「もしも当選して億万長者になったら…」なんて夢を見させてくれる宝くじ。しかし、その売り上げは近年、減少傾向であることをご存知でしょうか。
長年、多くの人に支持されてきた「宝くじ」が、なぜあまり売れなくなってきているのか。その現状と背景を探ってみました。
■売り上げ減少の理由は?
2018年に総務省が発表した調査「宝くじの現状と課題について( http://www.soumu.go.jp/main_content/000583736.pdf )」によれば、2017年度の宝くじの売上額は7,866億円。
8,000億近いと聞くと、とても大きな数字に感じますが、前年度より6.9%減少しており、売り上げのピークだった2005年と比較すると、約3割減という現状です。このような売り上げの低迷は、ナンバーズやロトなどの「数字選択式宝くじ」でも同様です。
高い知名度を誇る宝くじが売れなくなっている原因のひとつとして、「投資の選択肢が増えた」という背景が推測されます。宝くじの売り上げが最も高かった2005年に比べ、今はさまざまな投資方法が存在しています。これまで投資に手を出さなかった層も、仮想通貨などの登場によって、投資への考え方が変わってきているのかもしれません。
今は「大金を得る方法といえば宝くじしかない」という時代ではなくなってきている、ということですね。「お金を増やしたい人」はいつの時代も一定数いますが、宝くじ以外の選択肢が増えてきたために、宝くじの売り上げが落ちている可能性が考えられます。
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現在の「年末ジャンボ宝くじ」の当選金額と本数は?
とはいえ、少ない元手で億万長者になれる可能性がある点は、やはり宝くじの大きな魅力。なかでも、ひときわ存在感のあるのが「年末ジャンボ宝くじ」。
「第770回全国自治宝くじ」の各等における当選金額や本数は以下のとおりとなっています。
【1等】7億円(24本)
【1等の前後賞】1億5000万円(48本)
【1等の組違い賞】10万円(4776本)
【2等】1000万円(72本)
【3等】100万円(2400本)
【4等】10万円(9万6000本)
1等はなんと7億円! 金額が低くなるにつれ、当選本数も多くなっています。それぞれの金額や当選本数をみると、「高額当選にも期待できるのでは」と感じてしまいますよね。
ところが、宝くじは「当せん金付証票法(第5条)」によって、払戻率は「発売総額の5割に相当する額を超えてはならない」と決められています。
つまり、各等の合計金額(=払戻金)は、購入者全員が支払った「発売総額」の半分ほどしかないということ。購入者全体で見ると、必ずマイナスとなってしまうのです。
■それでも購入してしまうのはなぜ?
「払戻金は発売総額の半分ほど」と聞くと、決して期待値が高いとは言えない宝くじ。売上減とは言え、それでも毎年、多くの人が年末ジャンボを購入している事実があります。
期待値が低いのに、高額当選を夢見て買ってしまう…‥。一見すると矛盾した行動のように見えますが、これは行動経済学における「確率加重関数」の影響と考えると納得できるかもしれません。
簡潔に説明すると、これは「非常に小さい確率だと、実際より大きく感じる心理」のこと。
実際の数字で見るとわずかな確率でも、心理的には、無意識のうちに実際より大きく捉えているのでしょう。こう考えると、「なんだか当たりそうな気がするぞ」「一等が当たったらどうしようか」とワクワクする気持ちも分かる気がしますよね。
■まとめ
当選金額だけを聞くと魅力を感じますが、実際の期待値はシビアな数字。「払戻金は発売総額の半分以下」「実際は確率が低いのに大きく捉えている」と知ると、少し現実的な思考になってしまうかもしれません。
とはいえ、“夢を買う行動”が無駄というわけではありません。人生において、ワクワクする要素を用意しておくのも大切なこと。ほとんどの娯楽にはお金がかかるものですし、たとえ当選しなくても、「購入から発表日までのワクワク感や楽しみを買った」と思うのもいいのではないでしょうか。
年末ジャンボと並んで有名な「サマージャンボ宝くじ」の抽選は8月14日。購入された方は、ぜひその日までのワクワク感を楽しんでみてください。