予測不能のトランプ関税に、世界中が振り回されています。トランプ関税が緩和される見通しが広がったことにより、恐怖はかなり低下しました。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 日経平均の戻り、速すぎ?トランプ関税緩和の楽観いつまで? 」
急反発してきた日経平均、トランプ関税への恐怖が低下
投資家の心理の変化は、恐怖指数といわれる指数の動きに表れています。「日本版恐怖指数」といわれる「日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)」は低下し、トランプ関税に対する恐怖がピークアウトしつつあることが分かります。
日経平均と日経平均VIの週次推移:2024年4月30日~2025年5月2日

日経平均株価と恐怖指数の動きをより長期で見ると、パニック売りで恐怖が高まったところが、長期投資で良い買い場ということが分かります。
日経平均と日経平均VIの月次推移:2007年1月~2025年5月(2日)

長期投資の視点からは、トランプ関税ショックで恐怖が高まったところは良い買い場と考えられます。
ただし、短期投資の視点からは、異なる見方ができます。テクニカル分析の視点からは、日経平均の戻りピッチは速すぎると考えられ、目先、反落するリスクもあります。
日経平均テクニカル分析、目先戻り一服から反落も
日経平均の戻りが速過ぎることに不安もあります。トランプ関税は緩和される方向ですが、完全に骨抜きにされるわけではありません。世界経済に重大なダメージを与える「自動車関税」はすでに発動されています。
日本にとってダメージが大きい自動車関税の引き下げについて、米国側が「自動車関税は関税交渉の対象外」と述べたことに、ショックが広がっています。このまま一本調子で日経平均の上昇が続くとは思われません。
日経平均週足:2024年1月4日~2025年5月7日

テクニカル分析の視点から、日経平均は目先、戻り一服となる可能性が高いと考えられます。13週移動平均線が下降トレンドに入っていること、日経平均がすでに13週移動平均線(4月7日時点で3万6,556円)まで戻っていることから、短期的には戻り一服となりそうです。
トランプ関税が完全に骨抜きにされたわけではない中で、このまま13週移動平均線を超えて上昇が続くのは難しいと考えます。
それでは、短期的に日経平均はどのように推移するでしょうか? あくまでもテクニカル分析の観点ですが、私は、当面3万3,000円から3万7,000円の範囲で保ち合い(もちあい)を形成していくイメージを持っています。
日経平均の短期予測、筆者イメージ

4月7日の安値(3万0,792円)はパニック売りによる「下げ過ぎ」なので、そこまで下がるほどの悲観材料は出ないと考えています。
とはいえ、わずか1カ月足らずで3万7,000円手前まで急反発したのは、短期的に「上げ過ぎ」と思われます。トランプ関税緩和への楽観の行き過ぎと思われます。しばらく13週移動平均線に頭を抑えられる展開を予想します。
以上は、あくまでもテクニカル分析の視点に基づく、短期予想です。トランプ大統領が、とんでもないサプライズを出さないことが前提です。
(窪田 真之)