※このインタビューは2020/02/03に公開した記事となります。
中国株投資で大きな資産を築き上げたサラリーマン投資家、よしぞうさんインタビュー、後編をお届けします。
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米国株はアマゾンとエヌビディアを購入
──よしぞうさんは2016年に米国株を始められたんですよね。何かきっかけがあったのですか。
2015年ごろから、中国経済の成長が以前に比べて緩やかになりました。それまでは2桁成長がザラでしたが、6%くらいに下がってきたんです。もちろん、それでも他国と比較すると十分に高い伸び率ですが、このあたりで一国に頼るのではなく、ほかにも目を向けてみようと思ったんです。

──日本株への投資は考えなかったんですか?
当時はアベノミクス景気で盛り上がっていましたが、長い目で見るとやっぱり期待薄かなと。
──それで米国株を選んだ理由を教えてください。
僕は2004年から中国に投資してきて、最終的に中国を代表するIT企業であるテンセントで大きな資産を築くことができました。その経験を通し、これからは中国という地域でなく、「IT」というテーマを決めて集中投資するのもアリかなと考えるようになったんです。
──となると米国を無視するわけにはいきませんよね…。
はい。アップルにマイクロソフト、アマゾン、グーグルと世界的なIT企業はほとんど米国にありますから。
──それらに続くのがアリババやテンセントなどの中国企業…。
そう。ですから、米国と中国のIT企業に集中投資しようと思いました。
──実際にはどんな銘柄を購入したのですか?
1つはアマゾンです。グーグルやマイクロソフトなども候補でしたが、将来を見据えるとアマゾンかなと。
僕が投資先を検討するときには、主力事業の売上げや利益の伸び率をチェックするのですが、それとともに次なる成長の種が育っているかどうかも重要視します。現在の主力事業とはべつに、将来の柱となるような事業が育っているか…。その点、アマゾンはインターネットショッピング事業以外に、クラウド事業が順調に伸びていて、まだまだ成長するだろうと考えました。
──どれくらい保有しているのですか?
最初から大量に買ったわけではありませんが、何度か買い増ししたので、今はけっこう持っています。
──ほかには?
もう1つ、米国の半導体メーカー、エヌビディアも買いました。ここは半導体といってもAI(人工知能)に用いられる高性能GPUの開発・販売を行っている会社で、将来、大化けする可能性があるのではないかと。ただ、少し前に売却しました。
──将来の成長を見込んで買われたわけですよね。今現在の業績に対してはあまり神経質にならなくてもいいのでは?
たしかにそうなのですが、それも程度の問題です。売上げが伸び悩むという程度であれば、もう少し様子を見ようと思ったかもしれません。しかし、エヌビディアの場合、来期は減収になるという発表があったんです。それまで順調に売上げを伸ばしてきた企業が、突如、失速するというのは見過ごせることではありません。なんらかの問題が生じていると考えたほうがいい。それで、いったん手放すことにしました。
──なかなかシビアですね。
前回話したように今は銘柄を絞って投資しているので、シビアにならざるを得ないんです。自分なりに何かしらのルールを設定し、その基準をクリアできなかった場合には売却する、そういう意識を持つことが大事だと思っています。
中国政府の動向に気を配ることも大事

──ということは今現在、保有しているのは米国株のアマゾンと…。
中国株のテンセントです。ほかの中国株は売却しました。
──テンセントはずっと保有し続けているんですね。
実はテンセントも一度、売却したんです。リーマン・ショック後に購入したときの何十倍にも高騰して大きく稼がせてもらったわけですが、2018年にガクッと株価が落ちたんです。しかも、中国本土から聞き捨てならないニュースが流れてきました。それで、ここはいったん手を引くべきかなと。
──聞き捨てならないニュースとはどんなニュースですか?
中国政府がゲーム規制を打ち出したんです。当面、新規ゲームの許可を出さないと。テンセントはソーシャル・ネットワーク・サービス事業で大きくなった会社ですが、ここ数年はゲーム事業が主力です。スマホゲームやパソコンゲームの課金が収益の柱になっているわけです。とすると、新作ゲームをリリースできないというのはかなりの痛手になります。
──でも、また買い戻したわけですね。
はい、その後また政府の方針が変わったんです。それにテンセントという会社はまだまだ成長するという思いがありました。アマゾンは次の成長の種が育っているから購入した、と話しましたが、テンセントも同様で、フィンテック事業が育ちつつあります。だから、もうしばらく保有しておきたかった。
──たぶん売却したときにはかなりの税金を払ったと思います。それを考えると売らないほうがよかったのでは?
はい。ただ、あの状況ではやむを得なかったとも思っています。売るという選択以外、考えられなかった。だから、よけいな税金を払うハメになったとはいえ、後悔はしていません。
──お話を伺っていると、中国市場の特異性を感じますね。中国政府の意向や方針によって企業活動に制限がかかるようなことも起こるわけですよね。となると投資する側もなんらかの対応が必要では?
はい。そこは中国株投資の難しいところです。ある程度政府の動きに気を配るとか、そういう対応は必要でしょう。
──よしぞうさんご自身も中国政府の動向を気にかけている?
もちろんです。今なら米中貿易摩擦の動きとか気になりますし。
──そういえばブログでも米中合意のこととか詳しく書かれていました。
特に中国IT系のニュースについては強いと思うので自分でニュースを追うのが面倒という人は僕のブログを読んでみてください(笑)。多少は参考になると思います。
──今日はとても勉強になりました。最後にこの記事を読んで中国株に興味を持ったという人にオススメの銘柄を挙げていただけますか?
まずはやはりアリババとテンセントでしょう。
──IT業界以外ではどうですか。
中国第2位の保険会社である「中国平安保険」は面白いかもしれません。中国でも高齢化が進んでいるので、保険の需要はまだまだ高まりそうですし、それにこの会社は政府と組んでスマートシティの開発に乗り出すなど、ほかの分野にも積極的に進出しています。それらが軌道に乗ったら、大化けする可能性があります。あと、僕も以前、保有していた「恒安国際」も有望です。P&Gや花王のような生活日用品の、中国最大手で、業績が抜群に安定しています。高齢化社会の進展で、紙おむつなどの需要も拡大するはずですから、将来性も高いといえるでしょう。
──怖がらずに探せば、中国株には興味深い銘柄がまだまだありそうですね。どうもありがとうございました。
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(トウシル編集チーム)