長年塾講師をしていて、勉強を進んでする子供と勉強をしたがらない子供とのちがいを感じられることがあります。



勉強を進んでする子供は、おおらかでいつもニコニコしています。

そして、部活動や他の習い事などにも進んで取り組んでいます。そこには、いつも穏やかに見守るご家庭があります。



逆に勉強をしたがらない子供は、どこかオドオドしていて目に輝きがないことが多いです。勉強以外のことも面倒くさがる(ゲームは別かもしれませんが)ように思います。そして、そのような子供の家庭を見ると、親が「それをやってはいけないのに」と思われることをやってしまっているような気がします。それを避けるだけでも、子供は勉強するようになるかもしれないのにとよく思います。



そこで今回は、親がついついやってしまっている「NGアクション」について考えていきます。



■ガミガミと言ってしまう



これは勉強にかぎったことではありませんが、ちょっとしたことでガミガミといってしまう親に育てられた子供はどこかおどおどしていて自主的に行動できない傾向にあるように思います。当然、勉強も自分からすることはありません。



あれこれ注意されるものだから、何をやっても怒られる気になります。それなら、親の指示を待って行動するほうがましとなるのでしょう。特に勉強の場合、自主的に学ぶことで喜びを感じることができるのに、いわれたことしかできなくなってしまっているから、勉強への興味は薄くなり知識として頭に残る量は少なくなるのかもしれません。



このような経験はないでしょうか。子供が約束を守らなかったことで、親が注意をはじめます。冷静に話をしていたのだけど、前にも同じ約束を守らなかったことを思い出し、感情がとまらず「そういえば、2週間前にも同じことをやったでしょう」と前に叱った話を再度するようになります。そうして、どうにもとまらなくなった親は30分も1時間も怒り疲れてしまうまで感情を子供にぶつけてしまうことになるのです。



■伝えたいことは3分以内で



伝えたいことがあるなら、3分で終わらせることではないでしょうか。5分以上になると人間集中力がもちません。前に注意されたことを再度蒸し返されては子供としてはたまったものではありません。親の話が耳に届くことなく、荒れ狂う親が静まるのをただひたすら待っているだけになってしまいます。



これは中学生の親にあることなのですが、勉強しない子供をみてあせるあまり「行く高校ないよ」と脅しまがいにいってしまうケースも多いです。「こんな成績で勉強もしなければどうするの。ヤバいよ」と、まるで人生が終わってしまうような口調になってしまうのですが、このようないい方で勉強する気にはなれないでしょう。こうなると、子供よりも悲壮感プンプンで子供に怒る親のほうが「ヤバい」ように映ってしまいます。



こうして、くどくどと注意をされた子供は人の話を聞き流す習慣がついてしまい、学校の授業も聞かなくなってしまうように思います。成績が伸びない子供は、授業を聞いていない場合が多いです。親が一方的に話すのではなく、子供の話を受けとめて返答する言葉のキャチボールの時間も大切ではないでしょうか。



親の立場として述べてみると、いい過ぎて後悔したりぐったりしたりした経験はないでしょうか。お菓子を食べ過ぎたり飲み過ぎたりした後の気分と似ているかもしれません。ほどほどがちょうどいいのでは。いい過ぎてエネルギーを使い果たすくらいなら、グッとこらえてポイントを一つにしぼって諭すことにエネルギーを費やすほうがいいでしょう。難しいことですが、冷静さはキープしておきたいです。



■待てない親



スマホをはじめ便利な物にあふれた世の中になったからか、待てない、我慢ができない親も増えているように思われます。勉強量を増やしたり塾に通いはじめたりしたからといって、すぐに成果に表れるわけではありません。子供の成長にともなってできるようになることもあるので、長い目で見てほしいと思います。



子供と親とでは、時間の感覚がちがいます。

そこを理解できない親は「大人の都合」で子供が自ら学ぶ機会を奪ってしまうこともあります。たとえば靴のひもをなかなか結べない子供を見て親がかわりに結んでしまったり、忘れ物の多い子供のかわりに親が学校の用意をしてしまったり、親が待てずに先回りしてやってしまうケースも見られます。親がいつまでも子供がするべきことをしていては、子供が自ら学ぶ機会は減ってしまいます。子供は、親がやってくれるのをいつまでも待つようになります。



その他、以下のような親の態度も子供が勉強しなくなる原因になるかもしれません。これまで述べたことと重なるところもありますが、いくつか記しておきます。



・上から目線
・極度な心配性で落ち着きがない
・頑固
・きょうだい・親戚と比べてしまう
・親子関係がうまくいっていない、会話がない
・成果が出ないからといって塾や習い事をコロコロ変える



■おわりに



冒頭でも述べましたが、自ら勉強をする子供はのびのびしていて、親もおおらかに成長を見守っています。NGアクションを取ってしまうこともまずありません。そして、親子仲がいいようにも映ります。親子関係が良好だからといって必ず勉強するわけではありませんが、穏やかな家庭環境は子供が勉強をするうえで欠かせないものだと思うのです。



子供は親のいうことは聞きませんが、親の顔色はよく見ているし、親の気持ちも的確に察しているのではないでしょうか。親がニコニコしていれば子供もニコニコするようになるし、親がオロオロしていては子供もオロオロするようになるようになってしまいます。



温かい家族関係とNGアクションを避ける、長い目で見なければなりませんが、この2つを守るだけで子供はいつしか勉強するようになるのではないでしょうか。勉強とは本来は楽しいものです。大人も子供も学ぶことを楽しみ、人生そのものを楽しめることを願っています。



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