メタ・プラットフォームズの2025年12月期1Qは、16.1%増収、27.0%営業増益。欧州の広告規制の影響、アジアの大口顧客向けの減少で増収率が低下。
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「 決算レポート:メタ・プラットフォームズ(欧州の広告規制等で増収率が低下。AI関連の大型投資を続行) 」
本レポートに掲載した銘柄: メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)
1.メタ・プラットフォームズの2025年12月期1Qは、16.1%増収、27.0%営業増益。
メタ・プラットフォームズ(以下メタ)の2025年12月期1Q(2025年1-3月期、以下今1Q)は、売上高423.14億ドル(前年比16.1%増)、営業利益175.55億ドル(同27.0%増)となりました。売上高は前4Q決算発表時の会社側今1Q売上高ガイダンス395-418億ドルを上回りました。
セグメント別には、広告売上高が413.92億ドル(同16.2%増)となり、前期2024年12月期の各四半期に比べて低い伸びに止まりました。最も広告売上高が大きいUS&カナダは182.59億ドル(同18.2%増)と順調に伸びましたが、欧州が95.27億ドル(同14.4%増)と前期の各四半期に比べ伸び率が低下しました。EUの広告規制によって、メタの広告の広告効果が低下し、広告出稿の伸びが鈍化しました。
このため、その他収入を含むファミリー・オブ・アプス売上高は419.02億ドル(前年比16.3%増)、同営業利益は217.65億ドル(同23.2%増)となりました。営業利益率は1年前の前1Qより上昇しましたが、営業増益率は鈍化しました。
また、リアリティ・ラブス(メタ全体のインフラ構築を行なっている)は、売上高4.12億ドル(前年比6.4%減)、営業損失42.10億ドル(前年同期は38.46億ドルの営業損失)となりました。生成AI向け設備投資中心に大型投資を続けているため、赤字が拡大しました。
表1 メタ・プラットフォームズの業績

表2 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績(四半期)

表3 メタ・プラットフォームズの地域別売上高
メタ・プラットフォームズ:全社地域別売上高

メタ・プラットフォームズ:広告の地域別売上高

グラフ1 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーのDAU、MAU

グラフ2 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーの1人当たり売上高

2.会社側は2025年12月期設備投資計画を上方修正した。楽天証券の2025年12月期、2026年12月期業績予想を下方修正する。
2025年12月期2Q売上高の会社予想レンジは、425~455億ドル(前年比8.8~16.5%増)です。欧州で規制の影響が続くと思われること、アジア太平洋での売上高の伸びを高めることができるかどうか不透明であることが、前期の各四半期に比べ低い増収率を会社側が想定している理由と思われます。
会社側は、これまで開発してきた生成AI「LLaMA」、パーソナルAI「Meta AI」に加えて、広告出稿を伸ばすために広告主に無料で貸し出している生成AIを使った広告制作ツールの性能向上、フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップ、メッセンジャーの会員に向けたコンテンツ販売を促進するためのレコメンデーションリスト等を作成するための生成AIの開発に注力しています。
このため、会社側は今期設備投資計画を前回計画の600~650億ドルから640~720億ドルへ上方修正しました。
また、会社側は今期売上高予想を開示していませんが、今期総支出予想(売上原価+研究開発費を含む販管費)を1,130~1,180億ドルとして前回予想の1,140~1,190億ドルから下方修正しました。
今1Qまでの業績と今2Q、今通期の会社側ガイダンスから、楽天証券では2025年12月期を売上高1,930億ドル(前年比17.3%増)、営業利益800億ドル(同15.3%増)、2026年12月期を売上高2,290億ドル(同18.7%増)、営業利益990億ドル(23.8%増)と予想します。いずれも前回予想から下方修正します。
表4 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績

グラフ3 メタ・プラットフォームズの年間設備投資

3.メタ・プラットフォームズの今後6~12カ月間の目標株価を前回の900ドルから720ドルに引き下げる。
メタ・プラットフォームズの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の900ドルから720ドルに引き下げます。
楽天証券の2026年12月期予想EPS(1株当たり利益)33.05ドルに、楽天証券の2026年12月期予想営業増益率23.8%よりPEG=1倍前後と想定して、想定PER(株価収益率)を20~25倍として当てはめました。前期よりも増収率が低くなっていること、大型投資が来期も続くことによって利益が圧迫される懸念があることを考慮しました。
一定の投資妙味はあると思われますが、大きな株価上昇は当面期待しにくいと思われます。
本レポートに掲載した銘柄: メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)
(今中 能夫)