子どもの頃、「大人になったら何になりたいですか」と聞かれることが多かったものです。
女の子ではケーキ屋さんや保育園の先生、男の子では野球選手やサッカー選手などと答える子どもたちが多くいましたね。
少し成長すると、学校の先生や弁護士など、より具体的な職業をあげる子が増える傾向にあります。
では令和を生きる中学生では、「なりたい職業」ランキングがどのように様変わりしているのでしょうか。
早速みていきましょう。
■イマドキ中学生が憧れる「将来なりたい職業」
ソニー生命株式会社が実施する「中高生が思い描く将来についての意識調査」から、将来なりたい職業ランキングをご紹介します。
■男子
1位 YouTuberなどの動画投稿者
2位 プロeスポーツプレイヤー
3位 社長などの会社経営者・起業家
4位 ITエンジニア・プログラマー
5位 ゲーム実況者
6位 公務員
6位 会社員
6位 プロスポーツ選手
9位 教師・教員
10位 ボカロP(音声合成ソフト楽曲のクリエイター)
10位 弁護士、裁判官など法律関係
■女子
1位 歌手・俳優・声優などの芸能人
2位 YouTuberなどの動画投稿者
3位 絵を描く職業(漫画家・イラストレーター・アニメーター)
3位 美容師
5位 ボカロP(音声合成ソフト楽曲のクリエイター)
5位 デザイナー(ファッション・インテリアなど)
7位 看護師
7位 保育士・幼稚園教諭
9位 ショップ店員
10位 ゲーム実況者
10位 カウンセラーや臨床心理士

出所:ソニー生命株式会社「中高生が思い描く将来についての意識調査」
男の子の1位、女の子の2位に「YouTuberなどの動画投稿者」がランクインしました。
近年では若い世代だけでなく、幅広い世代で人気のあるYouTube。製作者に対するリスペクトから、職業としてあこがれる中学生が多いことがわかりました。
少し前までは「YouTuberは安定しない職業」と眉をひそめる大人も多かったものですが、最近ではその給料事情などが気になることも増えたのではないでしょうか。
現実的に、子どもにYouTuberを目指したいと言われたとき、その実態を知っておくことが大切です。
■「YouTuber」の給料事情とは
ひとことにYouTuberといっても、動画制作だけで生計を立てている人はまだ一握りかもしれません。
人気のYouTuberも事務所に所属し、チームで制作することが多いです。
ファストマーケティングが男女288名に2022年2月14日~2月14日で行った「YouTuberに関する実態調査」によると、10人に1人がYouTubeへの動画投稿を収入源のひとつにしているようです。
本業ではなくとも、なんらかの収益を上げていることがわかります。
■YouTuberの平均月収「5000円~1万円未満」が最多
平均的なYouTuberとしての月収を聞く項目では、「5000円~1万円未満」が最多の28.7%でした。
次いで「1万円~5万円未満」が25.6%、「5000円未満」が20.7%です。一方、30万円以上と回答した人は5.2%にとどまりました。
月収が30万円でボーナスなしの場合、年収は360万円となります。この水準でも5.2%ということは、YouTuberの給料事情はかなり厳しいものがあります。
しかし今の子ども達が大人になる頃には、YouTuberや動画クリエイターのあり方が変わっていると予想されます。
収益化のシステムが変わり、平均月収が底上げされているかもしれませんし、誰もがアカウントを持って発信する時代になっている可能性もあるでしょう。
「YouTuberなんて」というのは簡単ですが、子どものなりたい気持ちを尊重し、その実態を一緒に調べる姿勢が大切になります。
■では日本の平均年収はいくらなのか
最後に、今の日本の平均年収について見てみましょう。
国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、令和2年12月31日現在の給与所得者数は5928万人です。
また1年を通じて勤務した給与所得者は5245万人で、その平均給与は433万円(前年比0.8%減、3万3000円の減少)でした。
実は、ここ30年ほど日本の平均給与は伸び悩み、400万円台を推移しています。賃金があがらないことや、非正規職員が増加したことなどが考えられます。
正規の平均給与は496万円ですが、非正規の給与は176万円にとどまります。男女別にも整理してみましょう。
■男性の平均給与
- 全体:532万円
- 正規:550万円
- 非正規:228万円
■女性の平均給与
- 全体:293万円
- 女性の正規:384万円
- 女性の非正規:153万円
女性は扶養内で働くために年収を低く抑える家庭も多く、こうした背景から非正規の平均は低くなります。
しかし、正規の年収でも男性の550万円に対して女性は384万円。これはキャリアダウンする女性が多いことから平均年齢が低いことや、総合職の少なさなども影響していると考えられます。
■まとめにかえて
今の中学生が憧れる職業の代表格「YouTuber」の給与事情を見ていきました。生計を立てるには厳しい現実がありますが、会社員であっても平均年収は伸び悩んでいます。
働き方が多様化する日本では、週休3日制を導入する企業も出てきました。副業の1つとしてYouTuberにチャレンジするのもひとつかもしれません。
働き方は1つではないので、多角的に考えていきたいですね。
■参考資料
- ファストマーケティング「YouTuberの平均月収は「5,000円~1万円未満」が最多」( https://fastmarketing-pro.com/youtuber-research-220411/ )
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/002.pdf )
- ソニー生命「中高生が思い描く将来についての意識調査2021」( https://www.sonylife.co.jp/company/news/2021/nr_210729.html )