日本時間2022年5月8日にイーロン・マスク氏が「日本はいずれ消滅するだろう」とツイートしたことが話題になっています。



しかし、元ツイートについて明確に示した記事が思いのほかないので、ツイート本文を示したうえで、日本の人口推移についても整理してみました。



正しい理解の参考にしていただければ幸いです。



■1. イーロン・マスク氏はどのようなツイートをしたのか



話題になっているツイート全文は下記の通りです。



At risk of stating the obvious, unless something changes to cause the birth rate to exceed the death rate, Japan will eventually cease to exist. This would be a great loss for the world.
(当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るような何らかの変化が起きない限り、日本はいずれ消滅するだろう。それは世界にとって重大な損失だ)



内容自体は他メディアが報じている通りなのですが、このツイートがある記事への返信として行われているということはご存じでしょうか。



その記事というのは日本の通信社である共同通信の英語版で、日本総人口の減少を報じた記事です。



この記事は2022年4月15日に公開されています。



記事公開から半月後に大きな話題になることは珍しく、イーロン・マスク氏の影響力の大きさが伺えます。



■2. グラフで見る日本の人口推移



イーロン・マスクもTwitterで警告!2021年の日本の人口推移とは

出所:e-stat「人口推計」



e-stat「人口推計」のデータを使って日本の総人口推移をグラフ化してみました。



2010年にピークを迎えて以降、ゆるやかに減少傾向が続いていることがわかります。



「外国人人口」としているのは「総人口-日本人人口」で求めており、こちらについては継続して増加傾向です。



その結果、日本における外国人率はここ10年で大きな伸びを見せています。



それでも、日本の総人口は減少しているので、外国人の流入以上に日本人が減っていることが伺えます。



減少ペースを踏まえると、ここ10年程度でいきなり日本人口が消滅するほどではないので、「日本が消滅」とまで言うのは行き過ぎていますが、外国人を増やしても総人口が徐々に減ってきているのは事実です。



■3. 話題の発言との向き合い方



このように、話題の発言があった時はその発言を裏付けるデータと組み合わせて比較すると、どれくらい本当のことを言っているか、誇張しているかを理解しやすくなります。



ツイートの場合、誇張を入れたほうが拡散されやすい傾向もあるので、必要以上に大げさになりやすいです。



また、言及されているものが「いつ」公開されたかについても注意を向けると良いでしょう。



今回の場合は典型的に「有名な人が発言したから注目された」パターンと言えます。



日本の人口推計については日本政府が定期的に更新しているもので、だれでも確認できますが、この統計自体が大きな話題にはなりにくいためです。



とはいえ、今回のイーロン・マスク氏のツイートの場合は、多少の強調・誇張はあったものの、比較的事実を踏まえた発言であり、埋もれがちな事実について目を向けるきっかけになったので有益なツイートだったと言えるでしょう。



■参考資料



  • イーロン・マスク氏のTwitter( https://twitter.com/elonmusk/status/1523045544536723456?s=20&t=zRmxEbQfgMRZWrBt9v0zUg )
  • kyodonews “Japan's population falls by record 644,000 to 125.5 mil. in 2021”( https://english.kyodonews.net/news/2022/04/2682851af82b-breaking-news-tokyos-population-shrinks-for-1st-time-in-26-yrs-govt-data.html )
  • e-stat「人口推計」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200524&tstat=000000090001&tclass1=000001011679 )