苦戦の海外で経営モデル転換、国内ホテルチェーンは好調持続へ

現地コード 銘柄名 01179

華住集団


(フアジュー・グループ)


株価 情報種類

30.10HKD
(3/21現在)


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 中国の大手ホテルチェーン、華住集団の2024年10-12月期のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は前年同期比28%減の9億7,400万元と、BOCIの予想を下回った。海外子会社の独シュタイゲンベルガーホテルズ(DH)に絡む減損損失4億2,000万元の計上が響いた。

同社はアセットライト経営を目指してDH事業の見直しを推進中。その影響で2025年の売上高のガイダンスは前年比2-6%増と低めの水準だが、BOCIは事業モデルの転換を受けた経費削減で収益性が改善するとみている。一方、国内ビジネスのガイダンスは楽観的。BOCIは下期の急速な業容拡大と、宿泊料金およびRevPAR(1室当たり売上高)の回復を見込み、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 10-12月期の売上高は前年同期比7.8%増の60億2,300万元と、BOCIの予想と経営陣のガイダンスを上回った。海外事業の厳しさを反映した独DHの減損損失でEBITDAは28%減少したが、国内ホテルチェーン「レガシー華住」は調整後EBITDAが17.6%増の14億9,300万元と堅調。宿泊料金が3.2%低下する中、コスト面の弾力性を発揮した。


 業績不振の独DHに関しては、全面的な事業モデルの見直しに着手し、事務職を3割削減。さらにリース・所有(L&O)ホテル14軒をポートフォリオから除外し、アセットライト型の運営委託・フランチャイズ(M&F)式に転換した。2025年2月にはさらに11軒を切り替えており、BOCIは最終的に、DH傘下の122軒のうち47%がM&Fに移行すると予想。欧州の高インフレ下で膨らむ諸経費の負担軽減がプラスになるとみている。


 同社はL&Oホテルの除外で、2025年1-3月期の売上高が前年同期比横ばいから4%増の範囲になると予想。

通期では2-6%の増収を見込む。低成長に見えるが、M&Fホテルの売上高に関するガイダンスは1-3月期に18-22%増、通期では17-21%増。BOCIは直接的に利益を左右するM&F式の比重の拡大を長期的にポジティブと受け止めている。


 2025年には2,300軒を新たに開業し、600軒を閉鎖する計画。国内ホテルチェーン「レガシー華住」のホテル総数は2024年末時点で1万1,025軒だった。BOCIはホテルの増設計画が予想を上回ったとし、フランチャイジーの強気見通しを反映した可能性を指摘。下期に宿泊料金が改善すれば、力強い増収が期待できるとしている。


 BOCIは海外ビジネスモデルの転換を反映させる形で、2025年の予想EBITDAを3.3%減額する半面、2026年については0.4%小幅に増額修正した。EV/EBITDA倍率(EV=企業価値がEBITDAの何倍かを示す指標)12.5倍を当てはめ、同社H株と米株の目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、国内旅行市場の予想外の鈍化や消費の萎縮、フランチャイジーの財務問題を受けた業容拡大の遅れ、競争激化、不利な為替変動などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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