誰もがやっていることをなぞるだけでは進歩がない
ブログ『 つみたてシータ 』やYouTube『 つみたてシータ 』、メルマガなどで投資初心者向けに情報を発信する、シータさんインタビューの後編をお届けします。シータさんは、数年前から個別株投資も行っていて、現在は新しい投資術にも挑戦しています。
今回はそれらの話に加え、これから投資を始めたいという人へのアドバイスをお伺いしました。
銘柄選びのヒントは身近にある
──前回、会社を辞めた後、米国株の個別株投資を始め、一時は2~3倍に増やしたとお伺いしました。個別株投資のスタートがいきなり米国株だったんですね。
はい、実は日本株は買ったことがありません。
──それでいきなり2~3倍に資産を増やしたというのもスゴイですね。
やはり、FXでの失敗を猛省し、ゼロから勉強し直したんです。個別株投資で稼ぐには、それなりの知識が必要だと思ったので、国内外を問わず、著名な投資家の本をかなり読みました。
──その中で参考になった本はありますか。
どれも得るものがありましたが、とくに影響を受けたのは2冊です。1つは、マーク・ミネルヴィニという人が書いた『 ミネルヴィニの成長株投資法 』、もう1つはウィリアム・J・オニールの『 オニールの成長株発掘法 』です。どちらも世界的に知られる名著なので、興味のある方は手に取ってみるといいと思います。ちなみにこの2人は、僕の「心の師匠」です。

『 ミネルヴィニの成長株投資法 高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ (ウィザードブックシリーズ) 』パンローリング/3,080円(税込)

『 オニールの成長株発掘法第4版 良い時も悪い時も儲かる銘柄選択をするために (ウィザードブックシリーズ) 』パンローリング/4,180円(税込)
──とすると、シータさんの投資スタイルは成長株投資なんですね。
はい、成長スピードが早い企業を探し出し、比較的短期間で利益を狙うという手法です。
──誰もが知っているような大型銘柄より新興銘柄を狙うことが多いんでしょうか?
はい。いわゆるGAFAMなどは買っていません。ただ、じゃあ、日本では誰も知らないような銘柄か、というとそんなこともありません。
──現在、保有している銘柄を教えてください。
米国の分析プラットフォーム企業、 データドッグ と、オーストラリアに本社を置くソフトウエア会社、 アトラシアン です。ただ、僕の場合、保有期間は平均6週間程度なので、このインタビューが記事になる頃には売却しているかもしれません。
──今年に入って苦戦気味とのことですが、トータルするとまだプラスではあるんですよね。
はい、今年の年初来リターンは21.61%(11/13時点)です。それでもS&P500には勝てていないので、インデックスの偉大さを実感しますね(笑)。
──では、個別株にも興味があるという人に向けて、何かアドバイスをいただけますか。
僕はもともとエンジニアの仕事をしていたので、会社員時代はいろいろなソフトウエアを使っていました。その中には、当時は広く知られていたわけではないけれど、その後、急成長して有名になった会社の製品もあります。
それで、よく「あの時、あの会社の将来性に気付いて株を買っていたら、すごい利益になっていただろうな…」と思うことがあります。そういう、身近なところにヒントがあると思います。これいいな、と思ったら、どんな会社なのか、株価はどうなっているのか、社長は誰か、など、その会社のことを調べてみるといいでしょう。
最新理論を学び、超分散投資に挑戦中
──最近、「FIRE(Financial Independence:経済的自立、 Retire Early:早期退職)」を目指す人が増えています。シータさんもFIREした1人といっていいんでしょうね。
僕は、FIREしようと思って会社を辞めたわけではないですからね。辞めたときは再就職も視野に入れていましたし。
──では、昨今のFIREブームをどう見ていますか。
毎日会社に行くのはしんどいし、仕事も面白いとは思えない。だから、お金をためてFIREしたいという人が多いのかもしれません。FIREという目標を設定して、そこに向かって頑張っていく、というのは素晴らしいことだと思います。。
仕事でも、趣味で始めたことでも何でもいいですが、全力でやっていたら、その実績が認められ、自分の力で生きていけるようになった──という方がカッコいいかなと思います。
──ご本人にFIREという意識はないのかもしれませんが、シータさんのような生き方に憧れる人は多いと思います。実際にはどうですか。
自分の好きなことをして暮らせるのはありがたいことだと思います。ただ、毎日楽しいことばかりかというと、そんなことはありません。視聴者の方々に満足してもらえる動画をコンスタントに作るのはラクではありませんし。それに、そのうち誰にも見てもらえなくなるかもしれないという危機意識もあります。
──ちなみにYouTube動画を作るのにどれくらい時間がかかるものですか。
人によると思いますが、僕の場合は1本作るのに1~2日かかることもあります。今は週2本程度アップしていますし、そのほかブログも書いているので、けっこう忙しいですね。悠々自適とはとても言えません(笑)。

──今後ですが、投資に関しては、今後もインデックスファンドの積み立てと米国株の個別株投資を続けていきますか?
当然、積み立ては続けます。米国株も、少しウエートを下げるかもしれませんが、やめることはないでしょう。
例えば、最近は「アダプティブアセットアロケーション」と言う手法にチャレンジしています。株式や債券、REIT、コモディティなどいろいろなアセットの中で最もリターンの高い銘柄を組み合わせて投資をする、と言うものなのですが、僕もオリジナルの論文を参考に自分で試したりしています。
──研究熱心ですね。
そういうことを考えるのが楽しいんです(笑)。利益が出る手法というのはインデックス投資だけではないので、相関が低い他の手法も取り入れて、資産全体のリスクを下げるのが、今の僕の楽しみになっています。
定年退職しても積み立てを続けるべし
──最後にトウシル読者に何かアドバイスをお願いできますか。
投資に興味があるし、将来のために何かしなければならないことは分かっている。でも、なかなか実行に移せないという人も多いと思います。おそらくそういう人は、投資に失敗し、お金を失うことを恐れているのでしょう。
その不安は分かりますが、投資というものを恐れすぎないでほしいですね。ひと口に投資といってもいろいろあり、リスクを回避しながら資産を増やす方法もありますから。

──その1つが世界経済に投資すること?
はい、繰り返しますが、世界経済の動きに連動する「全世界株式」に長期投資するという方法を取れば、着実に資産を増やせると僕は思っています。もちろん、一時的に下落することはあるかもしれません。この先、世界恐慌のようなことが起きないとも限りませんし。
でも、世界中が不況にあえぐようなことがあっても必ず回復に向かいます。いずれにしても長期視点に立って投資を続けてほしいと思います。
──若い人なら将来を見据えて、積み立てを続けようという気持ちになれると思います。でも、50~60代くらいになると20~30年先を見据えてといっても、そんな気にはなれないかもしれません。
いや、50代でも60代でも遅くはないと思いますよ。今や人生100年時代といわれているわけですし。
──定年退職した後でも?
もちろんです。給与収入がなくなると積み立てをやめてしまう人もいますが、それはもったいない。多少でもお金に余裕があるなら、その分を積み立てにまわしたほうがいい。何歳になっても続けてほしいですね。
──今日はありがとうございました。
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(トウシル編集チーム)