2025年1-3月期に苦戦も業績改善見通し、金製品の需要増が追い風に

現地コード 銘柄名 01929

周大福珠宝集団


(チョウ・タイフック・ジュエリー)


株価 情報種類

9.63HKD
(4/25現在)


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 香港系の宝飾品製販大手、周大福珠宝の2025年1-3月期の業務指標は引き続き厳しく、小売販売額は前年同期比11.6%減少。店舗数は予想を上回る406店の純減となった。

ただ、BOCIは3月が前月比で改善したことを明るい兆しと受け止めている。また、トランプ米政権下での金価格の高騰が金製品の買い増しを後押しする可能性を指摘。消費動向に対応するため、同社が固定価格型の金製品を拡充していることを前向きに評価した。2026年3月通期の業績改善を見込み、これが同社株の再評価につながると予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。


  1-3月期(2025年度第4四半期)の業務指標は依然弱く、小売販売額は前年同期比約12%減少したが、前四半期比(同14%減)に比べてやや下げ幅が縮小。月別に見ても、3月の小売販売額の減少率が10%台前半に縮小した(1-2月は10%台半ば)。店舗数は1-3月期に406店の純減で、期末の総数は前年比15%減の6,643店舗。小売販売額の12%減を考慮すれば、1店舗当たりの売り上げは改善傾向を示したことになる。


 固定価格型のプレミアム金製品(Rouge CollectionやPalace Museum Collectionなど)の拡充が寄与し、1-3月期には粗利益率の高い製品の販売比率が前年同期の9%から26%へ急拡大。経営陣は2025年3月通期の粗利益率と営業利益率が、以前示したガイダンス(前年比4-5ポイント、2.5-3ポイント改善)を上回る見通しを示した。BOCIはこの点を前向きに捉え、小売販売額が低迷しても利益の安定確保が可能とみている。


 店舗網の最適化戦略は2026年度も続く見込み。店舗総数は2027年度に、ようやく純増に転じる可能性があるという。BOCIは前年実績の低さや金製品の需要増効果で、2026年度の中頃には小売販売額がプラスに転じる可能性があるとしている。


 同社は2024年6月に新たな会計基準を採用。これまでは売上原価に計上され、粗利益率・営業利益率に影響していた「金貸付の再評価損益」が、2025年度以降は「その他損益」に分類され、ヘッジ損益の影響を除く主力事業の実際の業績がより正確に反映される運びとなった。2025年度上期のヘッジ損失は3億1,000万HKドル。下期も同程度かそれ以上に膨らむ見込みだが、利益には影響しない。


 BOCIは2025度の予想EPS(1株当たり利益)を37%下方修正する半面、2026年度、2027年度については10%、13%増額修正。2025年度の同社株の大幅調整に言及しつつも、2026年度には最悪期を脱する見通しを示した。ヘッジ損失の抑制と金価格の上昇を受けた粗利益率の改善で通期利益の予想上振れもあり得ると指摘。2026年度予想PER(株価収益率)で15倍をベースに(10倍から上方修正)、目標株価を引き上げた。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、マルチブランド戦略の失敗、主力ブランドの売れ行き不振、予想外の費用増、予想を上回るヘッジ損失などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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