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著者の荒地 潤が解説しています。
「 「ドル/円、どの時間が一番動く? 」 」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは154.20円↓下値メドは152.25円アップル:iPhone生産の1/3をインドに。中国の依存度低める
ゴールド:歴史的に金価格のラリーは、実質金利がマイナスになった時に終わる
経済指標:経済データは、経済の急速な構造変化を捉えていない
雇用データ:雇用の企業アンケート調査の回答は5社に1社
英増税:英政府、金融所得課税24%に増税
前日の市況
2月13日(木曜)のドル/円相場の終値は152.78円。前日終値比1.65円の「円高」だった。
この日のマーケットは、昨日とは反対に大きく円高に動いた。
2025年32営業日目は154.32円からスタートした後、東京時間昼前に154.67円まで上昇したが、前日の高値(154.80円)には届く前に失速した。海外市場に入るとドル売りが強まり、153円台をスルーして明け方には152.71円まで下落した。もっとも、前日の安値(152.38円)までの円高には至らなかった。24時間のレンジ幅は1.97円。

今週は12日(水)には、トランプ大統領が発表した鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税政策を発表したことや米国の1月CPI (消費者物価指数)が予想を上回ったことから、FRB(米連邦準備制度理事会)が追加利下げに慎重になるとの見方でドルが買われた。
13日(木)は、トランプ大統領が「相互関税」(貿易相手国が米国より高い関税を課している場合に、その国からの輸入品に対する関税を同水準に引き上げること)を発表した。米国の1月PPI(卸売物価指数)は予想を上回る強さとなった。
12日と同性質の材料だったにもかかわらず、この日はドルが売られた。上下に大きく振れているものの、結局のところ強い方向感はでていない。
ユーロ/円、どの時間が一番動く?
今週のユーロ/円も大幅に上昇した。円安に加えて、ウクライナ戦争の停戦を期待して、ユーロのショートポジションの調整が進んだことがある。EU(欧州連合)とトランプ政権が関税問題を巡って解決案を模索しているとのニュースもユーロの買い材料になった。

上のグラフは、ユーロ/円の1日の値幅の推移で、どの時間帯にユーロ/円が「大きく動く」のかを示している。
青ラインは1時間単位の最大値幅、赤ラインは1時間単位の最小値幅、そして緑ラインは平均値幅になる。値幅とは高値と安値の差で、ユーロ高、ユーロ安の方向は考慮しない。1時間で160円から161円までユーロ高に動いても、160円から159円までユーロ安に動いても、値幅は同じ1.00円として表示している。
先週のユーロ/円は1時間に平均0.43円動いた。1時間の最大値幅は1.86円で、米国経済指標の発表が集中する時間帯である22時から23時に最も動いた。
24時間のうちで値幅が大きい時間帯は、
1)22時から23時(1.12円)
2)06時から07時(0.99円)
3)01時から02時(0.94円)
2)は、NY市場引け前の時間帯で、通常は動きが少ないのだが、先週はトランプ大統領の関税のニュースに反応して大きく動いた。
一方、動きが少ない時間帯は、05時、13時、15時で、1時間で平均約0.29円しか動いていない。
4時間単位の平均では、
07時から10時 0.76円
11時から14時 0.51円
15時から18時 0.53円
19時から22時 0.44円
23時から02時 0.97円
03時から06時
0.54円となっている。
2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
広告費は、企業がつまらないサービスや商品を作ったことに対する罰金である - ザッカーバーグ
I Saw the Light
1月雇用統計レビューBLS(米労働省)が2月7日に発表した2025年1月の米雇用統計では、NFP(非農業部門)の就業者数は14.3万人増加し、市場予想の17万人増を下回る結果となった。寒波やロサンゼルスでの悲惨な山火事などの特殊因が下振れ要因となって、レジャーやホスピタリティ部門の雇用が目立って減少した。
一方で、12月の就業者数は30.7万人に上方修正されて、直近3カ月の平均雇用者数は22万人を超えることになった。
失業率は4.1%から、昨年5月以来の低水準となる4.0%に低下した。また平均労働賃金は、前月比0.5%、前年比で3.9%上昇した。賃金の増加率はインフレ率を上回る水準が続いている。全体としては、1月は雇用者数の伸びは弱かったものの、依然として労働市場が堅調であることを示している。

12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の時点では、FRBは、2025年の失業率が4.3%に上昇すると予想していた。
今回の雇用統計の結果だけで、FRBが政策を変更することはないだろうが、2月の失業率が4.0%を下回る状況になれば、次回のドットチャートでは、今年の利下げ予想回数が2回から1回に修正されるかもしれない。
堅調な雇用統計に続き、1月のCPIも予想を上回る増加率となった。市場では、利下げの可能性について懐疑的な見方が強まっている。FRBは、トランプ政権による貿易関税、減税や規制緩和といった、インフレ率に影響を与える経済政策を見極めたいとの考えで、利下げは実施されるとしても、早くて9月との予想が増えている。

今週の注目経済指標

Winners & Losers

(荒地 潤)