■今期Q1大幅増益で通期予想は上方修正の可能性も



「棒ラーメン」のマルタイが業績絶好調! キャンプブームも追い...の画像はこちら >>

九州では知らぬ者のいないマルタイの棒ラーメン。全国区とは言えないまでも、各地にマルタイのファンはいるようです。



そのマルタイの業績が急速に伸びています。2021年3月期第1四半期(2020年4月~6月)の経常利益は対前年同期比で約6倍。今期予想も上方修正の可能性があります。



テレワークの昼食需要に加え、キャンプ飯としても知られるようになった棒ラーメンの製造販売を行うマルタイ。今後の成長に要注目です。



■緊急事態宣言下で即席ラーメンメーカーの業績が伸びる



4月7日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で発出された非常事態宣言を受け、多くの企業がテレワークの導入を進めました。



それに先立って行われた休校措置も相まって、自宅で昼食をとる機会が増える中、食卓に上る回数が増えたのは日本が生んだ即席ラーメンです。実際、即席ラーメンの生産を手掛ける企業の業績は今期に入り、いずれも急上昇しています※。



国内で即席ラーメンの会社といえばチキンラーメンやカップヌードルなどの日清食品(日清食品HD、2897)、マルちゃん正麺の東洋水産(2875)が有名ですが、棒ラーメンのマルタイ(2919)も忘れることはできません。



※参考:『日清、マルちゃん、マルタイ…即席麺メーカーの業績絶好調はどれだけ!?( https://limo.media/articles/-/19067 )』



■キャンプブームもマルタイの成長を後押しか



本州では日清やマルちゃんなどのナショナルブランドがメジャーですが、九州でマルタイは圧倒的な存在感を誇ります。若干ジャンルが異なりますが、東海地区の「スガキヤ」に似た存在といえるでしょう。



また、コロナ禍の前からブームとなっていたキャンプでも、棒ラーメンが重宝されています。



以前からアウトドア関係者の間では登山食やキャンプ飯として、持ち歩きにかさばらず・手早く食事の準備ができ・野外でもおいしい棒ラーメンの存在は知られていましたが、昨今のキャンプブームで裾野が広がっているようです。



コロナ禍での”テレワーク昼食”に加え、こうしたキャンプブームもマルタイの追い風となっているのではないでしょうか。



■2021年3月期の第1四半期は対前年同期比で経常利益が約6倍に



今期(2021年3月期)のマルタイの決算は、第1四半期(Q1)から大幅な増益を見せています。



  • 2021年3月期Q1:売上高25億円(対前年同期比+28%増)、経常利益4.0億円(同+479%増)、四半期純利益2.7億円(同+478%増)
  • 2020年3月期Q1:売上高20億円(対前年同期比▲2%減)、経常利益0.7億円(同▲32%減)、四半期純利益0.5億円(同▲54%減)

前期(2020年3月期)のQ1は減収減益となっていたマルタイですが、2021年3月期Q1は増収そして大幅な増益を果たしています。前期は1億円を割れていた経常利益は約6倍の4.0億円まで急増しました。



また通期予想(2021年3月期)は現状、売上高87億円(対前年同期比+1.6%増)、経常利益5.8億円(同▲3.7%減)、当期純利益3.8億円(同▲7.3%減)という減益の予想が開示されています。



しかし、Q1の状態から利益ベースでは第2四半期で達成が見込まれる予想数字であり、上方修正の可能性が高いといえるでしょう。



■マルタイは新工場を立ち上げへ、棒ラーメンは全国区になるか?



このように、マルタイの業績は飛躍的な成長を見せています。またマルタイは新工場の立ち上げなど生産体制の見直しも行うことで、今後の成長に向けた体制整備も進めています。



テレワーク下の昼食という”特需”のみならず、キャンプ飯としても知られるようになった棒ラーメンのマルタイは、今後企業として一段上の成長を見せる可能性があります。絶好調だった2021年3月期Q1に続き、Q2以降の決算の行方も注目されます。



【参考資料】
株式会社マルタイ 2021年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)( http://www.marutai.co.jp/company/ir/pdf/20200806_1.pdf )
「マルタイ、佐賀・石志工業団地に新工場( https://www.setsubitoushi-journal.com/article/?art_no=2020081104 )」(設備投資ジャーナル、2020年8月11日)



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