トランプ関税相場が続くFX相場。しかし方向性は通貨によってまちまちでした。
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 「3月振り返りと4月ドル/円相場の予想 」 」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは151.95円↓下値メドは149.75円原油:企業は資本規律を重視するため、トランプ政権下で米国の石油・ガス生産者が抜本的な増産に踏み切る可能性は低い。
ドイツ債務ブレーキ:メルケル前首相「社会不安を回避し、高齢化社会に対応するために改正が必要」
メキシコ:中国自動車メーカーBYDがメキシコに新工場建設。メキシコ政府はトランプ関税を懸念
カナダ:カナダ首相「トランプ貿易関税には、挙国一致で対処しなくてはならない」
欧州インフレ:ポルトガル中銀総裁「インフレがECBの目標値2%を下回るリスクを警戒」
前日の市況
3月27日(木曜)のドル/円相場の終値は151.06円。前日終値比0.48円の「円安」だった。
トランプ関税のニュースでドル/円はドル高/円安になったが、ユーロ/ドルは逆にドル安/ユーロ高に動いた。日本の自動車産業は、日本の対米輸出総額の3割弱を占めている。輸入自動車に対する「恒久的」な25%の関税は、日経新聞によると最大13兆円の経済的影響があるという。
米国での売り上げ減少は日本円に対する需要低下になるため円売りが優勢になった。

2025年62営業日目は150.54円からスタート。トランプ大統領が自動車関税政策を発表したことを受けたリスク回避のドル売りが優勢となる中、東京時間昼過ぎに150.06円まで下落した。
しかし、午後にはしっかりとした買い戻しが入った。前日の高値(150.75円)を超えると未明には3月3日以来となる151円台にのせ、151.16円まで上値を伸ばした。24時間のレンジ幅は1.10円。
2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Self Control 新経済ナショナリズムの始まり
今日の一言
わたしたちの最大の弱点は諦めることにある
Self Control
新経済ナショナリズムの始まり現在の欧州の安全保障は、NATO(北大西洋条約機構)を基軸とする、米国をリーダーとした軍事同盟、集団的安全保障である。しかし、トランプ大統領には自由な民主主義を守るとか、国際法を遵守するといった高い理想を持っていない。トランプ氏が持っているのは、さまざまな取引(ディール)によって米国を豊かにするというビジネスマン的発想だけだ。
トランプ政権が欧州への安全保障コミットメントを後退させ、ロシア寄りになっていること危機感を抱いた欧州は、軍拡のための財政拡大へとかじを切った。その具体策として、EU(欧州連合)のフォンデアライエン委員長は3月、最大8,000億ユーロ(125兆円)規模の資金を欧州防衛力強化のために投入する計画を発表した。「欧州再軍備計画」である。
この新たな地政学的均衡の始まりによって、ドルは長期的な魅力を損なう可能性がある。
これまでグローバル資本を惹きつけてきたドル資産にとっての不安定化要因となり、また代替基軸通貨としてのユーロの地位を高めることになるだろう。

今週の注目経済指標

Winners & Losers

(荒地 潤)