2024年の赤字転落もコスト管理が奏功、非小細胞肺がんの治験結果に期待

現地コード 銘柄名 09926

康方生物科技


(アケソー)


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 広東省本社のバイオ医薬品開発会社、康方生物科技の2024年12月通期決算は、商業販売収入(流通コスト控除後)が前年比24.9%増の20億万元と、ほぼ市場予想通りの水準に達した。純損失は5億1,100万元と、予想より小幅にとどまり、同社の執行力とコスト管理能力を示唆した。

BOCIは2025年の注目ポイントとして、PD-L1発現型NSCLC(非小細胞肺がん)1次療法を対象とした「AK112」の適応追加申請(sNDA)承認と、25年半ばに予定される「HARMONi」(イボネスシマブの臨床試験)の海外治験データの結果報告を指摘。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を上方修正し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 2024年の商業販売収入は20億元と、ほぼ市場の予想通り。医薬品の粗利益率は86%へ前年比7ポイント低下したが、これは主に、年半ばのカドニリマブ(AK104、PD-1/CTLA-4二重特異性抗体)の値下げによるもの。複数の治験フェーズ3が進行中であるにもかかわらず、研究開発費を19%減の11億9,000万元に抑えたことで、対医薬品売上高比率は58%に低下(前年77%)。一般管理費と販売費の対売上高比率も10%、51%と、それぞれ2ポイント、5ポイント低下し、適切なコスト管理の成果をうかがわせている。期末のトータルキャッシュ(現預金・金融商品)は73億元だった。


 現在進行中の「AK112」の臨床試験3相は7件を数える。国家薬品監督管理局(NMPA)が承認または審査中の二つの適応症に加え、以下の治験計画が進行中。◇sqNSCLC(扁平上皮非小細胞肺がん)の1次療法(ティセルリズマブとの比較試験、患者登録終了)、◇PD-1抵抗性NSCLC2次療法(試験計画中)、◇胆道がん1次療法(デュルバルマブ、患者登録中)、◇頭頸部扁平上皮がん1次療法(AK117と併用、対ペムブロリズマブの対照試験、患者登録中)、◇トリプルネガティブ乳がん(TNBC、1次療法患者登録中)、◇大腸がん1次療法(対ベバシズマブの比較、試験開始)、◇膵臓がん(試験開始)。


 海外ではサミット・セラピューティクス社が「HARMONi」試験の患者登録を完了。2025年半ばに臨床試験結果が主要評価項目を達成したかを評価する報告をまとめ、2026年に商業化する予定。

サミット社はさらに「HARMONi-7」を開始する計画。これはPD-L1高発現のNSCLCを適応症としてキイトルーダ単剤投与と比較する試験となる。


 BOCIは決算発表を受け、2025-26年の予想売上高を引き下げた。主に「AK104」(医療保険対象リスト入りに伴う薬価引き下げ)と「AK105」(提携先の商業化戦略変更)による売上貢献の下方修正が理由。さらに主力製品の値下げを受け、粗利益率に関する想定値を引き下げたが、コスト管理努力により営業費用が縮小すると予想。2025年には損益分岐点に到達する見通しを示した。レーティング面の潜在リスク要因としては、承認申請の失敗や新薬販売の出足の不調、臨床試験の失敗の可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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