今日のドル/円は下値を探る動きとなるでしょう。株式市場の反応によってリスク回避が一段と強まる可能性もあります。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは149.25円↓下値メドは147.40円トランプ関税:米消費者への消費税値上げと同じ効果。10%関税で4%増税と同じ
トランプ関税:トランプ政権の貿易政策で新興国債券市場は崩壊の危機
インフレ:小売売上高と鉱工業生産が伸びていない。日本のインフレは需要型ではない
欧インフレ:ビルロアECB理事「2025年中にインフレは目標値まで下落する」
日銀:2025年に2回利上げ、0.50% から1.00%。2026年に1回、1.25%
前日の市況
2025年66営業日目のドル/円は149.56円からスタート。
トランプ大統領は、世界の貿易相手国に対して、予告通りに「相互関税を課す」ことを発表した。関税の基本設定が10%と最初伝わったことで、安心感から150.48円まで円安に動いた。ところが、日本に対しては24%という高い関税率が課せられることが明らかになると、今度は円買いが急速に進んだ。3日の東京市場では3円を超える147円台まで円高が進んでいる。
この急速な円高は、まず、日本に対する関税が予想されていたよりも高い水準だったことによるリスクオフの動きが強まったことが理由だ。またトランプ関税により貿易相手国の報復措置も予想されるなかで、米国経済も減速するという予想から米国の長期金利が低下していることもある。金利市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ確率が年内2回から3回に増えた。

今日のドル/円は下値を探る動きとなるだろう。
もっとも、それ以降の米国の経済指標が底堅かったことで151円台に戻している。今週は米国の3月雇用統計の発表がある。JOLTS(雇用動態調査)求人件数やADP雇用データは予想より良かった。雇用統計も強ければ一時的なドル買い戻しの調整が入る可能性があるだろう。
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
初心者は「勝ち方」を考え、上級者は「負け方」を考える。力まずに「負けないこと」に集中すれば、自然と勝ちが増える
Nassau / Baby I Love Your Way
「米国景気後退説」は一定周期でマーケットの話題にのぼるが、実際のところ、それを示すような明らかな証拠がないことがほとんどか、たとえあったとしてもすぐに消えてしまう。
米国経済はハードランディング(景気後退)するといわれながらも、ソフトランディング(景気減速)もかわし、「ノーランディング」の飛行をここ数年続けている。
パウエルFRB議長は、次回利下げの前にインフレ率低下を示す確かなデータが必要だと述べている。ところが、1月の米CPI(消費者物価指数)は、約1年半ぶりの大幅な増加となった。
2月はやや鈍化したとはいえ、3.0%近くで高止まりしている。あるのはインフレ率が上がる材料ばかりだ。
しかしそれだけでは終わらない。新車が高くなれば中古車の値段も上がる。そして自動車保険全体も引き上げられることになる。関税による第1ラウンドの値上げは連鎖反応(ノックオン効果)するのだ。
FRBでは、中立金利の水準が議論となっている。中立金利とは、経済が過熱も冷えすぎもしない状態の実質金利のことであるが、この水準がFRBの推計よりも高くなっているとすれば、現在のフェデラルファンド(FF)金利は、それほど引締め的とはいえない。トランプ政権の政策がインフレ方向に影響する可能性が高いなかで、FRBが利下げを急ぐ理由はない。

今週の注目経済指標

ヒートマップ分析


(荒地 潤)