トランプ劇場に揺さぶられている米国市場ですが、そんな中でも狙える銘柄をしっかり押さえておきたいもの。米国大手のバイオ企業・ブリストル・マイヤーズ スクイブや注目のエナジーセクター・OGEエナジーなど、5万円以下で購入できる(2025年3月調べ)、4月権利落ち銘柄を要チェック!
米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。
米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。
これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。
そこで2025年4月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。
▼参照データ
• 株価… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年3月7日10時時点を採用
• 時価総額… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年3月7日時点の記載情報を採用
• 配当情報、決算情報… Investing.com のHPにて、日本時間2025年3月7日時点の記載情報を採用
• 為替:1ドル=148.00円で計算
※上記日付のデータで数値を抽出・算出しております。記事公開後の市況変動で数値が異なる場合がございますので、ご了承いただきますようお願いいたします。
その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。
(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。
ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。
※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。
(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。
(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。
2024年に制度改正された新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されています。
とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。
【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明は こちら 】
米国高配当株1: ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)
革新的な医薬品を開発するバイオテクノロジー企業と、大規模な基盤を保有する伝統ある製薬企業という二つの特長を兼ね備えた企業です。
専門性の高い疾患領域に特化した多様性のある「スペシャリティ・バイオファーマ企業」として、深刻な病気を抱える患者さんのお役に立てるよう歩んでいます。
常に、厳密な科学的手法に基づき、臨床的に優れ、経済的にも合理性のある医薬品を提供することを通じて、患者さんの疾患の治療と生活の質の向上を図るとともに、医薬品に関する十分な情報が適切に入手できるよう努めています。
時価総額は1,206億2,200万ドルで、日本円で約17兆8,500億円となっています(1USD=148.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業は医薬品事業(Pharmaceuticals)の単一事業で構成されています。
その中で、売上の中心地域は「米国市場(United States)」で、続いて「国際市場(International)」となっています。
また、売上の中心製品は抗血栓薬「エリキュース(Eliquis)」で、続いてがん治療薬「オプジーボ(Opdivo)」、エイズ治療薬「レブラミド(Revlimid)」、抗リウマチ薬「オレンシア(Orencia)」などとなります。
「エリキュース」は、血栓ができるのを防ぎ、血管が詰まるのを予防する抗凝固薬として脳梗塞が起こるのを抑えることが期待され、「オプジーボ」はT細胞の活性化を促すことで、がんに対する免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示します。
競合他社
競合他社として、人や動物の病気予防や治療促進といった健康ソリューションを提供するための研究を展開するバイオ医薬品企業の メルク(MRK) 、バイオ医薬品ロイヤルティの買い手であり、バイオ医薬品業界全体のイノベーションへの資金を提供する会社である ロイヤルティ・ファーマ(RPRX) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は16年連続で増配しています。
直近の決算で会社側は、「2024年は順調な進展を遂げることができ、第4四半期には主力製品と重要なパイプラインの進展により売上高が大幅に増加し、最高の結果を収めることができました」と発表しています。
また、「昨年は成人の統合失調症治療薬であるコベンフィ(Cobenfy)の米国での承認も得ることができ、この薬は新たな成長の原動力として患者と当社に大きな影響をもたらすものと期待しています」と発表しています。
直近では相場が大きく動いていますが、同社の株価は下がることなく推移しており、相場変動時に備えて配当を目的に保有してもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年2月6日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
直近の決算で会社側は、第4四半期の売上高は123億ドルで、前年同期比で8%の増加、為替の影響を調整すると9%の増加となり、主に成長ポートフォリオとエリキュースの需要増によるものであると発表しています。
また、四半期決算について「私たちは実行に重点的に取り組んできたことで、持続可能なトップクラスの成長と長期的な株主還元を実現するための複数年にわたる道のりを進むための強固な基盤を築くことができました」とも発表しており、今後も堅調な業績とそれに伴う株価の推移が期待されます。
次回2025年4月24日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
ジェネリック医薬品の影響により売り上げが落ちてきている製品もあるため、今後も新薬を開発し続けることができるか注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:2.48ドル
配当利回り:4.14%
株価:60.18ドル(約8,900円)
この銘柄の権利落ち日は4月4日(権利実施は5月1日)です。
配当利回りは3月7日時点で4.14%、株価は3月7日10時時点で60.18ドルでおよそ8,900円から購入できます(1USD=148円計算)。
2023年からの最高値は74.53ドル、最安値は39.66ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株2: ロイズ・バンキング・グループ(LYG)
英国を拠点とする大手金融サービスグループで、主に個人および法人のお客さまを対象に、幅広い銀行サービスおよび金融サービスを提供しています。
バンク・オブ・スコットランドとロイズ銀行の設立以来、300年以上にわたりお客さまと地域社会を支援してきました。
Lloyds Bank、Halifax、Bank of Scotland、Scottish Widowsなど、多くの著名なブランドを傘下に収めており、複数の認知度の高いブランドを通じてサービスを提供することで、異なる顧客層のそれぞれのニーズに、より効果的に対応しています。
時価総額は550億9,500万ドルで、日本円で約8兆1,500億円となっています(1USD=148.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「リテール事業(Retail)」で、続いて「商業銀行事業(Commercial Banking)」「保険・年金および投資事業(Insurance, Pensions and Investments)」などになります。
「リテール事業」では、個人顧客向けに、当座預金、貯蓄、住宅ローン、クレジットカード、無担保ローン、自動車ファイナンス、リース・ソリューションなど、幅広い金融サービス商品を提供しており、「商業銀行事業」では、中小企業や法人・機関投資家を顧客とし、貸出、トランザクション・バンキング、運転資本管理、デット・ファイナンス、リスク管理サービスを提供するとともに、グループ全体と顧客を結びつけています。

競合他社
この銘柄は楽天証券のHPでは競合が開示されていません。
株式の注目ポイント
株価は年初水準を大きく上回って推移しており、配当は昨年増配しています。
直近の決算で会社側は、「当グループは2024年度も堅調な業績を達成することができ、うれしいことに銀行業務純利ざやの上昇とその他収益の勢いに支えられ、下半期には収益が拡大しました」と発表しています。
また、「資産の質は堅調を維持する一方、コスト面でも規律を維持しており、私たちはより高い持続可能なリターンを目指し、2026年までに15億ポンド以上の追加利益を戦略的イニシアチブから生み出すことを確信しています」と発表しており、この決算発表から株価は約1割上昇して推移しています。
マーケットが変動している中でも、株価が上昇していることもあり配当を目的として保有してもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年2月20日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回り、売上は市場予想を下回りました。
直近の決算で会社側は、第4四半期には自動車金融手数料の取り決めに関連する潜在的な是正費用として7億ポンドの追加引当金を計上したが、年間で法定税引後利益は45億ポンド、基礎利益は63億ポンドとなり堅調な財務実績を達成することができたと発表しています。
また、2026年までに戦略的取り組みによって15億ポンド以上の追加収益を達成するなど、中期的な収益見通しに自信を深めているとも発表しており、今後も堅調な業績が期待されます。
次回は2025年5月1日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
金利の変動による収益および資本へのリスクを、金利の変動に対して安定的または感応度の低い純債務をヘッジすることで管理しているものの、想定を大きく超える状況の際はカバーしきれない可能性もあり注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:0.25ドル
配当利回り:6.46%
株価:3.79ドル(約560円)
この銘柄の権利落ち日は4月11日(権利実施は5月30日)です。
配当利回りは3月7日時点で6.46%、株価は3月7日10時時点で3.79ドルでおよそ560円から購入できます(1USD=148円計算)。
2023年からの最高値は3.90ドル、最安値は1.89ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株3: OGEエナジー(OGE)
オクラホマ州およびアーカンソー州西部で主に電力事業を展開する持株会社です。
電力事業はOG&Eを通じて運営されており、OG&Eはオクラホマ州およびアーカンソー州西部で発電、送電、配電、電力販売を行っています。
OG&Eはオクラホマ州最大の電力会社であり、120年以上にわたり全米で最も手頃な料金で、法人や家庭に安全で信頼性の高いエネルギーを供給し、多様な燃料ポートフォリオ、高い顧客満足度を基盤として、生活に活力を与えています。
時価総額は90億7,500万ドルで、日本円で約1兆3,400億円となっています(1USD=148.00円換算)。
事業の注目ポイント
持ち株会社であり、子会社に電力事業を営むOG&Eなどで構成されています。
売上の中心であるOG&Eでは、オクラホマ州最大の都市オクラホマシティ、他にもアーカンソー州フォートスミスを含む3万平方マイルに及ぶサービスエリアを通じて、オクラホマ州とアーカンソー州西部の約89万6,000人の顧客に小売電気サービスを提供しており、2023年の電気事業総収入の91%をオクラホマ州での販売から得ています。
競合他社
競合他社として、Southern California Edison Company(SCE)とEdison Energy, LLC(Edison Energy)の持株会社である エジソン・インターナショナル(EIX) 、電力の生成、送電、配電を行う総合エネルギー会社である ポートランド・ジェネラル・エレクトリック(POR) 、子会社のIdaho Power Company(Idaho Power)を通じて運営される持株会社である アイダコープ(IDA) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を上回って推移していますが、配当は横ばいで推移しています。
直近の決算で会社側は、「優れた経営陣と当社の献身的なチームにより2024年度は素晴らしい業績を達成することができましたが、ここ数年にわたって当社が行ってきた送電網の強化と発電所への投資もあって顧客数の著しい増加と電力需要がもたらされ、当社のサービス地域全体における経済および地域社会の成長を推進する当社の継続的な取り組みを支えています」と発表しています。
また、ホースシューレイク発電所における二つの新しい天然ガス発電ユニットの完成に伴い、「当社は今後も地域におけるエネルギー需要の高まりに対応していくことが可能となった」とも発表しており、今後も堅調な業績とそれに伴う株価の推移が期待されます。
業績動向
2025年2月19日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
直近の決算で会社側は、「2024年度の純利益は4億6,990万ドル、希薄化後1株当たり利益は2.33ドルとなり、これに対し2023年度の純利益は4億2,640万ドル、希薄化後1株当たり利益は2.12ドルでした。しかし、純利益の増加は、資本投資の回復と営業収益の増加が主な要因でした」と発表しています。
また、2025年の見通しについては純利益を4億9,100万ドル、平均希薄化後1株当たり利益は2.43ドルと予想しており今後も堅調な業績が期待されます。
次回は2025年5月1日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。
注意点
OG&Eは通常、空調需要の季節的性質により、第1四半期と第4四半期には最小限の収益しか示さず、収益の大部分は第3四半期に示しています。これも天候によって変動があるため注意が必要です。
株価動向、配当利回り紹介
配当:1.68ドル
配当利回り:3.77%
株価:44.05ドル(約6,500円)
この銘柄の権利落ち日は4月7日(権利実施は4月25日)です。
配当利回りは3月7日時点で3.77%、株価は3月7日10時時点で44.05ドルでおよそ6,500円から購入できます(1USD=148円計算)。
2023年からの最高値は46.32ドル、最安値は31.94ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株4: アッヴィ(ABBV)
アッヴィは、米国に本社を置く、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。
現在、世界70カ国以上で約5万人がアッヴィで働いており、日本の社員数は1,800人を超えています。医薬品の開発と提供にとどまらず、責任ある企業市民として、人々、社会、環境のために尽力しています。
2013年にすでに125年の歴史を持っていたヘルスケアカンパニーであるアボット・ラボラトリーズ社の分社化により誕生した医薬品企業であり、事業開始以来、アッヴィのミッションは揺るがず、患者中心主義(Patient Centricity)に根差した活動を行っています。
時価総額は3,667億7,000万ドルで、日本円で約54兆2,800億円となっています(1USD=148.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業は医薬品事業(Pharmaceuticals)の単一事業で構成されています。
売上の中心は、乾癬や潰瘍性大腸炎などの治療に用いられる「スキリージ(Skyrizi)」で、続いてアトピー性皮膚炎治療薬の「リンヴォック(Rinvoq)」、関節リウマチや潰瘍性大腸炎、乾癬などの治療に用いられる「ヒュミラ(Humira)」、統合失調症や双極性障害、うつ病の治療に用いられる「ブレイラー(Vraylar)」などとなります。
「スキリージ」は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を効能・効果としています。
「リンヴォック」は、選択的かつ可逆的にJAKを阻害し、関節リウマチ、乾癬性関節炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎および強直性脊椎炎の病態に関与するシグナル伝達を阻害することによって、炎症性サイトカインの産生を抑制する製品となります。
競合他社
競合他社として、研究に基づくグローバルなバイオ医薬品会社である ファイザー(PFE) 、ヒト用医薬品セグメントの製品を発見、開発、製造、販売する医薬品会社の イーライリリー(LLY) 、人や動物の病気予防と治療促進といった健康ソリューションを提供するための研究を展開するバイオ医薬品企業のメルク(MRK)などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初の水準を若干上回って推移しており、配当は今年に入って増配しています。
直近の決算で会社側は、「2024年はアッヴィにとって大きな進歩を遂げた年で当社の成長基盤は優れた業績を達成し、主要な規制当局の承認と有望なデータによりパイプラインを進展させ、戦略的取引を通じて事業を強化しました」と発表しています。
また、「当社は大きな勢いを持って2025年を迎え、ヒュミラの独占権失効の翌年には、純売上高が過去最高を上回る見込みです」とも発表しています。
直近で相場が大きく動いていますが、同社の株価は下がることなく推移しており、相場変動時に備えて配当を目的に保有してもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年1月31日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
直近の決算で会社側は、2024年に取得したIPR&Dおよびマイルストンの費用に関連する件で株価に不利な影響があったため、GAAP基準による通期希薄後1株当たり利益は12.1%減、調整希薄後1株当たり利益は8.9%減となりました。
ただし、長期見通しでは2029年までの年間売上高成長率が1桁台後半になるとの見通しを再確認するとともに、スキリージとリンヴォックの2027年の合計売上高見通しを10億ドル超に上方修正。美容事業の2025年から2029年までの年間売上高成長率も1桁台後半になるとの見通しであると発表しており、今後も好調な業績で推移する事が期待されています。
次回2025年4月25日に開示予定の四半期決算で、前年同期を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
会社側は、為替レートおよび金利の変動により、収益、キャッシュ・フローおよび資本が悪影響を受けるリスクにさらされていると発表しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:6.56ドル
配当利回り:3.10%
株価:210.75ドル(約3万1,100円)
この銘柄の権利落ち日は4月15日(権利実施は5月15日)です。
配当利回りは3月7日時点で3.10%、株価は3月7日10時時点で210.75ドルでおよそ3万1,100円から購入できます(1USD=148円計算)。
2023年からの最高値は211.54ドル、最安値は132.51ドルとなっています(終値ベース)。
米国高配当株5: バンク・オブ・モントリオール(BMO)
1817年創業のバンク・オブ・モントリオールは、総資産1兆4,100億ドルを保有する北米第8位の銀行です。
幅広い商品・サービスを提供する多角的な金融機関で、北米全土および世界の一部地域、三つの統合事業グループを通じて1,300万人の顧客にサービスを提供しています。
金融サービスのリーディング・カンパニーとしての地位を生かし、同僚、顧客、地域社会が持続可能で前向きな変化をもたらす機会を創出するとともに、経済の繁栄、持続可能な未来、インクルーシブな社会の創出を目的にビジネスを展開しています。
時価総額は730億3,792万ドルで、日本円で約10兆8,000億円となっています(1USD=148.00円換算)。
事業の注目ポイント
事業の中心は「カナダ損害保険事業(Canadian P&C、P&C= Property and Casualty Insurance)」で、続いて「米国損害保険事業(U.S.P&C)」「資本市場事業(BMO Capital Markets)」「ウェルス・マネジメント事業(BMO Wealth Management)」となります。
「カナダ損害保険事業」「米国損害保険事業」では、カナダ・米国の北米全域の顧客に金融商品とサービスを提供しています。カナダでは約900の支店とコンタクトセンターなど、米国では約1,000の支店を通じて、パーソナル・バンキングおよびコマーシャル・バンキングを展開し顧客にさまざまな金融サービスを提供しています。

競合他社
競合他社として、世界的金融機関である RBC(RY) 、金融サービス持株会社である USバンコープ(USB) 、金融サービス会社である ウェルズ・ファーゴ(WFC) 、デジタルバンキングおよび決済サービス会社で、銀行持株会社であると同時に金融持株会社でもある ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ(DFS) などがあります。
株式の注目ポイント
株価は年初近辺の水準で推移していますが、配当は今年に入って増配しています。
直近の決算で会社側は、「当社は、幅広い分野で収益が伸び、各事業グループで営業レバレッジがプラスに働くという好調な第1四半期の業績を達成。貸倒引当金は予想通り前期から減少しており、自社株買い戻しプログラムも開始しました」と発表しています。
また、「地理的にも事業的にも多様化が進んでいるため、このダイナミックな事業環境において競争し、成長していくための体制が整っている当社のバランスシートは強固である」とも発表しています。
相場が大きく動いていますが、同社の株価は大きく下がることなく推移しており、相場変動時に備えて配当を目的に保有してもよいのではないでしょうか。
業績動向
2025年2月25日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。
直近の決算で会社側は、「純利益は21億3,800万カナダドル、EPSは2.83カナダドルで、前年の12億9,200万カナダドル、1.73カナダドルから増加。調整後の純利益は22億8,900万カナダドル、EPSは3.04カナダドルで、前年の18億9,300万カナダドル、2.56カナダドルから増加しました」と発表しています。
また、自己資本利益率は7.2%から10.6%に上昇、Tier1比率は13.6%(前年同期は12.8%)となったとも発表しています。
会社側は、2025年のカナダ経済は緩やかに拡大すると予想していることから今後も堅調な業績が期待されます。
次回2025年5月28日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。
注意点
会社側は今後のカナダへの関税リスクについて、将来に影響を与える可能性があるとして認識しています。
株価動向、配当利回り紹介
配当:4.44ドル
配当利回り:4.47%
株価:98.12ドル(約1万4,500円)
この銘柄の権利落ち日は4月29日(権利実施は5月27日)です。
配当利回りは3月7日時点で4.47%、株価は3月7日10時時点で98.12ドルでおよそ1万4,500円から購入できます(1USD=148円計算)。
2023年からの最高値は104.14ドル、最安値は74.22ドルとなっています(終値ベース)。
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【要チェック】
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また、リーファス社の公式YouTubeチャンネル 『ニーサ教授のお金と投資の実践講座』 では、同コラムの他にも動画でお金と投資の知識を学ぶことができます。
(西崎努)