週明けのドル/円は144円台まで大幅下落。ところが海外市場では148円台まで速やかに円安に戻りました。

このレンジの中間点は146.50円になり、現在のレートはそれより円安に位置しています。今日のドル/円相場はどうなるでしょうか。


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは149.20下値メドは145.10円

インフレ:世界のインフレ、再上昇の兆し
ドイツ経済:トランプ関税で景気後退長期化の恐れ。ブンデスバンクが債務ブレーキの緩和を支持
南ア:国営電力会社エスコムの長期格付け、安定的からポジティブに引き上げ - S&P
スイス利下げ:SNB総裁が異例のフォワードガイダンス。追加利下げの可能性認める
人民元:中国10年国債1.99%。利回りが過去最低水準


前日の市況

 4月7日(月曜)のドル/円相場の終値は147.84円。前日終値比0.94円の「円安」だった。


 トランプ関税によって米国と貿易相手国の信頼関係は半永久的に損なわれた。中国政府は米国からの全ての輸入品に34%の「報復関税」を課すと発表した。これに対してトランプ大統領は、50%の追加関税を示唆して貿易戦争はエスカレートしている。


 カナダは米国の自動車に対して25%の関税をかけ、フランスが対米投資を控えるように国内企業に要請している時、石破茂首相は東京ガールズコレクションに登場するための衣装を考えていたのだろう。


 トランプ政権が「関税は必要」と強気の姿勢を崩さず、世界的貿易戦争が今後ますます悪化するとマーケットは悲観的になる中で週明けの株式市場は大幅に下げた。東京株式市場では取引開始前から一時サーキットブレーカーが発動し、日経平均株価は今年最大の下げ幅を記録した。


ドル/円 乱高下。トランプ「利下げしろ」FRB「やだね」
出所:楽天証券作成

 週明けのドル/円は先週末のNY市場終値から1.25円下げた145.65円からスタート。

東京時間朝のうちに144.81円まで急速に円高に動いた。ドル/円よりもクロス円の下げが大きかった。ユーロ/円は過去20日の安値を更新し、豪ドル/円は過去90日の安値をブレークして下げた。一方ドル/円は過去10日のレンジ内に収まっている。


ドル/円 乱高下。トランプ「利下げしろ」FRB「やだね」
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 ただドル/円は4日の安値(144.55円)まで下げ切る前に反転した。FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ対策が政策の最優先だとして当面利下げに慎重であることと、日本銀行が世界経済の先行き不透明感を理由に今年一杯利上げを見送るだろうとの観測から円安に動いた。


 トランプ政権が関税90日間猶予を検討中との報道(後に否定)もあって、明け方には前日の高値(147.43円)を抜けて148.14円まで大きく円安に動いた。24時間のレンジ幅は3.33円。


2025年 主要指標 終値

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今日の為替ウォーキング Oh,Sherrie

今日の一言

人生とは、計画を立てている間に過ぎ去ってしまう。「今ここにある喜び」を大切に


Oh,Sherrie

 BLS(米労働省労働統計局)が4月4日に発表した2025年3月の米雇用統計によると、NFP(非農業部門)の就業者数は22.8万人増加した。市場予想の13.5万人増を大きく上回る結果となった。暖冬の影響やスーパーマーケットチェーン店のストライキが終了したことも、雇用増加に寄与した。一方で、2月の就業者数は当初発表の15.1万人から11.7万人に下方修正された。


 失業率は4.1%から4.2%に上昇した。

失業率の上昇は労働参加率が62.5%に上がったことが大きな理由だが、小数第2位まで見ると4.14%から4.15%への微増にすぎない。


 平均労働賃金は、前月比0.3%、前年比で3.8%上昇した。賃金の増加率はインフレ率を上回る水準が続いている。


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 トランプ政権のDOGE(政府効率化省)が推進する連邦政府職員のリストラが注目されているが、その影響は雇用統計にまだ完全には反映されていない。これは有給休暇中や退職金を継続的に受け取っている職員は、まだ雇用状態と見なされているせいだが、来月以降は失業率上昇や就業者数減などの数字となって表面化することになるだろう。


 この影響は民間部門にも波及すると考えられ、より多くの人々が職を失うリスクが高まっている。DOGEによる雇用削減は、年末までに50万人を超える可能性があると試算されている。


 ただ今回の雇用統計では政府関連部門の雇用は1.9万人増で、医療関係5.4万人増、小売業2.4万人増、レジャー関連4.3万人増と、製造業の0.1万人増を別にすると全体的に堅調である。FRBが急いで5月に利下げをする理由は見当たらない。


 パウエルFRB議長は3月雇用統計発表後の講演で、トランプ政権の関税引き上げが予想よりも大幅に大きくなる可能性を指摘し、それに伴うインフレ上昇と経済成長鈍化のリスクについて懸念を示した。しかし同時に、現状では経済は依然として良好な状態にあるとして、利下げを急ぐ必要はないとの姿勢を明確にした。


 また、トランプ大統領からの利下げ要求に対しては、FRBの政治的独立性を強調し、経済指標に基づいて慎重に金融政策を決定していく姿勢を示した。

市場はこれらの発言を受けて、FRBの利下げ開始時期を6月まで先送りする見方を強めている。


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今週の注目経済指標

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タイムゾーン 分析

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(荒地 潤)

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