決算好調で日経平均反発

 先週(営業日:2月10~14日)の日経平均株価は1週間で362円上昇して、3万9,149円となりました。企業の2024年10-12月期決算が好調であることが好感されました。


 ただし、日経平均はあいかわらず3万8,000~4万円の狭いレンジで膠(こう)着したままです。

トランプ関税の不安、米インフレ再燃の不安が、上値を抑えています。


日経平均週足:2024年1月4日~2025年2月7日
日本株:10-12月決算好調でもトランプ関税・米インフレ不安が上値抑える(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより作成

今期の業績見通しを上方修正

 ほぼ出そろった東証プライム上場3月期決算企業の2024年4-12月期の純利益は、前年同期比約15%増加しました。金融・情報通信など非製造業の利益が大きく伸びました。


 円安にもかかわらず、自動車・鉄鋼など製造業が減益ですが、それでも トヨタ自動車(7203) が2025年3月期の連結純利益予想を、3兆5,700億円から4兆5,200億円へ引き上げるなど、業績は持ち直しつつあります。


トヨタ自動車の連結純利益推移
日本株:10-12月決算好調でもトランプ関税・米インフレ不安が上値抑える(窪田真之)
出所:トヨタ決算資料より楽天証券経済研究所作成

 10-12月期の業績が想定以上に好調だったことを受けて、楽天証券経済研究所では、東証プライム上場企業の今期業績見通しを以下の通り、上方修正しました。


東証プライム上場主要841社連結純利益(前期比%)
日本株:10-12月決算好調でもトランプ関税・米インフレ不安が上値抑える(窪田真之)
出所:楽天証券経済研究所が作成

米インフレ再燃、米景気減速の兆しが出ていることに注意

 トランプ関税によって米インフレ率が高まる懸念があります。そうした懸念がある中で、先週12日に発表された、1月の米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合指数の前年同月比上昇率)は3%まで上昇していました。


 CPI総合指数の前月比は0.5%上昇しており、足元上昇率が再加速している懸念を生じました。トランプ関税の効果が出る前で、すでにインフレ再燃の兆しが出ていることが懸念されました。


米インフレ率(CPI総合・コア指数前年比上昇率)推移:2020年1月~2025年1月
日本株:10-12月決算好調でもトランプ関税・米インフレ不安が上値抑える(窪田真之)
出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 14日に発表された米小売売上高(前月比)は、前月比で0.9%減少と、米景気減速を懸念させる内容でした。米国は消費がGDP(国内総生産)に占める比率が7割と高く、その先行指標である「小売売上高」が弱いと、先行き米景気が減速する懸念を生じます。  


米小売売上高(前月比)推移:2022年1月~2025年1月
日本株:10-12月決算好調でもトランプ関税・米インフレ不安が上値抑える(窪田真之)
出所:米商務省より楽天証券経済研究所が作成

 1月だけのデータで、米景気の見方がすぐ変わることはありません。米景気は堅調とみられています。ただし、インフレ再燃・米景気減速の兆しが出ていることには、注意が必要です。


日本株、押し目買い方針を継続

 トランプ大統領が就任してから、まだ1カ月ほどしかたっていません。その間に、米国だけでなく世界経済の枠組みを大きく変える可能性のある大統領令を次々と出しています。実際に出したものもあれば、出すと予告して直前で取り消すこともあります。


 トランプ大統領の政策リスクが極めて高くなっていることが、日本株の上値を抑えています。政策の不透明感は、当分、続きそうです。


 日本株は割安で、長期的な上昇余地が大きいとみていますが、短期的なショック安はいつ起こるか分からない環境が続いています。こういう時は、リスク管理が大切です。割安な日本株を、時間分散しながら買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。


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(窪田 真之)

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