145円台前半まで下落したドル/円の、次の目標は昨年10月につけた143.40円。この時は、米雇用統計が強かったことで、一気に149円まで買い戻されました。

今夜は3月雇用統計が発表されます。ドル反発は期待できるでしょうか。雇用統計詳細レポートもぜひお読みください。


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※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ドル/円急落、一時144円台接近!今夜の米雇用統計でどうなる?」


今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは148.60下値メドは144.65円

ウクライナ戦争:ロシアの原油価格の上限を1バレル当たり15ドルまで引き下げれば、ロシアは事実上破綻して、戦争を続けられなくなる
トランプ:カナダ首相「貿易関税に挙国一致で対抗しなくてはならない」
マイナス金利:ビルロアECB理事「マイナス金利の検討も排除しない」
英増税:労働党政権の予算案、過去30年で最大規模となる年間400億ポンド(約7兆9,600億円)の増税計画
ECB:ラガルド総裁「トランプ政権とは報復よりも交渉の「小切手戦略」で」


前日の市況

 4月3日(木曜)のドル/円相場の終値は146.07円。前日終値比3.29円の大幅「円高」だった。


 2025年67営業日目は149.13円からスタート。トランプ大統領が、日本に対して24%の関税をかけると発表したことを受けてリスクオフの動きが強まった。


 東京時間朝の149.17円がこの日の高値となって、ドル/円は大幅に下落した。海外市場ではドル売り/円買いはさらに勢いを強めた。夜遅くには昨年10月02日以来となる145.18円まで下落した。

24時間のレンジ幅は3.98円。


ドル/円一時144円台に接近。わたし、下げたらスゴいんです!
出所:楽天証券作成

 145円台まで下落したドル/円の、次の下値のターゲットは昨年2024年10月2日の安値143.42円。しかしこの時は、その2日後に発表された米雇用統計(2024年9月分)が予想以上に強かったことで、一気に149円に戻している。


 そして今夜は3月雇用統計の発表がある。今週発表されているJOLTS(雇用動態調査)求人件数やADP雇用データは予想より良かった。雇用統計が予想以上の結果となれば、昨日の下落が大きかっただけに、ドル買い戻しの調整が入る可能性もある。雇用統計後に予定されている、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言にも注目したい。


3月米雇用統計 詳細レポート:3月雇用統計の注目ポイント 雇用市場悪化でも、なぜFRBは利下げできないのか?


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 トランプ関税で米国と貿易相手国の信頼関係は半永久的に損なわれた。カナダは米国の自動車に対して25%の関税をかけることを発表し、フランスと中国は対米投資を控えるように国内企業に要請した。日本は対抗策を打ち出してはいないが石破茂首相は「極めて残念」という談話を発表している。


 しかし、報復関税によって米国経済も景気後退に陥るとの見方が広がっている。米長期金利は4.0%前後まで低下した。

金利市場におけるFRBの利下げ確率も、数カ月間前までの「年1回」から「年4回」まで増えている。


 トランプ政権は、関税率は現時点での最大値であり、貿易相手国が関税や非関税障壁を是正して米国の希望を満たすにつれて引き下げる可能性があると示唆している。トランプ大統領は日本に対して24%の関税を課した。おそらく交渉によって最終的な関税率は10%程度に落ち着く可能性もある。


 しかし、重要なのは最終的な関税率ではなく、関税率の「引き下げ速度」である。関税率が20%から25%範囲にとどまる期間が長ければ長いほど、米国もまたリセッションに陥る可能性が高くなる。しかし、あまりにも早く関税率を下げると、米国が自らの関税に耐えられなくなったと見透かされることになるだろう。 


2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング Livin' La Vida Loca

今日の一言

「夢を語るだけ」で実現力は高まる


Livin' La Vida Loca

2月雇用統計レビュー

 BLS(米労働省BLS)が1カ月前に発表した2025年2月の米雇用統計によると、NFP(非農業部門)の就業者数は15.1万人増加し、市場予想の16万人増を下回る結果となった。1月の就業者数は当初発表の14.3万人から12.5万人に下方修正された。


 失業率は、1月の4.0%から微増して4.1%に上昇した。また平均労働賃金は、前月比0.3%、前年比で4.0%上昇した。賃金の増加率はインフレ率を上回る水準が続いている。


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 雇用統計の結果を受け、パウエルFRB議長は、米国経済が「良好な状態にある」との見解を示しながらも、トランプ大統領の政策による影響が経済の先行きに不確実性をもたらしていると警告した。


 例えばDOGE(政府効率化省)が主導する大量のレイオフで、今後失業率が上昇する恐れがある。政府職員の解雇が続く場合、その影響は全体の経済にも及ぶ可能性がある。経済成長が鈍化すれば、民間雇用も減少し、より多くの人々が職を失うリスクが高まる。


 トランプ政権による政策の影響が労働市場に及び始め、経済成長に対する懸念が高まる状況になった場合、FRBの利下げ政策へのシフトが加速する可能性があるだろう。特に、今後のNFPが15万人を下回る状況が続くならば、FRBは、6月に利下げを再開するという見方がマーケットでは広がっている。


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今週の注目経済指標

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Winners & Losers

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(荒地 潤)

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