キッチンに立つのが苦痛に感じる夏。こちらは汗だくで料理を作っているというのに、自分以外の家族はクーラーの風にあたりながら涼そうにテレビを見ている。



それだけでも、「いいなー」「ちょっと代わってよ」「うらやましすぎる、暑いわ~」と思っているのに、さらに料理について文句を言われたら、イライラもしてしまいますよね。



そこで今回は、家族のために料理を作っている人が、夫・妻・義父母・子供にブチ切れ寸前になった瞬間について聞いてみました。



■料理を運ぶ段になって「焼肉食べに行こう」と言い出す夫



まずはAさん(夫・子供2人の4人家族)のケースから。



料理はもうすぐ終盤。おかずの盛りつけが終わり、あとはご飯をお茶碗に盛って、お味噌汁をお椀に…という段階で、「みんな、運んで!」と声をかけるものの、夫はずっとテレビの前で寝転がったまま。夫がいないときには「はーい!」と運んでくれる子供たちも、ピクリとも動きません。



でも、これはいつものことなので、「はぁ…」と小さな溜め息をつきながらもおかずを運ぼうとした、そのとき。



「うっわ、この焼肉、めちゃめちゃおいしそう! なぁ、みんなでメシ行こう!」テレビを見ていた夫がサッと立ち上がると、子供たちも次々立ち上がり「焼肉行きたい!」と騒ぎ始めたのです。もう、ご飯はできているというのに…。



イラっとしながらも「もう、ご飯できているよ。また今度行こう」と諭した次の瞬間、夫が「やっきにく!やっきにく!」と踊り始める始末。それにつられるように妙なテンションで踊り出す子供たち。

「いままで暑い思いをしてご飯を作ったのに、焼肉? いやいや、作ったご飯どうするのよ!」と心の中で思ったAさん。



しかも夫は前日の残りご飯を食べるのが好きではなく、残り物を食べるのはいつもAさんの役目。「暑い中、苦労して作ったこのご飯は、私が明日すべて食べることになる…」そう思うと、虚しいやら怒りが込みあげてくるやら。なんとも言えない腹立たしい気持ちになったといいます。



ブチ切れ寸前にはなったものの、夫は機嫌を損ねると怒鳴り散らすなど面倒な性格だったため、とりあえず我慢したAさん。焼肉を堪能し、その日に作ったメインおかずの煮物はカレーとして再利用。小鉢として準備していた茹でたホウレン草は白和えにし、お味噌汁は翌日のお昼に雑炊風にして子供たちと。



「ご飯? 炊いてあったご飯はすべて、怒りを込めてギューッと握り潰しながらおにぎりにして冷凍。2週間ほどかけて、すべて旦那のお弁当に入れてやりました」。



■夕飯作りをまったくしない義母



次は義両親と同居しているBさん(夫・子供2人・義父・義母の6人家族)のケース



Bさん夫婦は共働きなのに、仕事が遅くなろうが子供の調子が悪くなろうが、まったく夕飯作りを手伝おうとしない義母。そんな日々が何年も続いたある日、残業でヘトヘトになっているところに、義母が「今日のご飯は何?」と畳みかけてきて、ブチ切れ寸前に。



怒鳴りたい気持ちを抑え、ときおり歯を食いしばりながら「さてねぇ? 今日は私もさすがにヘトヘトなんで、今日のご飯は何にしましょうかねぇ? 私、いますぐ寝たい感じなんですけどねぇ」と義母に。

「きっと鬼の形相だった」と、当時の自分を振り返るBさん。



義母もそんなBさんの様子を見てか、「そ、そうね…私、お惣菜買って来ようかしらね、お父さん」と言い、そそくさと惣菜を買いに。さらに次の日の朝、「残業で遅いときとか、疲れているときは遠慮なく連絡してね。そのときは私が夜ご飯作るから」と声をかけてくれ、円満解決となったそうです。



■「これだから男の料理は…」とグチグチ言う妻



次も共働きのCさん(妻・子供1人の3人家族)のケースです。



まだ子供も小さく共働きだったため、保育園から勤務先の近い妻が子供を迎えに行き、夫のCさんが夕飯を作っていた頃の話。野菜が少ないと、妻が「これだから男の料理は…栄養のバランス考えて作りなよ」と愚痴。お肉を塊で使うと「これだから男の料理は…お肉を塊で使うとかありえないし」と愚痴。



調味料を買い忘れたため、みんながお腹を空かせてしまわないように近くのコンビニで調味料を買ったところ、「これだから男の料理は…コンビニとか高いじゃん」と愚痴。食後に子供にせがまれ、食器洗いはあとでやろうと思いながら遊んでいたら、「だから男の料理はねぇ…最後まで完結しないというか」と愚痴。



毎日のように愚痴の嵐だったので、さすがにブチ切れ寸前になったCさん。怒りの言葉が滑り出るのをどうにか辛抱したものの、「やっぱり、晩御飯は男の料理じゃなくて、ママの手料理がいいんじゃない?」と、あるとき思わず言ってしまったのです。



”うわっ、ケンカになるかも…”と後悔していたところ、普段から妻の「これだから男の料理は…」という愚痴を耳にしている子供が、「パパの料理は男の料理だからねぇ」といい具合に食いついてくれたといいます。



そこで妻の機嫌を損ねないよう、料理を褒めまくる作戦に変更したCさん。子供と一緒に妻の手料理を褒めて褒めて、褒めまくりました。



すると、気を良くした妻は「だったら、○○が子供を迎えに行ってよ。私がご飯作るから~!」と上機嫌で夕食当番を交代してくれることに。予想もしていなかったラッキーな展開となり、その後は愚痴からも料理からも解放されたそうです。



■「あれ嫌い」「これ嫌い」を連発する子供たち



次はシングルマザーのDさん(子供が3人の4人家族)のケースです。



子供たちがだんだんと大きくなるにつれて好き嫌いが増え、Dさんが頭を悩ませていたときのこと。昨日までは我慢して食べていた子供たちが、長男の「うわ、これ嫌い。残そ」という言葉につられ、次々と「これ嫌い。残そ」「あれも嫌」と言い出し、収拾がつかない状態に。



仕事に育児に家事。

シングルマザーということもあり、ただでさえ精一杯の毎日を送っていたDさん。「あ、そ。だったら残せばいい! けど、明日も明後日も、その次も、いま残したやつが出るから! 腐ってても出すから!」



そう低い声で言い放ち、「アレルギーとかで食べられないのはしょうがないけど、好き嫌いはダメ! 野菜は育ててくれた人がいるし、牛も豚も鶏も、育ててくれた人がいる。それから、料理をする人だって、すごく大変なんだから簡単に残すとか言っちゃダメ!」そう続けたそうです。



小さい子供たちは泣いてしまったものの、次の日からは長男も、嫌いなものを我慢して食べるように。また、大きくなった今では、「料理するようになって母さんが言っていた意味がわかった。料理するのって、食べる人のことを考えたりして結構大変だよね」と言ってくれるようになり、嬉しいかぎりだといいます。



■「ちょこちょこと7品ぐらい食べたい」という夫



最後はEさん(夫・子供2人の4人家族)のケースです。



Eさんはだいたい毎日、「ご飯・小鉢・おかず・お味噌汁」の4品ぐらいを目安に料理していました。ところが、ある日突然「う~ん、違うんだよなぁ。おかず1品の量が多すぎるんだよ。こう…ちょこちょこっと盛られたやつをいっぱい食べたいんだよなぁ」と夫が言い出したのです。



「え! ちょこちょこって、何品ぐらい?」と尋ねると、「う~ん、7品とか…。もっとこう、お店ってちょこちょこっと盛ってあるじゃん」と言われ、ブチ切れ寸前に。



「”誰が毎日7品もおかずを作るの? ここは小料理屋じゃない、一般の家庭でしょ?しかも、お金もなくて食費削って節約してんのに、ちょこちょこ7品? ふざけるな!” そう怒鳴ってやりたかったですね。我慢しましたが」と苦笑いするEさん。



次の日からは、小鉢をもう1つ増やし「うちは小料理屋じゃないから、7品は無理。でも、小鉢かメインおかずか、どちらかを増やすようにするわ」と折れたそうですが、納得はしていない様子です。



■おわりに



いかがでしたか。今回の事例には、「あるある」と共感するものや驚くもの、「それは違うかも?」と感じるものもあったと思いますが、いろいろなブチ切れ寸前の瞬間があるものです。



いずれにしても、出されたものを食べる人の言葉や行動は、料理をした人の気持ちを大きく左右するようです。自分が食べる立場になったときには、出された料理の良い部分をたくさん見つけ、感謝の気持ちを伝えるよう心がけたいものですね。



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