去る4月3日、日経平均株価が朝方から急落しました。最近では2024年8月5日の歴史的な急落も記憶に新しいところですが、こうした株価急落時に買い向かうべきかどうかをメリットとリスクの観点から分かりやすく解説します。


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結構な頻度で生じる株価急落

 去る4月3日、日本株は朝から大きく下落しました。日経平均株価は朝方一時1,600円超の急落となり、多くの保有株を持っている個人投資家は肝を冷やしたことでしょう。


 昨年8月5日「令和のブラックマンデー」のような歴史的規模の急落も含め、このような株価急落が生じることは実は結構あります。


 しかし、その度に慌てふためいているとマーケットに振り回されてしまいますから、急落が起きた時にどのように行動するかはあらかじめ決めておくことが重要です。


 そして「投資のプロ」と呼ばれる人たちが口をそろえて言うのが「株価急落したときこそが買い時」というものです。


 果たしてそれは本当なのでしょうか? それをうのみにしてしまって失敗するリスクはないのでしょうか?


 今回のコラムではこの点につき分かりやすく解説していきたいと思います。


株価急落時に買うことのメリットとは?

 株価急落時に買うことのメリットは、言うまでもなく「安く買える」ことです。


 株式投資で成功する秘訣(ひけつ)は「良い会社の株を安く買って高く売る」ことですが、株価急落時にはこの「安く買う」を実践することができます。


 現に2024年8月5日の急落時に株を買っていれば、大部分の銘柄がその後すぐ反発し、大きな利益を得ることができたでしょう。


 セクター内の他の銘柄が強いにもかかわらず株価が下落している銘柄がある、という状況で株価下落している銘柄というのは、将来の業績悪化不安などが株価に反映されているため、安易に買うのは危険です。


 しかし、マーケット全体がいわばパニック的に下落しているときは、業績が好調だったり企業価値が高い銘柄までもが一斉に売られるため、そうした銘柄を安く買うことのできる絶好の機会となり得ます。


株価急落時に買うリスクと買い下がり

 では、株価急落時に買うリスクとは何でしょうか? それは「買った後も株価が大きく下がってしまう」ことです。つまり、含み損を抱えた塩漬け株ができてしまうわけです。


 筆者個人的には、「塩漬け株をつくってしまうことこそ、個人投資家最大の失敗要因」と思っていますし、筆者の元に相談に来る個人投資家の悩みの圧倒的第一位が塩漬け株についてなのです。


 2024年8月5日の時のように、翌日から急反発してくれれば、「いいところで買えたなあ」となるのですが、常にそのようになるわけではありません。


 特に2年、3年と下落相場が続くようなときは、いいところで買えたつもりがさらに大きく下落してしまうケースも増えてきます。


 我慢して持ち続けていればいいのではないか、という人もいるでしょうが、持ち続けている間に業績が悪化してしまえば、半永久的に株価が買値まで戻らず、塩漬け状態が続いてしまう、という可能性だって大いにあります。


買い下がりは資金力がなければいずれ失敗する

 そして株価急落時に買った後も株価が下がったときに多くの投資家が考えるのが「買い下がり」です。厳密には買い下がりとは異なりますが「ナンピン買い」と言い換えてもよいでしょう。


 例えば資金力が豊富な投資家であれば、株価急落時に買い向かい、さらに大きく下がったなら追加で買う、というのを繰り返していれば、株価の下落が終わり上昇に転じ、企業価値が正当に評価される状況になるのを待つことで、含み損を利益に転じさせることができます。


 しかし多くの個人投資家は資金量が小さく、株価が下がる度に買い下がりなどできません。


 そのため、株価急落時に買って、その後も株価が下がってしまうとそのまま塩漬け株になってしまうケースが非常に多いのです。


 大部分の個人投資家にとっては、株価急落時に買い向かって、その後さらに株価が大きく下落したら塩漬け株となり、もはや手も足も出ない状態になる、と覚悟しておいてください。


リスクを取るのか、回避するのかを自分であらかじめ決めておく

 このように、株価急落時に買うことにより、買った後程なく株価が反転上昇したなら「安く買えた」ことになり、その買いは成功となります。


 一方、買った後もさらに株価が下落してしまうと、塩漬け株をつくることになってしまい、その買いは失敗となるのです。


 良いところで買えた、となるかもしれないし、そうならないかもしれないのが株価急落時の買いです。これを良しとするなら、株価急落時に買い向かえばよいでしょうが、大きな失敗のリスクがあることはしっかりと把握しておいてください。


 筆者であれば、株価急落時に買い向かうというよりは、株価急落後の反発初期で買い、株価急落時の安値を割り込めば損切りする、というようにして、できるだけリスクを限定的にしつつ、できるだけ安値圏で買えるように工夫することが多いです。


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(足立 武志)

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