大学受験において、受験する学部選びは欠かせません。その際、興味関心と合わせて確認したいのが「学費」。
■学部別、学費の相場はいくらくらい?
大学在学中の4年間で支払う学費の合計額の相場を紹介します。学費に含まれているものは、大学ホームページで公表されている「入学金」、「授業料」、「各種諸経費」です。「各種諸経費」は私立大学のみで必要です。内訳は、「教育充実料」・「施設設備資金」・「実験実習費」・「学生健康保険互助組合費」・「父母会費」などです。
学費に含まれていないものは、受講する講義によって異なる「教科書代」、「一人暮らしをする場合に必要な諸費用」「留学をする場合の費用」です。学費に加えて、これらの費用もあらかじめ見積もっておく必要があります。
国公立
- 242万5,200円
- 医学部・歯学部・薬学部薬学科は349万6,800円(6年制のため)です。
国公立の大学は、文系でも理系でも4年制の場合、学費に違いはありません。原則としてどの大学も上記金額ですが、2点例外があります。
私立文系
- 約440万円~470万円
私立理系(※医学部・歯学部・薬学部を除く)
- 約580万円~670万円
私立医学部
- 約2,000万円~4,725万円
私立医学部は、大学による学費の差が最も大きい学部です。原則として、偏差値が高い大学になるにつれて、学費が安くなります。
私立歯学部
- 約1,920万円~2,700万円
私立薬学部
- 約940万円~1,430万円
国立大学に対し私立大学は、大学が自由に学費を設定するため幅があります。まずは学部ごとの学費相場を知っておくことが必要ですが、実際に出願したい大学が見つかったら、その時点でその大学の学費も確認しましょう。
実際に進路指導の場で、「A大学かB大学の〇〇学部に進学したくてずっと勉強を頑張ってきたが、B大学の学費がとても高いことを把握しておらず、出願直前に保護者から反対されてしまった」というケースもあります。
こういったことがないように、こまめに情報収集をしておくと安心ですね。
■学費が高くて行きたい学部を諦める前に
ここまでで、学部ごとの学費を紹介してきました。「進学したい学部は見つかったものの、学費が払えない」そういった方もいるかもしれません。ここからは、そんな方に知ってほしい制度をまとめました。希望の進学先を変更する前に、確認してみましょう。
① 奨学金制度
大学卒業後に返還の義務がある「貸与型」と返還の義務がない「給付型」があり、家庭の年収などの条件で利用できる奨学金の種類が異なります。最も利用者数が多いのが「日本学生支援機構奨学金」です。
その他、地方自治体・民間営利団体(交通遺児育英会・あしなが育英会など)・私立大学独自で奨学金制度を設けていることも多くあります。
② 成績優秀者への学費免除制度
入試の時点で枠を設けている「特待生入試」、または成績上位者に自動的に奨学金を給付している一般選抜にチャレンジするという方法もあります。
前者は「給費生入試」・「スカラシップ入試」など大学ごとに名称が異なることもあります。
③ (医学部限定)地域枠制度
医師免許取得後、決められた都道府県の医療機関に一定期間従事すれば、奨学金が免除される制度です。出身地の指定があるもの(地元出身者枠)と指定がないものがあります。
ただし、地域枠制度は詳細を確認しましょう。もともと地域枠制度とは、地方における医師不足や診療科の数の偏りを解消することを目的とした制度です。そのため、勤務地の要件に離島やへき地などを指定しているものもあります。
また、地域枠を離脱する(就業期間半ばでの退職など)場合は、高額な学費を期間内に返済しなければなりません。その場合は10%程度の高利子がつくこともあります。めざすキャリアと条件が合っているかの事前確認が必要です。
このように、学費の負担を減らすことができる制度は複数あります。金銭的な不安が理由で、優秀な人材を逃してしまうことがないように、国や大学がさまざまな制度を作っていることがわかってもらえたと思います。積極的に活用したいですね。
■まとめにかえて
これまでに多くの生徒の進路指導に携わってきましたが、「やりたいことが見つからない」という生徒がたくさんいました。
そのうえで、大学卒業までにかかる学費、利用できる制度をしっかりと把握し、経済的にも計画的な進路選択ができるよう応援しています。
参考資料
- リセマム「一橋大学、授業料を現行の120%に引上げ…2020年度入学者より」( https://resemom.jp/article/2019/09/12/52446.html )
- 独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)( https://www.jasso.go.jp/index.html )