ネットフリックスの2025年12月期1Qは、12.5%増収、27.1%営業増益。前4QのNFL試合生中継による広告好調の反動がでた。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 ネットフリックス:2025年12月期33%営業増益へ。コンテンツの充実続く-楽天証券予想 」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: ネットフリックス(NFLX、NASDAQ)
1.ネットフリックスの2025年12月期1Qは、12.5%増収、27.1%営業増益
ネットフリックスの2025年12月期1Q(2025年1-3月期、以下今1Q)は、売上高105.43億ドルで前年比12.5%増、営業利益33.47億ドルで前年比同27.1%増となりました。
地域別売上高を見ると、最も大きい北米売上高は46.17億ドルで前年比9.3%増となり、前4Qの同14.9%増から伸びが鈍化しました。前4QはクリスマスにNFL(米国のプロアメリカンフットボールリーグ)の試合中継を行ったことにより広告収入が増加しましたが、今1Qはその反動がありました。ヨーロッパ・中東・アフリカは同15.1%増、中南米は同8.3%増、アジア太平洋は同23.1%増と順調に伸びましたが、全体では同12.5%増と前4Qの同16.0%増を下回る伸びとなりました。
この結果、営業増益率も同27.1%増と前4Qの同51.9%増から鈍化しました。ただし、営業利益率は前1Q28.1%から今1Q31.7%へ上昇しました。
今1Qの人気作品は、TVドラマで「Adolescence」、映画で「Back in Action」「Ad Vitam」「Counterattack」などで、エンゲージメント(テレビ番組、映画の総視聴人数と総視聴時間)に貢献しました。
表1 ネットフリックスの業績

グラフ1 ネットフリックス:地域別売上高

表2 ネットフリックス:地域別売上高

2.コンテンツの充実続く。2025年クリスマスに2回目のNFL生中継が決定された。
会社側の今2Q業績ガイダンスは、売上高110.35億ドル(前年比15.4%増)、営業利益36.75億ドル(同41.2%増)です。今2Qは売上高はまだ小さいですが広告売上高の伸びが高くなると会社側は予想しています。会員数が継続的に増加していること、テレビ番組、映画ともに新作投入が活発であること、米国、イギリス、アルゼンチンでの値上げに続いてフランスでも値上げを実施する予定であること、広告事業の強化が業績に寄与すると思われます。
また会社側は、2025年12月期通期の売上高ガイダンスを435~445億ドル(レンジ平均値は440億ドルで前年比12.8%増)として前回予想を維持しました。会員数増加、値上げ、広告売上高の倍増を前提していますが、今のトレンドが続けば、このレンジ平均値を超過すると予想されます。
今1Q業績と今2Q会社側ガイダンスを参考にして、楽天証券では2025年12月期を売上高450億ドル(前年比15.4%増)、営業利益139億ドル(同33.4%増)、2026年12月期を売上高525億ドル(同16.7%増)、営業利益179億ドル(同28.8%増)と予想します。売上高予想は2025年12月期、2026年12月期とも前回予想を維持しますが、営業利益予想はいずれも引き上げます。
今期の重要コンテンツは、6月27日配信開始予定の「イカゲーム」最終シーズンと2025年クリスマスシーズンに予定されている、ネットフリックスとしては2回目のNFL生中継です。
3.今後6~12カ月間の目標株価は、前回の1,300ドルを維持する。
ネットフリックスの今後6~12カ月の目標株価は前回の1,300ドルを維持します。
楽天証券の2026年12月期予想EPS(1株当たり純利益)34.10ドルに、今の2025年12月期予想ベースの予想PER(株価収益率)36.7倍より、予想PER35~40倍を当てはめました。優良コンテンツの配信が続いていること、値上げが成功していること、広告事業を拡大しようとしていることを評価しました。
リスクはトランプ不況が到来した場合に値上げできるのかということですが、ネットフリックスは比較的低価格の娯楽なので、不況抵抗力は十分あると思われます。
中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄: ネットフリックス(NFLX、NASDAQ)
(今中 能夫)