「複利は人類による最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」(“Compound interest is man’s greatest invention. He who understands it, earns it. He who doesn’t pays it.”)。



■アインシュタイン博士も絶賛の複利効果



この一言を残したのは誰でしょう。相当な金融のプロのようにも思えますが、ウォーレン・バフェットでもジョージ・ソロスでもありません。実は、相対性理論を発見したアルバート・アインシュタイン博士です。



エネルギーの大きさは物質の質量に光速の2乗をかけたものに等しい(E=mc²)ことを発見した博士は、1916年にこの言葉を残したとのことですが、彼にとって複利効果は相対性理論を凌駕する大発見だったのでしょうか。これに気づいた時、博士はもっと若い頃から複利を知っていればよかった、と思ったのかもしれませんね。



さて、複利は元々の元本に利息を加え、新しい元本として再投資していく仕組みです。

それほど難しい概念ではありません。利息を利息として受け取り、再投資しない場合は単利です。



単利の場合、利息が利息を生むことにはなりません。アインシュタイン博士でさえ複利は人類最大の発明と言っていることから、博士自身の資産形成はそれまでずっと単利運用だったのかもしれませんね。確かに単利と複利の違いなんて、普段は考えません。



参考:毎月3万円・年率3%で30年間複利運用した場合の累積投資金額



アインシュタインが絶賛する「複利効果」をもたらす金融商品は?

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注:各データより筆者作成



単利か複利かの選択を迫られる筆者の身近な事例は、定期預金の継続です。



筆者はインターネット専業銀行で取引していますが、定期預金の継続日には、①元本継続、②元利継続、③満期自動解約の選択が与えられます。ご自身の定期預金を継続する際、この選択を正確に判断できるでしょうか。実は単純な定期預金の継続でも、結構頭を使うのです。



■定期預金、元本継続・元利継続・満期自動解約の違い



①元本継続

これは元本だけ継続する定期預金です。



たとえば、100万円で1カ月定期預金を組んで満期日になった際、元本の100万円のみ再度1カ月定期預金で継続運用するものです。利息は普通預金口座に入金され、利息(税引後)が定期預金の元本に付加して継続運用されるわけではありません。いわゆる単利運用ですね。

利息は再投資されません。



②元利継続

これは満期到来した定期預金の元本と利息(税引後)を合算し、もう一度同じ期間で継続するものです。



一応複利の運用となりますが、自動継続後の運用期間によって金利は変わるので、同期間の定期預金を継続したからといってその後の運用期間で最大の金利を得られるというわけではありません(1カ月金利の方が1年金利より高い場合もある)。



③満期自動解約

満期自動解約はこれらの選択の中で最も不利に思えますが、もし元利を再度定期預金にして、前回と同じかそれ以上の金利がつくのであれば悪い選択ではありません。



たとえば、1カ月金利の方が1年金利より高い場合であればなるべく短期で継続再投資したほうが、資金を長期間寝かすよりも有利です。ただし、毎回手作業で定期預金を継続させるのは面倒ですが。



■預金以外で複利運用が可能なのは?



こうして考えると、定期預金もかなり複雑な金融商品になります。

預けるのは簡単でも継続する際に条件が付いてくるのは、預金者にストレスがかかります。



一方、預金以外の金融商品で複利運用が可能なものは意外と少なく、筆者が知る限り、投資信託(資産成長型・無分配型)くらいしか見当たりません。



株式でもできそうですが配当を同じ株式に再投資するのは難しく、企業の経営状況によっては、配当が出ないこともあります。最近注目されている金投資も、金はもともと利息を生みませんから再投資は不可能です。



定期預金も悪くはありませんが、利息はほとんど付きません。消去法ではありませんが、結局、小口の長期投資で複利運用するには投資信託(資産成長型・無分配型)しかないのです。



もっとも、その投資信託もかなり長期的にプラスリターンが見込めるもの、という条件は付いてきます。ここが難しいところなのですが…。