうつ状態になっていた時期があったのですが、その後、三谷さんと出会って。三谷さんは、私が気づいていなかった(役者としての)変な部分を面白がって、新しい面を引き出してくださいました。あれは本当に勉強になりました。

唐橋:イギリスの演出家の方々とも組まれていますね。

神野:中谷美紀さんと二人芝居『メアリー・ステュアート』をした時のマックス・ウェブスターさんや、宮沢りえさんとご一緒した『人形の家』でのデヴィッド・ルヴォーさんなど、素晴らしい演出家との出会いに恵まれました。
彼らから教わったのは、「シアター・オブ・マジック」という言葉です。

唐橋:“劇場の魔法”。

神野:演劇は人間の想像力の力を借りる芸術です。舞台の上には何もないけれど、演出と演技、そしてお客様の想像力が重なった瞬間、そこが大海原になったり宮殿になったりする。人間の想像力はこんなにもワクワクするほどすごいのだと、彼らの演出はいつも思い出させてくれます。だから舞台はやめられないのです。

唐橋:神野さんの言葉から、演劇への熱い思いが伝わってきます。

神野:三谷さんが、「本当によくできた舞台は、とてつもない名作映画より面白い」とおっしゃっていましたが、私も心からそう思います。

ーー神野さんが出演する最新映画『TOKYOタクシー』(監督:山田洋次、主演:倍賞千恵子・木村拓哉)は現在全国の劇場で大ヒット公開中です。
さらに、神野さんが志田未来さんのお母さん役で出演されているドラマ「未来のムスコ」は、毎週火曜日の夜10時から放送。


<番組概要>
番組名:NOEVIR Color of Life
放送日時:毎週土曜 9:00~9:30
パーソナリティ:唐橋ユミ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/color/
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