Twitterでご自身の旅の経験を漫画に描いて発表している低橋(@hikuhashi02)さんの漫画がおもしろいと評判です。
低橋さんは数年前に「1年間で世界一周」を目標に掲げて旅を始めました。
旅の途上で見聞きしたものごとを漫画に描いておられて、ゆるい雰囲気とともに旅の、異文化との交流の楽しさを窺い知ることができます。旅人・低橋さんの漫画の中から、今回は「付け焼き刃現地語習得」という漫画を紹介させていただきます。
■漫画「付け焼き刃現地語習得」
付け焼き刃現地語習得①

さまざまな国へ渡るごとに、その土地の言葉を使いたいと思う低橋さん。移動中の列車の中でも勉強します。会話をするなら言葉は口に出して練習するのが大事。
現地の「こんにちは」や「ありがとう」を練習していると、向かいの席にすわっていた現地の少女が突然の「ありがとう」に困惑。現地語の「ありがとう」が通じたのですね!
付け焼き刃現地語習得②

旅行用の会話をまとめた本という便利なものがあります。ウクライナではロシア語のそれを持っていた低橋さんは安心していましたが、いざ列車の切符を買おうと窓口に立ったとき、その本は出し忘れていて背負った荷物の底の方。
必死でうろ覚えのロシア語を駆使し、何とか切符を手に入れます。低橋さんの伝えたい気持ちと、駅員さんの理解したい気持ちが通じ合った瞬間です。
付け焼き刃現地語習得③

スマートフォンが普及して、翻訳アプリという便利なものが使えるようになりました。
インドの人が話しかけてきたのは「あなたが再び焙煎されるのを見てみましょう」。日本語に変換されたヒンディー語の本当の意味は何だったのでしょう?
付け焼き刃現地語習得④

中国語圏に入る際に低橋さんは中国語をたくさん勉強しました。しかし、こちらの話が相手に伝わっても、ネイティブスピーカーの言葉を聞き取るのは難しいものです。
乗りもののチケットがほしい低橋さんは窓口の人に筆談をお願いしたところ、書かれた文字は「sold out」……それなら聞き取れたよね、とフクザツな気分。
付け焼き刃現地語習得⑤

まったく言葉が分からない土地でも、たとえば飲食店で「なんか分かんないけど」メニューを指さして、身振り手振りで取り敢えず注文することはできます。
そうして注文した「なんか分かんないもの」がとてもおいしいこともあったり、「わからない」ということもそれはそれで楽しいことなのですね。言葉の勉強もするけれど、こういう楽しさも旅の醍醐味のひとつでしょう。
低橋さんは旅の手帳を読み返していて外国語のメモがいくつか出てきたので、旅の途中でのできごとを思い出して漫画にに描いたのだそうです。目にとまるほどのメモが出てきたということは、やはり現地の言葉は大切だということなのでしょう。
海外へ出ると、使用されている言葉はガラッと変わってしまい、日本語と似ている言葉にはほとんど出会えません。
それでも、うろ覚えでも、全然わからなくても何とかなることも場合によってはあるというエピソードは、これから海外へ行こうという人をちょっと安心させてくれるものだったのでは?
このように実体験をわかりやすく漫画で、しかも親しみやすい絵柄、読みやすいゆるい作風で描かれていると、読みものとして楽しいし、見知らぬ土地へ行くことへの不安を少なからず持っている人には、一歩踏み出す勇気の素になりそうです。
■世界を巡る旅人・低橋さんの「旅」とは?

世界一周も経験している低橋さん。それだけで終わらず、さらに何度も旅に出ておられます。旅の魅力について、低橋さんにお話を伺いました。
「『知らないものを知りに行く』という、単純かつ壮大な好奇心と冒険心を満たせるのが旅の魅力だと思っています」と低橋さんはおっしゃいます。国内だけで生活していては知り得ないものが外国にはたくさんあって、そういったものに出会うのが旅の魅力のひとつなのですね。
また、このようにもおっしゃっています。
「人々の暮らし方や考え方であったり、文化や美術、デザインの類であったり、これまで自分が持っていた常識や美意識をどんどんひっくり返してもらえるのが楽しいし、気持ちが良いです」
低橋さんのコメントからは、これまで知らなかったものとの新たな出会いによって、視野あるいは世界観などと呼ばれるものが広がっていく清々しさのようなものが感じられます。旅って楽しそう!
低橋さんは目的の場所に飛行機で一気にたどりつくよりも、道のりを探りながら、陸路や航路を使って少しずつ進んでいく旅がお好きなのだそうです。目的地での行動だけでなく、たどりつくまでの旅程もまた旅だということですね。
■今と今後の低橋さん
旅に出る前は、やはり言葉に不安を持っていらしたという低橋さん。
漫画「付け焼き刃現地語習得」に描いたような経験をした現在の気持ちをお尋ねしたところ、低橋さんは次のようにお答えくださいました。
「まったく言葉がわからないとトラブルが起きたときなどに困るので語学はがんばりたいけれど、『付け焼き刃の現地語会話』も意外と楽しいし、それを楽しむ気持ちで旅を続けられたらいいなと思っています」
まだまだ旅を続ける気満々の低橋さん。これからも、白い”旅のトリ”がめずらしい体験や異文化にふれる漫画を読ませていただけそうです。