ブルーベリーは樹高もコンパクトで、初心者にも育てやすい果樹です。
ブルーベリーの魅力は美味しい実だけではありません。
今回は、自宅で家庭菜園を楽しむ筆者より、鉢植えで育てるブルーベリーについてお伝えします。
■ブルーベリーの品種
- ツツジ科
- 低木果樹
- 原産:北アメリカ
- 参考価格:50~70センチの苗で700~1000円程度
ブルーベリーの品種は、大きく分けてハイブッシュ系とラビットアイ系の2種類。栽培する地域の気候に合わせた品種を選ぶようにします。
■ハイブッシュ系
ハイブッシュ系のブルーベリーはノーザンハイブッシュ系とサザンハイブッシュ系に分けられます。ノーザンハイブッシュ系の耐寒気温はマイナス20度。寒さに強く、暑さに弱いのが特徴です。関東以北、東北地方、北海道道南部でも栽培が可能です。
サザンハイブッシュ系の耐寒気温はマイナス10度。ノーザンハイブッシュに比べ、寒さにやや弱いのが特徴です。
■ラビットアイ系
ラビットアイ系は樹勢が強く成長も早いのですが、寒さにやや弱いので東北以北の冷涼な気候での栽培には不向きです。果実が熟す前に、白うさぎのような綺麗なピンク色に色づくことからラビットアイと名づけられました。

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甘くて大きい実が取れる「サザンハイブッシュ系」の苗。下葉が紅葉している。(LIMO編集部)
■ブルーベリーの育て方
それでは、ブルーベリーの基本的な育て方について解説していきます。
■ブルーベリーを育てる準備
まずは、ブルーベリーの生育に適した酸性の土壌づくりの準備や、栽培に必要なものについて説明していきます。
ひと回り大きなプランターを準備する
プランターは、コンパクトに育てたい場合は小さめのプランター、大きく育てたい時は大きめのプランターを選びます。
基本的には苗木の根鉢からひと回り大きなサイズを選ぶのがベストです。適度なサイズの鉢にすれば、苗もそうですが、お世話をする人にとっても負担が少なくなります。
プランターの素材は様々なものがあります。通気性や水はけを考えると素焼きのプランターや鉢がおすすめですが、乾燥しやすいというデメリットもあります。
プラスチック製は素焼き鉢を比較すると保水力に優れていますが、水やりには注意が必要です。軽く運びやすく、価格も安価なので、好みや生育環境に応じて選択するとよいでしょう。
酸性の土を準備する
ブルーベリーが育つのは酸性の土壌です。
酸度が調整されていない家庭菜園の土を使う場合は、pHが無調整のピートモスを混ぜる必要があります。ピートモスを混ぜることで、土を酸性よりに変化させることができます。
ピートモスは乾燥させてある土なので、混ぜ込む前には十分に湿らせて混ぜるようにしましょう。
同系統の異品種と一緒に育てる
ブルーベリーの実が結実するには受粉が必要です。特にラビットアイ系の品種は1本だけ植えても結実しにくく、収穫量が少なくなってしまうかもしれません。
同じラビットアイ系の品種を一緒に育てれば、受粉がうまく行われるので果実をたくさん収穫できるようになります。
ハイブッシュ系は自家受粉し一本で実がなる品種もありますが、こちらも同じハイブッシュ系の品種一緒に植えることでより実付きが良くなります。大きめの果実をたくさん収穫することができるようになりますよ。
収穫量を増やすために、できるだけ近くに植え付けたり、混植できない場合は鉢を近づけて置くことが大切です。
■植え付け
ブルーベリーは11月から3月までが落葉期なので、この時期に植え付けをします。
かなり寒い時期は避けたほうがよいので、温暖な気候の地域は11~12月、寒い気候の地域では3月中旬~4月が植え付け適期となります。
プランターの場合、プランターの底に鉢底ネットを敷いた上に、底から3センチほど鉢底石を入れます。苗木の根鉢は軽くほぐしておき、ブルーベリー用の培養土を使ってプランターに植え付けましょう。
用土がプランターの縁よりも3センチほど下になるようにして、ウォータースペースを確保します。苗木は通気性を良くするために浅植えにします。
ブルーベリーの根は横張りです。夏の高温や乾燥にも弱いので、マルチングなどをして株元を覆ってあげるとよいでしょう。
植え付け後は必要に応じて支柱を立て、水をたっぷりあげます。これで植え付けは完了です。
■植え付けたブルーベリーの管理
植え付けてから収穫までの、ブルーベリーのお世話について解説します。
■水やり
プランターの場合、土の表面が乾いてきたら、たっぷりと水やりをします。水やりはできるだけ午前中に行いましょう。
夏の高温・乾燥の激しい時期には、夕方にも水やりをします。
■肥料
2~3月の植え付け期には元肥を、初夏には追肥を、9月には収穫で使った養分を補給するためのお礼肥を施します。追肥には化成肥料がおすすめです。
■摘芯
より多くの実を収穫するため、枝数を増やすのに必要な作業が摘芯です。
5~6月頃、30センチ以上伸びた新梢の枝先を、伸びた長さの1/3ほど切り戻します。枝が外側に伸びるよう、外芽の上で切ってください。7月以降に翌年の花芽が枝先で作られるので、摘芯は6月までに終わらせましょう。
■人工授粉
実付きが悪い場合、花が咲いたら人工授粉をしましょう。受粉樹として植えた別の品種の花粉を筆などにつけ、収穫する品種の花の雄しべに花粉をつけます。
ラビットアイ系ならラビットアイ系同士など、人工授粉は同じ系統内の他品種同士で行うと実が大きくなり、収穫量も増えやすくなります。
■剪定
ブルーベリーは冬に剪定を行います。ブルーベリーは先端に花芽を付けるので、花芽を全て切り落としてしまわないように注意しましょう。
ブルーベリーは大きな芽が花芽で、小さな芽が葉芽です。花芽の位置を確認しながら、不要な枝を剪定しましょう。
■ブルーベリーの収穫
ブルーベリーの収穫時期は、ハイブッシュ系で6~7月、ラビットアイ系で7~8月ごろです。実が青紫色になって熟していたら収穫できます。実は簡単に取れます。
■まとめにかえて
ブルーベリーは無農薬でも育つ果樹。もぎたての美味しい果実がそのまま食べられるのは、育てた人だけが味わえる贅沢です。
また、観賞価値も高い果樹で、今の時期は赤く色づいた葉が私たちの目を楽しませてくれます。
手間がかかるように見えるかもしれませんが、お世話のひとつひとつは初心者にも十分できる作業です。手をかけた分だけ成果で応えてくれるブルーベリー。ぜひ挑戦してみませんか?
■参考資料
LIMO編集部「おすすめ果実「ブルーベリー」の育て方、収穫量がアップする3つのポイント」( https://limo.media/articles/-/25252 )