中国の生命科学サービス事業者、金斯瑞生物科技の2024年12月本決算は、売上高が緩やかな伸びを示したが、引き続き採算性が課題となった


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2024年通期は実質最終赤字、開発製造受託ビジネス苦戦も長期成長力を楽観

現地コード 銘柄名 01548

金斯瑞生物科技


(ジェンスクリプト・バイオテック)


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12.80HKD
(3/13現在)


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 中国の生命科学サービス事業者、金斯瑞生物科技の2024年12月本決算は、売上高が緩やかな伸びを示したが、引き続き採算性が課題となった。事業の3本柱のうち、ライフサイエンスと産業用合成バイオ製品が拡大する半面、過渡期にあるCDMO(医薬品開発・製造受託)の不確実性が続いた。

ただ、BOCIは全セグメントの着実な成長と自動化、業務能力の拡充、戦略提携への継続的な投資がこの先、長期的に競争力を支えるとの見方。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。


 2024年通期の売上高は前年比6%増の5億9,400万米ドル(継続事業のみ)。最終利益は29億米ドルに上ったが、米ナスダック上場企業Legend Biotech社の連結除外に伴う32億米ドルの一回性利益を除外した場合には1億7,400万米ドルの赤字(前年は1億6,300万米ドルの黒字)。調整後利益は3%増の6,000万米ドルだった。続く2025年について、同社は採算性の改善を予想。ライフサイエンスの着実な成長とCDMOの回復、合成バイオ製品のイノベーションの商業化が寄与するとみている。


 2024年には欧米での事業拡大などが寄与し、ライフサイエンスの売上高が10%増の4億5,500万米ドル。調整後営業利益は16%増の9,000万米ドルに上った。半面、CDMOの売上高は13%減の9,500万米ドル。プロジェクトの遅れや価格圧力で、調整後営業損失は4,300万米ドルに膨らんだ。合成バイオ製品は25%増収を確保し、調整後営業利益も安定的だったが、全体に占める収益貢献は限定的であり、今後の成長持続が課題となる。

2025年に関する経営陣の見通しは、ライフサイエンスが前年比10-15%増収。CDMOはライセンス契約分を除いて15-20%増収、合成バイオは20-25%増収。うちライフサイエンスと合成バイオについては粗利益率の横ばいあるいは改善を見込む。


 不振のCDMOは下期に初期的な回復の兆しを見せ、通期の新規受注が7,000万米ドルに達したが、設備稼働率や価格の低下圧力の下、引き続き採算性が不安視され、持続的成長の回復には至っていない。こうした中、同社は米国、中国の既存施設の改良や新規施設の立ち上げなど、生産能力の強化に向けた投資を継続している。


 Legend Biotech社の「CARVYKTI」(血液がん治療のCAR-T細胞療法)の売上高は2024年が93%増の9億6,300万米ドルで、2025年に一段の拡大を見込む。BOCIは適応拡大や市場への浸透、生産能力の拡充が「CARVYKTI」の需要をけん引するとみている。
BOCIはLegend Biotech社の連結除外(子会社→関連会社)を反映させる形で、目標株価の算出方式をSOTP(サムオブザパーツ)からDCF(ディスカウントキャッシュフロー)に変更。WACCを11.7%、永久成長率を2.0%に設定し、目標株価を引き下げた。レーティング面の潜在リスク要因としては、バイオテック分野の資金圧力が高まる可能性と、主要提携先との関係が破綻する可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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