トランプ不況への不安で日経平均急落。ただし、下がったところでは押し目買いも活発。
先週の日経平均は一時3万6,000円を割れた後、急反発
先週(営業日3月10~14日)の日経平均株価は、1週間で263円上がり、3万7,053円となりました。11日にトランプ不況への不安で一時3万5,987円まで急落しましたが、下がったところでは個人投資家などの押し目買い意欲が強く、そこから急反発して、週の終わりには3万7,000円台まで戻りました。
日経平均週足:2024年1月4日~2025年3月14日

世界景気はトランプ関税次第?
世界景気の緩やかな拡大が続くか、あるいは突然景気後退に見舞われるのか、焦点となるのはトランプ関税です。4月2日に世界各国に「相互関税」を課すこと、さらに自動車・半導体・医薬品・木材製品などにも関税を課すと予告されていることが不安材料となっています。
全て実施すると、自動車産業を筆頭に世界中の製造業がダメージを受け、米国も含めて世界的な景気後退に陥る可能性があります。
実施済み、実施予告中のトランプ関税

トランプ関税は、米国経済にもダメージを及ぼします。トランプ大統領は、輸入関税によって米国の製造業を守ることをねらっていますが、それは、米国の消費者を犠牲にすることとなります。安価な輸入品に高率の輸入関税がかかると、インフレ再燃・生活必需品の価格上昇につながるからです。輸入品全般に高率の消費税をかけたのと同じ効果が出ます。
トランプ大統領は製造業を守ることを意図していますが、メキシコ・カナダ25%関税が導入されると、米国の自動車産業がダメージを受けます。メキシコ・カナダでサプライチェーンを築いているからです。
また、米国の農業にもダメージが及ぶ可能性があります。中国をはじめとして、世界各国が報復関税を発動すると、米国の農産物の輸出が減少するからです。中国は、第1次トランプ政権の時から、農産物の輸入先を米国からブラジルにシフトしており、その動きが加速すると思われます。
世界的な不況になるまで、トランプ関税がエスカレートするリスクも否定できず、米国株も日本株も上値を抑えられます。ただ、あり得ないことですが、トランプ大統領が「これ以上の輸入関税は発動しない」と表明すれば、世界景気の不安はなくなり、米国株も日本株も急上昇するでしょう。トランプ関税次第で、身動きがとりにくい状況がしばらく続きそうです。
今週の重大イベント:日米の金融政策決定会合
3月18~19日に、FOMC(米連邦公開市場委員会)と、日本銀行金融政策決定会合が開催されます。
米景気減速の指標が出ていますが、米利下げはないことがほぼ確実です。トランプ関税によってインフレが高まるリスクがあるため、FRB(米連邦準備制度理事会)も身動きが取れない状況です。
一方、日銀は0.25%の利上げを実施する可能性があります。日本のインフレが高まっていること、春闘賃上げの第1次回答で5.46%と前年を超える上昇率が見込まれるようになったことも、利上げを後押しします。
米利下げと日銀の利上げが重なれば、円高が進んで日本株の売り要因となりますが、米利下げはないことがほぼ確実なので、日銀利上げがあっても円高はさほど進まないと思われます。
日本株は長期投資で良い買い場と判断
結論は、毎週述べていることと同じです。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと判断しています。今、日本株は長期的に良い買い場を迎えていると考えています。
ただし、トランプ関税ショックはまだ終わっていない可能性があります。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。
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(窪田 真之)