業況底打ちでAPソリューション事業が回復、TCB先端ビジネスに勢い

現地コード 銘柄名 00522

ASMPT


(エーエスエムピーティー)


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51.85HKD
(4/30現在)


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 オランダASMインターナショナル傘下の半導体製造装置大手、ASMPTの2025年1-3月期決算は、売上高がガイダンスの中央値に着地し、粗利益率はAP(先端パッケージング)ソリューションとTCB(サーマルコンプレッションボンディング:熱圧着)ツールの製品構成の改善により、前四半期比で3.7ポイント上昇した。純利益は8,400万HKドルと、市場予想を上回った。

TCB事業はHBM(High Bandwidth Memory)顧客の獲得を通じて勢いを増しており、同社は「HBM4」(高帯域幅メモリの次世代規格)技術分野で主導的地位を固めている。BOCIはSMT(表面実装技術)部門の低迷が足かせとなる半面、短期的には米中関税合戦により恩恵を受けるとの見方。90日間の関税停止による駆け込み受注の急増と設備移転に向けた顧客の投資増をその理由に挙げた。現在株価は2026年予想PER(株価収益率)で13倍。BOCIはリスクリワード比の魅力を指摘。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 1-3月期の売上高は前年同期比横ばいの31億HKドル。製品構成比の改善が寄与し、粗利益率は40.9%と、前四半期比で3.7ポイント改善した。これが研究開発費の増大を吸収し、営業利益率も前年同期比5ポイント改善している。為替差損は3,400万HKドル。純利益は54%減の8,400万HKドルにとどまったものの、市場予想から27%上振れた。


 続く4-6月期の売上高に関する経営陣のガイダンスは4億1,000万-4億7,000万米ドル。

中央値は前四半期比10%増に当たる数字だが、市場予想を6%下回る。経営陣が示した見通しは以下の通り。◇HBM TCB顧客向けの第2弾の納品開始を受け、AP事業の勢いが続く、◇SEMI(半導体ソリューション)部門では欧米の産業・自動車需要の低迷が続くが、主流分野の需要は回復に向かう、◇米国の90日間の関税停止をにらみ、受注が急増する、◇新興AIサーバー業界と中国自動車業界からのSMT受注が回復する。


 経営陣は米中関税合戦について、顧客への影響の予見が困難になるものの、事業運営への重大な影響を想定していない。短期的な受注の急増以外に、同社は顧客による北米や相互関税率の低い地域への設備移転を見込み、新たな製品需要の創出に期待している。


 TCBの受注や納品状況は好調。1-3月期には新規のHBM顧客を獲得したが、新たな注文は「HBM4」向け。TCB技術における同社のリーダーシップの強化につながる最先端のソリューションとなる。また、主要ファンドリー向け第2世代C21WフラックスレスTCBの資格取得やパイロット生産も順調に進行中。早ければ年内の受注獲得を見込む。


 BOCIはAI関連以外の需要が2025-27年に軟化するとみて、SMT部門の予想売上高を14%減額。製品構成の改善で、全体の粗利益率は40%超を維持するとしつつ、この3年間の予想純利益を25%、4%、2%下方修正した。

2026年予想PER20倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続している。


(Bank of China int.)

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