■2022年9月9日公表の厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」を見る



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減...の画像はこちら >>

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(初公開日:2022年9月13日)

2022年9月9日に公表された厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」によれば、年金を受給する高齢者世帯で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は24.9%でした。



2019年調査では年金が総所得に占める割合が100%の世帯は48.4%。



たった2年間で、年金だけで生活する高齢者はおよそ2世帯に1世帯から、4世帯に1世帯へと半減しています。詳しく見ていきましょう。





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■高齢者世帯の所得に占める年金の割合。2年間の変化を円グラフで見る



まずは厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」より、年金を受給する高齢者世帯における、総所得のうち年金が占める割合別の世帯数を円グラフで見ます。



【写真1枚目/全5枚】2021年度 高齢者世帯の総所得に占める年金割合別 世帯数の構成割合



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減。割合を円グラフで比較【9月ベストセレクション】
2021年度 高齢者世帯の総所得に占める年金割合別 世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」( http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/03.pdf )



■年金の総所得に占める割合



  • 100%の世帯:24.9%
  • 80~100%未満の世帯:33.3%
  • 60~80%未満の世帯:15.9%
  • 40~60%未満の世帯:14.0%
  • 20~40%未満の世帯:8.4%
  • 20%未満の世帯:3.6%

所得のうち、年金を占める割合で最も多いのが「80~100%未満の世帯」で3割強。



一方で、約4割の世帯が年金が占める割合が80%未満となりました。



2019年調査も振り返りましょう。



2019年度 高齢者世帯の総所得に占める年金割合別 世帯数の構成割合



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減。割合を円グラフで比較【9月ベストセレクション】
2019年度 高齢者世帯の総所得に占める年金割合別 世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」( http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )



■年金の総所得に占める割合



  • 100%の世帯:48.4%
  • 80~100%未満の世帯:12.5%
  • 60~80%未満の世帯:14.5%
  • 40~60%未満の世帯:12.7%
  • 20~40%未満の世帯:8.1%
  • 20%未満の世帯:3.9%

2019年調査では、年金だけで生活する世帯は約半数でした。



上記の円グラフを比べると、大きく変化したのは「100%の世帯」と「80~100%未満の世帯」です。

「100%の世帯」が23.5ポイント減り、「80~100%未満の世帯」が20.8ポイント増加しているのがわかります。



■高齢者世帯の所得はいくらか



では、2021年調査の高齢者世帯の所得はいくらでしょうか。



各種世帯の平均所得金額 年次推移



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減。割合を円グラフで比較【9月ベストセレクション】
各種世帯の平均所得金額 年次推移

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」( http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/03.pdf )



2020年の高齢者世帯の所得は332万9000円※1。2018年の312万6000円から増加しているのがわかります。



※1「2021年調査」の所得とは、2020年1月1日から12月31日までの1年間の所得のこと。



なお、2020年の「特別定額給付金」については、「所得」の一部として調査したところ未記入等の調査票がみられましたが、特段補完処理を行わず集計等の分析が行われています。



各種世帯の所得種類別 平均所得金額



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減。割合を円グラフで比較【9月ベストセレクション】
各種世帯の所得種類別 平均所得金額

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」( http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/03.pdf )



高齢者世帯の所得の内訳を見ると、年金が207万4000円、雇用者所得が58万7000円、財産所得が22万9000円、仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得が28万8000円などとなっています。



各種世帯の生活意識アンケート結果



「年金だけで生活する高齢者」たった2年で4世帯に1世帯へ半減。割合を円グラフで比較【9月ベストセレクション】
各種世帯の生活意識アンケート結果

出所:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」( http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/03.pdf )



各種世帯の生活意識をみると、高齢者世帯の50.4%が生活が苦しいと答えていますが、全世帯の53.1%に比べると低くなっています。



生活意識については、2021年7月8日現在となっているため、物価高の多い今年はまた違った結果が見られるでしょう。



■まとめにかえて



高齢者世帯の総所得における年金の割合は、大きく変化しつつあることがわかりました。



2022年度の年金受給額は、昨年度より0.4%減額となっています。



一方で年々働く高齢者も増えており、そういった面も今回の結果に影響したのかもしれません。



今後も高齢者世帯にまつわるお金は大きく変化していくと考えられるでしょう。



■参考資料



  • 厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa21/dl/03.pdf )
  • 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf )
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