会社四季報の最新号が発売されました。中身を見ると、引き続き業績が好調な企業が多数あります。

にもかかわらず株価が全然上昇していないことも結構あるのが事実。その理由と対策を知ることにより、間違った思い込みを防ぎましょう。


好業績でも株価が上がらない3大理由:「業績織り込み」「将来鈍...の画像はこちら >>

引き続き好調な業績が続く日本の上場企業

 3月中旬、会社四季報の最新号(2025年春号)が発刊されました。筆者も最新号を毎号欠かさず入手しており、家には過去25年分、100冊以上の会社四季報があります。


 中身を見ると、見出しにポジティブなワードが並んでいるものも多く、上場企業の業績は引き続き好調であることがうかがえます。


 株式投資の経験がそれほど長くない方は、好調な企業業績が続いているのであれば、株価も大きく上昇しておかしくない、と思ってしまいがちですが、実際の株価の動きをみると必ずしもそうはなっていないことに気が付くはずです。


 会社四季報で最上級のポジティブ表現といわれている見出しが「絶好調」というものですが、この見出しがついていても株価は上がっていない、むしろ下がっていることも良くあるというのが現実です。


業績絶好調でも株価が上がらない理由(1):すでに織り込み済み

 一つ目の理由が、絶好調な業績をすでに株価は織り込み済みのため、これ以上のサプライズ的な業績の伸びがない限りはなかなか株価が上昇しづらいというものです。


 例えば業績の伸びからすればPER(株価収益率)20倍程度での推移が妥当と考えられる銘柄があるとします。


 しかしバブル気味の環境になると、一気に株が買い上げられ、PER100倍超えという状況になります。


 その後さすがに買われすぎということで投資家も冷静になると、再びPER20倍近辺になるまで株価が調整するのです。


 PER100倍だった銘柄がPER20倍まで下落すると、単純計算で株価は5分の1に下落します。


 それでも、業績そのものが絶好調であればそのことは事実なので、会社四季報には「絶好調」という見出しが記されているのです。


業績絶好調でも株価が上がらない理由(2):将来の業績鈍化を織り込んでいる

 当コラムでも何度も申し上げていることですが、株価は「現状」ではなく「半年~9カ月程度先の将来」を織り込んで動きます。


 そのため、仮に足元は業績が絶好調で会社四季報の業績欄を見てもそれが明らかに分かるという状態であっても、株価は上がらないどころか下がってしまうことになりかねません。


 このタイプの銘柄は、いわゆる「景気敏感株」に多い印象です。そして足元の業績が絶好調な分、PERの数値もかなり低くなっていることが多いのが特徴です。


 業績絶好調なのにPERが低いということは、もはやプロ投資家はこの銘柄を少なくとも当面の間は投資候補として見ていない、だから低PERに放置されているということです。


 業績絶好調なのにPERが低いというのはもはや景気敏感株の罠のようなものなので、安易に買い向かわないようにしましょう。


業績絶好調でも株価が上がらない理由(3):割安のまま放置されている

 三つ目の理由が、本当に株価が割安なまま放置されているということです。ここ数年、インフレが進行しているということもあり、特に成長株に資金が流入せず、業績は絶好調にもかかわらず株価が上昇していないケースがかなりあります。


 このような銘柄を見つければ、将来的にかなり大きな利益を得られる可能性が高いですが、私たち個人投資家にはそうした銘柄なのかどうかを見極める力がありません。


 ですから、明らかに割安であったとしても、株価が下落している間は手を出さないようにすべきですし、下げ止まって上昇に転じてから買う方がよいでしょう。


個人投資家はチャートを併用しないとうまくいかない

 このように、私たち個人投資家が知ることのできる情報のレベルで考えると、業績が好調であることと、株価が上昇するかどうかは別の問題として考えるべきです。


 ではどうするかと言えば、一つは株価チャートの活用です。株価とは全ての投資家の行動の結果なわけですから、もし業績が絶好調であっても株価が上がらない、もしくは下げ続けるのであれば、プロ投資家や外国人投資家は足元の絶好調な業績ではなく、先行き不透明な将来に不安感を抱いて保有株を売っているとみるべきです。


 具体的には株価が移動平均線を割り込んだら売却、超えたら買いというように、誰でもできるようなシンプルなルールを設定することをお勧めします。


 個人投資家は企業業績だけを気にするのでなく、株価の推移やトレンドも合わせて考えるようにしてくださいね。


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(足立 武志)

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