結婚して、子どもを産んで、子育てをして…。そんな生活が当たり前だと思っていませんか。
今回は、本当の幸せとは何かを教えてくれる、ある夫婦の結婚生活を紹介します。
■「夫婦2人だけでも幸せな家庭に」そんな夫との出会い
バリバリのキャリアウーマンであるAさん。38歳という年齢もあり、結婚は望んでいなかったそう。年齢的に出産も難しいと思っていたからです。
しかしそんな時、運命の人と出会います。
「こんな年で結婚しても、普通の家庭は築けないと言ったのですが…。『子どもはいてもいなくてもいいよ』と言ってくれて、安心して結婚しました。優しいけど、ウソはつかず正直に意見を言ってくれる人。この人となら、幸せになれるかなと思ったんです」
そんな2人の結婚生活は、幸せそのものだったといいます。しかし、人間というのは欲深いもの。
■「やっぱり子どもが欲しい!」40歳を過ぎて始めた不妊治療
結婚して半年経った頃、Aさんは夫に「子どもが欲しくなった」と告げました。
「仕事も充実、家に帰れば優しい夫。ここに子どもがいたらなぁと、いつからか思うようになりました。今でも十分幸せなのに、欲張りですよね。でも、夫は私の気持ちを認めてくれて、不妊治療を始めることになったんです」
ただ、妊娠できたとしても高齢出産。
■待ちに待った妊娠!しかし結果は…
「驚いたことに、不妊治療を始めて数カ月で妊娠できたんです。妊娠9週には心拍も確認できて、役所で母子手帳をもらって…。すごく幸せな気分で次の健診を待っていました。でも…」
健診の前日、Aさんは突然大量出血してしまったのです。
「赤ちゃんがいなくなり、しばらくは涙が止まりませんでした。でもそれと同時に、子どもが欲しいという気持ちは強くなったんです。まだ妊娠できるんだ、まだ頑張れるんだ。そう思いました」
それからというもの、今まで以上に必死に不妊治療に励んだAさん。
「仕事も抑えて、食事も気を遣って、やれることは何でもやりました。なのに、今月もダメ、また今月もダメ…そんな日々が続いて、夫にも八つ当たり。『少し休んだら?』と優しい言葉をかけてくれるのに、それが余計気に入らなくて。夫は不妊治療に無関心なんだって、思ってしまったんです」
■お金も心も限界…苦しむ妻に夫がかけた言葉
何年も続く不妊治療。
「お金も厳しいですが、それ以上に心が限界でした。でも限界だったのは、私だけじゃなかったんです」
ある日、夫から告げられたのは、まさかの「離婚」の2文字でした。
「『もう不妊治療に向き合うのは耐えられない。子どもはいなくてもいい。2人だけでゆっくり過ごしたいんだ。それが無理なら、離婚しよう』と、夫は言いました。その時の私は、悔しくて悲しくて…。こんなに頑張ってるのになんでわかってくれないんだって」
不妊治療のストレスと夫の言葉、そして離婚を切り出されたという現実に、感情が爆発してしまったAさん。この日、結婚して初めての大喧嘩をしたといいます。
しかし、時間が経って冷静になると、あの言葉は夫の優しさだということに気づいたそう。
「普段優しい夫が離婚を切り出したのは、考えに考えた結果だと思いました。決断させるために、苦しい選択肢を作ったんだと。それはきっと私のためだったんでしょう。できるかわからない子どもと、ずっと隣にいてくれる夫。どちらを選べばいいかなんて、決まっています」
そしてついに、不妊治療をやめたAさん。夫婦2人で生きていくことを決め、夫とできることを存分に楽しんでいるそうです。
「もちろん、子どもが欲しいという気持ちがゼロになったわけではありません。子どもがいる夫婦を見ると時々悲しくなります。でもそれより、趣味や旅行、夫と過ごす毎日を楽しもうと思えるようになったんです」
■夫婦仲良く歩んでいくために大切なこと
夫婦円満でいるためには、お互いを認め合うことが大切です。Aさんの場合もそうでした。
「子どもが欲しい」「子どもはいなくていい」お互いの気持ちを尊重し合ったからこそ、お互いを思いやることができる。時にぶつかることがあっても、その気持ちを忘れずにいれば、仲直りした時にはさらに絆が深まっているのではないでしょうか。
趣味もそうです。ゲームやパチンコ、理解できないような趣味であっても、度を越えない限りは笑って認めてあげることも大切。夫婦といえども他人ですから、時には息抜きがしたい時もあります。そうすることで、夫婦仲を良好に保つことができるのでしょう。
長い人生を寄り添っていく夫婦。子どもがいてもいなくても、仲睦まじく生きていく2人からは、これからも幸せな笑顔が溢れていくことでしょう。