■共働き世帯は児童手当を意識して工夫する方法
所得制限のある児童手当。一定以上の収入がある世帯には、通常の金額ではなく「特例給付」として月5000円が支給されていました。
気になるのは、共働き世帯の場合「年収1200万円は夫婦合算か」ということではないでしょうか。
この疑問について、くわしく解説していきます。年収が1200万円を超えている世帯の方は、ぜひ参考にしてください。
■1. 年収1200万円以上は児童手当が廃止に
中学校卒業までの子どもがいる世帯に支給される手当として、児童手当があります。児童手当は、年齢に応じて以下の金額が支給されます。

出典:内閣府「児童手当制度のご案内」
- 3歳まで…月1万5000円
- 3歳~小学校卒業まで…月1万円(第3子以降は1万5000円)
- 中学校卒業まで…月1万円
児童手当には所得制限があり、一定以上の収入がある世帯には、「特例給付」として月5000円が支給されています。
しかし、児童手当が見直され、年収が1200万円程度以上の場合、特例給付の廃止が決まっています。
廃止が始まる2022年10月支給分から、児童手当が受け取れなくなるのです。今回の見直しで影響を受ける子どもは推定61万人。確保された財源は、保育園の整備など、保育の充実にあてられることになっています。
児童手当は、子どもが生まれてから中学校卒業まで受け取れます。
世帯によって感覚はさまざまですが、100万円近くの金額になりますし、子どもが2人であれば、受け取れない金額はおよそ190万円です。一般的に、大きな金額と言っていいでしょう。
■2. 児童手当が廃止になる年収1200万円は夫婦合算か
年収が1200万円程度以上だと、児童手当が廃止になると説明しました。
ここで気になるのは、「年収1200万円とは、夫婦合算なのか」ということでしょう。共働き世帯は気になりますよね。
結論として、児童手当が廃止されるかは、「夫婦のうち高いほうの年収」で判断されます。つまり、夫婦合算で年収1200万円程度を超えたとしても、2人とも年収が1200万円以下であれば、これまでどおり特例給付が受け取れるのです。
例えば、夫婦がそれぞれ年収900万円の場合、世帯の年収としては1800万円です。
しかし夫婦どちらも、年収は1200万円を超えていません。2人とも年収が1200万円以上でなければ児童手当の特例給付は廃止にならないわけですから、これまで通り月5000円が受け取れることになります。
反対に、夫の年収が1300万円で、妻が専業主婦の世帯を見てみましょう。
しかし世帯年収は少なくても、夫1人で年収1200万円程度を超えています。この場合、児童手当の特例給付は受け取れません。
■3. 児童手当が廃止になる年収1200万円はいつの年収?
説明してきたように、夫婦のうち高い方の年収が1200万円程度以上の世帯は、児童手当が廃止になります。2022年10月支給分から廃止になりますが、判断の基準になるのはいつの年収でしょうか。
児童手当では、「前年の収入」を見ることになっています。例えば2022年分は、2021年1月~12月までの年収で判断されます。
■4. 共働き世帯は児童手当を意識して工夫する方法も
来年以降の児童手当を意識した場合、共働き世帯は年収を調節していくのも1つの方法です。
収入を上手く調節すれば、世帯年収をそれほど変えずに2人の年収を1200万円以下にできる場合もあるでしょう。児童手当を意識して、収入と向き合ってみることをおすすめします。
年収が1200万円以下にさがった場合、注意しなければならないのが「認定請求書の提出が必要」ということです。せっかく年収を調節するのですから、忘れずに提出してくださいね。
■5. まとめ
今回は、児童手当の特例給付廃止について見てきました。
年収が1200万円程度以上の場合、児童手当は廃止になります。これは、夫婦の合算ではなく高い方の年収。共働きの場合、児童手当を意識して調節するのもいいでしょう。
夫婦合算については議論が続いています。今回の見直しでは見送られましたが、今後は夫婦合算で判断される場合も考えられます。夫婦合算となり、児童手当が廃止された場合に備えておく必要があるでしょう。教育費など、子どもにかかるお金について、改めて考えておいてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 内閣府「児童手当制度のご案内」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html )
- 内閣府「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律等の施行について」( https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/r030901/pdf/s2.pdf )