※この記事は2021年7月30日に掲載されたものです。


資産1億円を実現した米国株投資とは?

 ここ数年、米国株投資が人気を集めています。今までは日本株オンリーだったが、GAFAMや米国株ETF(上場投資信託)などを買ってみようと考えている人は少なくないでしょう。


 そこで、2021年2月に刊行された 『英語力・知識ゼロから始める! 【エル式】米国株投資で1億円』 の著者であり、米国株投資ブログ 『【L】米国株投資実践日記』 を運営するエルさんにご登場いただきました。


 エルさんは2015年ごろ、米国株投資を本格化。その後、資産1億円を達成し、2019年に51歳で早期退職を実現しました。まず前編では、米国株を始めた経緯などについて聞きました。


英語力がなくても恐るるに足らず

──昨今、米国株が注目を集めていて、米国株関連の書籍も多く発行されています。エルさんの著書 『英語力・知識ゼロから始める! 【エル式】米国株投資で1億円』 の副題に「英語力・知識ゼロから始める!」とありますが、英語が苦手でも米国株投資は問題なくできるものなのでしょうか?


 日本ではほとんど知られていないような中小の米国株銘柄を買おうと思ったら、英語が分かったほうが有利かもしれません。


 でも、メジャーな銘柄であれば、いくらでも日本語で情報を入手できますから、英語が読めなくても米国株デビューできると思いますよ。実際、私もそういうポピュラーな銘柄をメインにしています。


──情報量が多い銘柄や、有名な銘柄なら、敷居は高くないということですね。


 はい。むしろ私は、日本株より米国株のほうが始めやすいと思います。例えば日本株の場合は、基本的には100株以上でないと買うことができません。


 でも、米国株はGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)だろうと何だろうと1株から買えます。


 GAFAMは総じて株価が高いので1株でもそれなりのお金が必要ですが、1万円、2万円という少額で投資できるのは、米国株の魅力の一つだと思います。


──試しに1株買ってみるのもアリ、ということですね。


 もちろんです。少額であれば、万が一、株価が下がっても、損失も少なくて済みます。気軽にスタートできるという点では米国株から投資デビューしてみるのもいいと思いますよ。


見事な立ち回りでリーマンショックを乗り切った

──エルさんは最初から米国株に投資していたわけではないんですよね。


 新卒で入社したのが大手金融機関で、就職した2年目に、当時の上司から「社会勉強のため、株式投資でもやってみたらどうか」といわれたのがきっかけで投資を始めました。


 本来、金融機関に勤務していると個別株投資はできないのですが、当時は今ほど厳しくなかったし、それに私はインサイダー取引の疑いをもたれるような立場ではなかったので、金融知識を得る勉強として、勧めてくれたのでしょう。


──最初は日本株から始めたのですね。


 当時は米国株に投資している人なんてほとんどいなかったですからね。私も当たり前のように日本株を買いました。最初、 新日鉄(現日本製鉄:5401) を買ったのを覚えています。


──成績はどうでした?


 個別株だけでなく、投資信託──当時はインデックスファンドではなくアクティブファンドが主流でしたが──も買っていましたが、悪くはなかったですよ。


──成功事例があったら教えてください。


  ファーストリテイリング(9983) です。1994年の上場時は、かなり高値がついたのですが、その後低迷した時期があったんです。


 それで、今こそ買いだと思って購入したら、それからしばらくして「フリースブーム」が起こり、株価が急騰しました。投資金額は多くなかったのですが、そこそこまとまったリターンがあり、うれしかったですね。


──いい成功体験ですね! その後もずっと順調だったのですか?


 順調だったのですが、ご多分に漏れず、リーマンショックでやられました(笑)。毎月それなりの金額を投資に回していたこともあり、すでに資産は数千万円に及んでいました。


 そのすべてを株式に充てていたため、半分ほどに減ってしまいました。ただ、幸いなことに1、2年でピーク時まで戻すことができたんです。


──リーマンショック時は、なかなか苦境から脱することができない個人投資家も多かったですよね。どんな方法で取り戻したのですか?


 1つは、焦って売りまくるのでなく、じっくり構えたのがよかったと思います。もう1つは銘柄構成を変えたことが功を奏しました。


 大暴落が起こると、機関投資家はリスクをヘッジするため、売りに回ります。ところが、優良とはいえないような銘柄は、売りが殺到して、売りたくても売れなかったりします。


 そこで、何が起こるかというと、本当は売りたくない超優良銘柄を手放すことがあるわけです。つまり、大暴落したときは、我々個人投資家にとって、普段は手が出せないような超優良銘柄を買うチャンスなんです。


 リーマンショックのときも、優良銘柄が自分でも買える価格で売られていて、そのチャンスに買い集めました。


──本来は優良銘柄なのだから、相場が戻ったときの反発が早かったのですね。


 そういうことです。


──見事な立ち回りですね。


 すでに投資を始めてから何年もたっていたし、その間投資関係の本を読みまくったりもしたので、こういう状況になったらこうしよう、とシミュレーションできていたのだと思います。戻ってきたときはほっとしましたし、投資を続ける上での自信にもなりました。


米国株で資産を大きく増やし、早期退職を実現した

──リーマンショックの頃は、エルさんのポートフォリオは、まだ日本株がメインだったと思いますが、米国株はいつごろ買い始めたのですか。


 最初に買ったのは、リーマンショックの少し前、2005年のことです。私は本が大好きで、月に何冊も買うので、当時から アマゾン・ドット・コム(AMZN) を利用していました。


 それで、利用者の観点から、「こんな便利なものはない、この会社は絶対に伸びるぞ」と考え、アマゾン・ドット・コムの株を買いました。当時アマゾンはまだ赤字企業で、株価も安かったんです。


──今、アマゾンの株価はとんでもないことになっています。安値の頃、購入したとなるとそうとう利益が出たのでは?


 今もアマゾンは主力銘柄の1つですが、当時からずっと持ち続けていたというわけではないんです。何度か売ったり買ったりしています。だから、皆さんが想像するような、おいしい思いはしていません(笑)。


──それを機に米国株の割合を増やしていったのですか?


 いえ、その頃はまだ米国株は簡単に買えなかったんですよ。一般口座で買うしかなくて、売却したときの税金処理も面倒でした。


 そのため、その後もしばらくは日本株中心でした。本格的に米国株投資を始めたのは、特定口座で買えるようになった2015年ごろからです。


──米国株のほうが、成績がよかったからですか?


 その通りです。私は40歳のとき「2020年までに株式投資で1億円の資産を築き、早期リタイアする」という目標を掲げたのですが、目標より1年早く1億円に到達し、早期リタイアを実現しました。


 その大きな要因は米国株でした。2015年に米国株投資を本格的に始めていたからこそ、大きく資産を増やすことができたのです。ずっと日本株しか買っていなかったら、今もまだ会社に勤めていたかもしれません。


──次回は米国株の魅力をお聞きします。


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(トウシル編集チーム)

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