■個人株主重視の会社として知られるカゴメ、今後の留意点は?



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個人株主重視のスタンスで知られるトマト加工品の最大手カゴメ(2811)。2016年年初から順調に伸びてきた同社の株価は、いったん下落した後、2016年秋に再度上昇を開始しています。

そして、2017年3月には節目価格とも言うべき3,000円に突入しました。



株価は完全に上方ブレイクとなったわけではありませんが、すでに何度か3,000円に乗せています。個人投資家の根強い人気を背景に、今後のさらなる株価上昇に期待がふくらみます。一方、業績見通しについては、2017年12月期はこれまでと比べると成長が鈍化する計画となっています。



カゴメの株価は今後も右肩上がりで上昇を続けることができるのでしょうか。今回はその可能性について考えます。



■カゴメの株価が3,000円乗せ



トマトジュースを始めトマト加工品で有名なカゴメ。その株価は2016年年初より順調に上昇しています。2016年6月をピークにいったん下落しましたが、9月に底打ちをした後は再度上昇を開始。2017年に入った後も、下落することなく高値水準を維持して、遂に3月に入り節目価格とも言うべき3,000円に到達しました。



現在のチャートは3,000円台の維持、そして上方ブレイクに期待が持てるパターンとなりつつあります。



カゴメの過去6カ月間の株価推移



カゴメの個人株主数比率は99%超。株価は本格的上方ブレイクか

■一朝一夕にはいかない個人投資家開拓をどのように行ったのか



カゴメは個人株主重視の会社として知られています。



株主優待制度の導入はもとより、決算発表の早期化、株主総会の集中日を避けた単独開催、株主総会後の同社商品を利用した試食会の開催、持合い株式の個人投資家向けへの売出といった各施策を1998年より順次開始しています。



このように、カゴメは一朝一夕には進まない個人株主の開拓を地道に行ってきた会社と言えます。その結果、2016年12月期末時点での同社株主状況を見ると、全株主数(人数)に占める個人株主の比率が99%超と個人株主が広く薄く株を保有する会社となっています注1。



これまでの施策が着実に実を結んでいる状況と言えるでしょう。



注1:カゴメ「有価証券報告書( http://www.kagome.co.jp/library/company/ir/data/statutory/2016/pdf/2016_all.pdf )」



■カゴメの業績を振り返る



カゴメは2014年度以降、業績を伸ばしてきたことも見逃せません。過去5期分の業績推移は下記の通りです注2。



  • 12年12月期 売上高1,962億円、経常利益100億円、当期純利益65億円
  • 13年12月期 売上高1,930億円、経常利益75億円、当期純利益51億円
  • 14年12月期 売上高1,594億円、経常利益50億円、当期純利益44億円
  • 15年12月期 売上高1,956億円、経常利益70億円、当期純利益34億円
  • 16年12月期 売上高2,025億円、経常利益113億円、当期純利益68億円
  • 17年12月期予想 売上高2,100億円、経常利益119億円、当期純利益84億円

注2:カゴメ「財務・業績ハイライト( http://www.kagome.co.jp/company/ir/financial_highlight/ )」



2014年12月期以降業績は改善してきており、株価上昇の大きな要因となっています。



ただし、2017年12月期の予想ではこれまでの伸び幅が鈍化する計画となっています。これを株式市場がどのように評価するか、非常に興味深い部分となります。



■まとめ



個人株主比率が高く、個人株主が株を売らない会社は株価が下がりにくい傾向があると言われています。日本ではカゴメ、オリエンタルランド(4661)、日本マクドナルドホールディングス(2702)がその代表的な銘柄です。その中でもカゴメは業績の拡大を追い風に株価が上昇してきたと言えるでしょう。



株価チャートから見れば、節目の株価である3,000円をさらに上抜けする可能性もあるパターンとなっているカゴメですが、2017年12月期はこれまでと比べると成長が鈍化する計画となっています。



成長鈍化の中でも引き続き堅調な株価推移となるかどうか、今後のカゴメの株価について、業績の推移とともに注目したいと思います。



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