子どもの教育資金を貯める上で、多くの人が考えるのが「学資保険」ではないでしょうか。
最近では低金利の影響で学資保険はかつてほどの人気商品ではなくなったと言われています。
各家庭によって学資保険をどのように考えるかはさまざまです。今回は私立大学進学の平均的な費用を参考に、我が家のケースを紹介します。
■毎月の“先取り貯金”だと考える
我が家は共働き夫婦ですが、筆者は自営業のため産休や育休がなく、毎月の収入に幅があります。また夫は浮き沈みの激しい業界におり、さらに中小企業の管理職。今年はコロナの影響もあってボーナスも支給されないなど、決して安定しているとは言えないサラリーマンです。
そのため、毎月の家計でも、将来の教育資金を考えた時にも、決まった収入を見込みづらい状況にあります。1人目の子どもを妊娠してすぐに教育資金について夫婦で話し合っていたところ、ひとまず自分たちと同じように高校まで公立、大学から私立に通う場合を想定して毎月の目標貯金額は設定しました。
しかし、我が家夫婦はともに貯金が苦手。というのも筆者は毎月の収入が安定していないことに加えて夫は仕事柄、経費にならないタクシー帰りや仕事上の会食が少なくありません。妊娠中から目標の貯金額に及ばない月が経て続いていたために、とにかく「教育資金のための先取り貯金が必要だ!」ということで学資保険の検討を始めました。
■最もお金のかかる大学進学費用の“足し”にする
文部科学省の発表によると、平成30年度の私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額は文科系学部で1,166,922円、理科系学部で1,544,962円でした。
そのうち授業料と施設設備費は文科系学部で936,925円、理科系学部で1,290,654円なので、単純計算でこの学費が4年間続くとすると文科系学部も理科系学部ともに約400万円から500万円以上が必要になります。
筆者が現在加入しているA社の学資保険は、10歳までに保険料を払い終え、大学進学後は18歳から毎年40万円の学資金が5回受け取れるプランです。
月々の保険料は1万5千円ほどで、10年間でトータル190万円弱の支払いをすると、200万円が受け取れる計算。つまり、私立大学の4年間で必要な教育資金には到底足りません。
しかし、筆者はこれで十分だと考えています。学資保険は教育資金すべてをカバーするために入るものではなく、あくまでも教育資金の“足し”と考えているからです。返戻率が100%を超えている学資保険なら、支払った保険料に加えてプラスアルファのお金が戻ってくるので、“足し”としては十分なのです。
■残念ながら児童手当は教育資金のあてにならない
教育資金を貯める上で学資保険とともにメジャーとなっているのが、子どもを持つ親がもらえる児童手当を貯金するやり方です。しかし先日、政府は2021年の予算編成で“高所得者”への減額や廃止を調整していると報道されました。
また、所得制限の算定基準が、これまでの「所得が高い方」から「夫婦合算」となることも検討されています。そうなると、筆者夫婦の場合は政府の考える“高所得者”に当てはまることに。
残念ながら、現時点では「児童手当を貯金して教育資金に充てる」ということは考えないほうが賢明かもしれません。そうした背景からも学資保険を教育資金の小さな拠り所とするのは、決して悪くない選択肢ではないかと思うのです。
先述の通り、もちろん学資保険で教育資金のすべてをカバーできるわけではありません。学資保険の加入に悩んでいる人は、貯蓄や他の積み立て商品と組み合わせながらも、学資保険によって教育資金のための先取り貯金や”足し”にするという考え方をしてみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について( https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_sigakujo-000003337_1.pdf )」(文部科学省)