後発優位の活用でインテリジェント化レースで優位に、高収益成長を予想

現地コード 銘柄名 00175

吉利汽車


(ジーリー・オートモービル)


株価 情報種類

18.24HKD
(3/21現在)


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 中国の民営自動車メーカー大手、吉利汽車の2024年10-12月期の売上高は前四半期比20.1%増の725億元と、販売台数の伸び率(28.6%)を下回った。非自動車関連収入の減少や製品構成の低価格化が背景。

ただ、利益率は改善し、非経常要因を除外した調整後純利益は37億元(前四半期は30億元)と、BOCIの予想から上振れた。BOCIは「銀河(Galaxy)」NEV(新エネルギー車)モデルの収益性の改善や、「Zeekr」統合後の営業費用の抑制を反映し、2025-26年の予想純利益を増額修正。さらに2025年下期に自社開発の運転支援システム「千里浩瀚(Qianli Haohan)」を搭載した新モデルを集中投入する予定に言及し、この進展と向こう四半期の高利益成長が同社株価のさらなる再評価を後押しする可能性を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 10-12月期の売上高の下押しは、非自動車収入の減少や「Zeekr」の平均販売価格の低下、低価格モデル「StarWish」の比重の増加などが原因。全体の平均販売価格が前四半期比で6,600元低下した。半面、「Galaxy」の収益性向上で、全体の粗利益率は17.3%と、前四半期比1.7ポイント改善。調整後純利益は37億元に達した。


 経営陣は決算会見で、自前のGEA3.0プラットフォーム(NEV開発用のAIベースの新世代アーキテクチャ)での製造車種に関する情報を更新し、粗利益率がほぼエンジン車と同水準に達したと報告している。価格競争の激化にもかかわらず、スケールメリットの拡大や販売構成の改善、サプライチェーンのコスト抑制を追い風に、2025年通期の粗利益率は前年の15.9%からさらに上向く見通しという。


 吉利汽車はスマート運転技術で先進レベルにあり、AI計算能力は23.5EFLOPS(エクサフロップス)と、国内メーカーの首位。また、同社が立ち上げた世界業界初のフルシナリオAIモデル「吉利星睿AI大型モデル」は「DeepSeek R1」と深く統合され、業界をリードする車載インテリジェンス機能を提供する。

AIアプリケーションでは、傘下の各ブランドに「千里浩瀚」のAD(自動運転)機能を搭載する予定。BOCIは現在進行形のインテリジェンス化競争において、同社が長期的に優位を維持するとみる。


 BOCIは今のところ、同社の利益モデルに「Lynk&CoブランドのZeekrへの統合による影響」を織り込んでおらず、2025年、2026年の予想売上高を暫定的に3,206億元、3,697億元に据え置いた。半面、10-12月期の決算内容を反映させる形で、2025-26年の予想純利益を6-12%増額修正し、新たに140億元、169億元に設定。2025年予想PER(株価収益率)で18倍(15倍から上方修正)を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。2025年予想PERでわずか12倍という現在株価のバリュエーションは、同社の利益成長のポテンシャルやインテリジェント化競争における後発優位を十分には反映していないと指摘している。


(Bank of China int.)

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