■ジャパンミートや神戸物産に見る業務用スーパー業態分析
皆さんは、普段の買い物をどちらでされるのでしょうか。大手スーパーでしょうか、家の近所のコンビニでしょうか。
■その名も「業務スーパー」という一般の人も買える業務用スーパー
緑の看板に白抜きで「業務スーパー」という表示とともに「一般のお客様大歓迎」とかかれた看板を目にされた方も多いかと思います。業務用スーパー業で「業務スーパー」とネーミングしてしまうセンスがお見事というよりほかはありません。ただ、ひとたび店舗に足を踏み入れれば、買い物をしているのは一般の顧客らしき人ばかりにも見えます。その認知度は外食、飲食業のプロだけではなく一般消費者でも高まっているといえるでしょう。
2016年10月末時点の「業務スーパー」の店舗数は747店舗で、2015年10月末時点の713店舗から30店舗超も増えています。業務スーパーを展開する神戸物産は関西に拠点があります。したがって、関西の228店舗を筆頭に関東に191店舗、北海道に13店舗、それら以外の地方エリアに315店舗という具合に展開されています(いずれも2016年10月末時点)。
神戸物産は2017年1月に中期経営計画を発表しており、国内業務スーパーの店舗数を2016年10月末時点の747店舗から850店舗まで増やすことを目指すとしています。また、業務スーパー事業セグメントの売上高についても2016年10月期の2,055億円から2,450億円への増加を目指しています。今後もまだまだ出店を強化させていく計画といえます。
■ジャパンミートによる「肉のハナマサ」買収
プロ向けスーパー、特に肉に強い「肉のハナマサ」という目立つ黄色の看板を目にされた方もいるでしょう。
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に直営店を中心に50店舗(2017年1月末時点)を出店している状況ですので、認知度は関東に限ってという話になりますが、ハナマサが自宅近くにある方なら、その品揃えと価格に興奮した経験をお持ちのこともあるのではないでしょうか。特に大家族や肉料理で特別なおもてなしをするといった際には非常にありがたい存在です。
この「肉のハナマサ」を展開してきたのは株式会社花正ですが、スーパーや外食業を営むジャパンミートが2013年に完全子会社化をしています。ジャパンミートも花正を買収することで業務スーパー業態へ進出することになりました。
■ジャパンミートとはどのような会社か
ジャパンミートはもともと茨城県で創業した丸八肉店を源流としています。丸八肉店の創業当時は、食肉小売店等の卸売を行っていましたが、1964年に霞ストアー(現カスミ)との取引がはじまり、霞ストアーでの丸八肉店の存在感が高まり、1975年にカスミ畜産を設立するに至りました。その後、1978年に卸売店舗を出店する際に霞ストアーと混同されるのを避けるため、「ジャパンミート」が設立されました。
ジャパンミートは現在「生鮮館」というブランドでホームセンターである「ジョイフル本田」内に精肉や青果、鮮魚などを中心とした店づくりをしています。2017年1月末時点で13店舗あります。「生鮮館」は買い物をされた方はお感じになるかと思いますが、肉の品揃えが十分であることは当然として、商品あたりの量と安さに圧倒されます。
また、「卸売市場」というブランドでは東京23区外の関東圏に単独店舗として9店舗あります。
ジャパンミートの2016年7月期の売上高は972億円、営業利益は43億円、営業利益率は4.4%となっています。利益率水準は決算期が異なるために単純な比較はできませんが、「オオゼキ、カスミ、それともイズミ?あなたがよく使う地元スーパーはどこですか」( http://www.toushin-1.jp/articles/-/3756 )でもみたように比較的高い部類に入るといえるでしょう。
■プロ向けスーパーでのインパクトはやはり価格
さて、プロ向けスーパーとして「業務スーパー」や「肉のハナマサ」をご紹介してきましたが、買い物をする立場となるとそれらの店舗で心を動かされるのはまず第一に価格ではないでしょうか。もちろん価格とともに買った商品の内容が伴っていなければ、それ以降リピーターとなることは少ないかと思いますが、価格は店舗との最初の接点としては重要かと思います。
大手GMSの不調が叫ばれる中、地元に密着したスーパーやプロ向けスーパーが注目されるのは、大手GMSの間隙をぬったゲリラ作戦であった低価格戦略が継続的に試せる店舗がより目立ってきていることもあるのではないでしょうか。
ジャパンミートの「生鮮館」や「肉のハナマサ」で精肉の買い物を一度体験してしまうと大手GMSや電鉄系スーパーでの買い物がしにくくなったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。はじめはプロ向けスーパーには価格で驚かされることが多いのですが、買い物を繰り返していくうちに質もよいということに気付くことが多いからです。
■まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。今後は少子高齢化も進み、買い物のスタイルも変わってくる可能性は高いです。