1-3月期の販売指標は堅調、独ジャック・ウルフスキン買収が新たな成長エンジンに

現地コード 銘柄名 02020

安踏体育用品


(アンタ・スポーツ・プロダクツ)


株価 情報種類

81.55HKD
(4/11現在)


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 中国のスポーツ用品最大手、安踏体育用品の2025年1-3月期の小売販売額は前年同期比10%台半ばの伸びとなり、市場予想を小幅に上回った。同社はドイツのアウトドア製品メーカー、ジャック・ウルフスキン社の買収を計画しており、年後半には取引を完了する予定。

BOCIは買収後の連結化による業績への影響をほぼ「中立」としつつ、この買収が国際化に向けたマイルストーンになると指摘。新たな成長エンジンとして、傘下のアメアスポーツに対する米追加関税の影響を相殺する可能性があるとした。地政学リスクに対する同社の抵抗力の強さを指摘し、株価の先行きに強気見通しを継続している。


 2025年1-3月期の「安踏」、「FILA」、その他ブランドの小売販売額はそれぞれ、前年同期比1桁台後半、1桁台後半、70%弱の伸び。グループ全体では10%台半ばの増加率だった。営業指標はおおむね横ばい、あるいは改善したが、「FILA」のオフライン小売価格は例外で、値引き率が26%と、前年同期比1-2ポイント拡大した。ただ、「FILA」は新CEOの下でブランドの再構築を推進中。BOCIは小売販売額が相対的に堅調だったこともあり、同社の手堅い実行力を反映した悪くない数字と受け止めている。


 4月10日には米トップゴルフ・キャロウェイ・ブランズ社から、独ジャック・ウルフスキンを2億9,000万米ドル(全額現金)で買収する計画を発表した。ジャック社の売上構成比は72%が欧州、28%が中国で、トップゴルフ社が当初示した見通しでは、2025年の売上高は3億2,500万ユーロ、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は1,200万ユーロの規模。4-6月期後半か7-9月期前半には買収を完了する見通しという。


 BOCIは7月の買収完了を想定し、ジャック社の連結化が安踏体育用品の2025年、2026年の売上高を1-3%押し上げると予想。

半面、低利益率と一時費用の計上により、純利益は0.4%、0.9%下向く見通しを示している。それでも、FILAやデサント、コーロンなどの海外ブランドを展開する同社の優れた実績を考慮し、長期的にはこの買収がプラスになるとの見方。以下の三つのメリットを挙げた。◇欧州販売網の即時獲得、◇「Texapore」(ジャック社開発の防水透湿素材)などの技術の獲得とサプライチェーンの統合、◇中国でのブランド刷新と、韓国コーロン・スポーツより手頃なアウトドアブランドの投入による新たな成長けん引役の確保。また、安踏体育用品の手元資金は潤沢であり(短期預金込みで2024年末に300億元超)、流動性への影響は限定的だとしている。


 BOCIは買収案件の不確実性や2025-26年業績への影響が相対的に小さい点を踏まえ、利益見通しと目標株価を据え置いた。目標株価の算出基準は2025年予想PER(株価収益率)で20倍。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、小売価格の大幅値引き、主力ブランドの在庫販売率の悪化、販促費などの予想外の増大、予想を上回るペースの店舗閉鎖、スポーツイベントのスポンサーシップ契約変更などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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